年間27万石の超大手蔵

言わずと知れた酒どころ京都伏見で1637年(寛永14年)創業と380年近い歴史を持ち、国内向けの年間出荷量は約27万石(2014年度統計)と、日本有数の規模を誇る超大手蔵です。

企業理念はQuality」「Creativity」「Humanity」の3つで、高級酒から普通酒のすべてにおいて消費者の満足を獲得できる、最高品質の商品を競争力のある価格で提供すること。伝統ある蔵ながら、酒文化は一定ではなく時代に合わせて変化、発展していくものと捉え、積極的に新しい取組を行っていくこと。例えば2008年に「糖質ゼロ」清酒を販売するなど、創造の姿勢を持ち続けています。上記の27万石の中で特定名称酒の割合は約2万石。その中で純米酒が5割以上を占めています。

「上撰」「佳撰」とは一体?

とはいえ、同蔵の勝負酒は圧倒的なシェア普通酒でしょう。その中で上撰は蔵のレギュラー酒として位置づけられ、こだわりを持って醸し続けられてきました。大手蔵のお酒などにみられる名称「上撰」「佳撰」などは、基本的に普通酒に使われます40歳代以上の方はご存知かと思いますが、かつて清酒の級別制度は国税局の審査により「特級」「一級」「二級」の等級認定され、区分ごとに税率が課されていました。月桂冠は各等級に見合う酒質を各等級に見合う酒質を原料米の品種や精米歩合、発酵期間、成分値などの違いによりランク付けをしていました。1992年の級別制度廃止後も、造りの違いや官能検査による判定で同様に区分し、「上撰」「佳撰」呼称を表示しています。

上撰は「お米の品種や精米歩合、使用酵母、仕込み配合にこだわりがあり、自然な香りとまろやかな旨みが特徴」(月桂冠広報)と説明しています

リーズナブルにお燗を楽しむ晩酌酒

sake_gekkeikan1 (1)

冷やでは最初に醸造アルコール由来の苦みや辛み明確に感じます。そのあとに、芳醇な旨みや酸味が舌を支配します。さすがに味のバランスは絶妙です。お燗にすると、ふくよかで柔らかな味わいに変化し、アルコール感も感じなくなります。「お燗でおいしい普通酒は和食に合わせやすく値段も手ごろですので、選択肢のひとつとしてお役に立てるものと考えています」(同広報)。
普通酒については賛否があると思いますが、日本酒文化の一端を今後も果たしていくと思います。

 

日本酒の魅力を、すべての人へ – SAKETIMES