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パリの日本食材店で聞いた「フランス人におすすめするならどんな日本酒がよい?」

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フランスのパリ市内には、現在1,000店以上の日本食レストランが存在すると言われています。現地の大手スーパーでも、お惣菜コーナーにお寿司が並び、調味料コーナーには醤油やワサビが並んでいるのを見かけるようになりました。ですが、日本酒が買えるお店は残念ながらまだまだ少ないのが現状です。

パリ市内で日本酒が買える店「ACE OPERA(エースオペラ)」

パリ・オペラ座から徒歩5分、日本食レストランがひしめき合うオペラ地区に店を構える「ACE OPERA」。広々とした店内には、お米や味噌をはじめ、たくさんの日本食材が所せましと並べられています。

さまざまなメーカー、さまざまな産地、容量違いのバリエーションなど、どの食材も種類が豊富。日ごろ日本食材に飢えている在パリ日本人にはうれしい品ぞろえです。

「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」

日本語で、ていねいに接客してくださる店員さん。接客は二の次になりがちな海外のスーパーに慣れている身としては、これだけでも感激ものです。

「日本酒を探しているのですが…」

恐る恐るたずねると、快くSAKEコーナーに案内してくれました。「SAKE」と表示された大型の冷蔵ケースには、たくさんの日本酒が並んでいます。こんなにもたくさんの種類から選ぶことができるなんて!またとない機会に、胸が高鳴ります。

「ACE OPERA」店長・渡部さんに伺うパリでの日本食・日本酒事情

8年前のオープン当初から、この「ACE OPERA」で日本食や日本酒をお客様に提案し続けている店長の渡部泰子さんに、お話をうかがいました。

– 日本食材店で働くようになったきっかけは何ですか?

もともと食品には興味があって、食べることも作ることも大好きでした。パリに住み始めた当時、手に入らない日本食品をすべて自分で作っていたんです。納豆や豆腐をはじめ、魚の干物や漬物まで何でも手作りしました。こうした経験と知識を活かせる日本食材の仕事に就きたいと思ったのがきっかけです。

– 現地のスーパーとは異なり、とても親切な接客をしてくださるので、安心して買い物ができますね。

日本人の方はもちろんですが、現地フランス人のお客様に対しては、特に「食材や調味料をどのように使えばよいのか」「日本酒や焼酎といった飲み物はどんな味わいなのか」など、ていねいに説明するようにしています。当たり前のことかもしれませんが「ああ、このお店に来て良かった!」と思っていただけることが、将来の日本食・日本酒ファンを育てることにつながると信じています。

– 日本酒の品ぞろえが豊富で驚きました。

品ぞろえに関しては、8年前の開店時からとても豊富でした。オーナーの理解もあり、常時20種類以上のお酒をラインナップしています。より良い状態でお客様に味わっていただけるよう、冷蔵ケースでの販売も継続しています。

– 開店当時と比べて、日本酒の販売数は変わりましたか?

少しずつではありますが、販売数は着実に増えています。特に最近では、日本人の方だけでなく、フランス人の方が日本酒を買ってくれるようになりました。昨年度からは、酒造メーカーさんの協力を得て、月に1回、日本酒の試飲販売をするようになりました。これが好評で日本酒を飲んだことがないフランス人の方に日本酒の造りや味わいを知ってもらい、ファンになってもらう良い機会となっています。

フランス人の方はとっても一途で、一度気に入った商品に出会うと、リピート購入し続ける傾向にあります。これは日本酒にも言えることで、試飲販売会で気に入った日本酒に巡り合えたフランス人の方は、すっかりその銘柄のファンになってしまうのです。

前回の試飲販売会では初めて、「熱燗」を提供したのですが、これがフランス人に好評でした。フランスでは冬になると「ヴァン・ショー(ホットワイン)」を飲む習慣があるので「サケ・ショー(熱燗)」といって日本酒を勧めたところ、多くのフランス人が興味を示してくれました。

また、メーカーさんのご提案により、熱燗に合わせてゴーダチーズやパルメザンチーズを味わってもらったところ、思いがけない相性の良さに、お客様もさることながら私自身も驚いてしまいました。今後も相性の良い組み合わせを積極的に提案していきたいです。

– フランス人にはどんな日本酒が人気ですか?

う~ん、この質問は難しいですね。うちのお店の場合、ある銘柄の日本酒がよく売れるというのではなく、おいている商品がそれぞれ適度に売れている状況です。フルーティーな日本酒が好きな方、辛口のどっしりとした味わいが好きな方、フランス人の好みは日本人同様にバラバラですから、好みに応じてピッタリのものをご提案できるよう努めています。

– 日本酒初心者のフランス人にプレゼントしたいのですが、どんなお酒を選んだら良いでしょうか?

そうですね、スパークリング清酒「澪」や純米原酒「カワセミの旅」なんて、いかがでしょう?どちらもフルーティーで飲みやすく、食前酒(アペリティフ)として適していますから、日本酒を初めて飲むというフランス人にも、気に入っていただけると思いますよ。

– これから、どんな取り組みをしたいですか?

フランスでは、日本とは異なる規制が数多く存在するため、輸入が難しい商品もたくさんあるのが現実です。しかしながら、そんな状況に負けず、今後も自信をもってお客様に提案できる商品をたくさん取り揃えていきたいです。

中でも、近年日本の国菌として注目されている「麹菌」を使用した発酵食品は、私たち日本人が長い歴史の中で培ってきた素晴らしい食文化です。「麹菌」の力で作られた味噌、醤油、日本酒をはじめとする様々な食品をフランス人に広めていきたいと思います。

日本酒に関しては、スパークリング清酒「澪」のように、砂糖を使用しなくても「麹菌」の力で甘い味わいが実現できること、日本酒にはアミノ酸が豊富であることなど、フランス人が好きそうな“ウンチク”もいっしょに伝えていけたらと思っています。

(文/SAKERINA)

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SAKERINA

フランス在住ライター。酒好きが高じて、学生時代に唎酒師を取得。「日本酒文化をヨーロッパに広めたい」という密かな想いを胸に日々、フランス語と格闘中。欧州のリアル日本酒事情や、日本酒に関わる人々の姿など、海外ならではの情報をお届けします。