2018年4月、エリゼ宮やエルメス本店などがあるパリ8区のフォーブル・サントノレ通りに、新しい食文化を生み出す複合施設がオープンしました。

「Dassai Joel Robuchon」の外観

その名も「Dassaï Joël Robuchon(獺祭・ジョエル・ロブション)」。"フレンチの神様"と呼ばれるジョエル・ロブション氏と「獺祭」の旭酒造がコラボレーションしたプロジェクトです。

食の中心地・パリに生まれた美食の発信基地

「Dassaï Joël Robuchon」があるのは、観光地としても有名な凱旋門から歩いて10分という好立地。

「Dassai Joel Robuchon」の外観

1階は、獺祭やその酒粕を使用したチョコレートやケーキ、洋菓子、パンなどを販売するパティスリー。2階は、獺祭が楽しめるバーとティーサロン。そして3階のレストランでは、旭酒造とロブション氏が監修した和食やフレンチとのマリアージュが楽しめます。

「Dassai Joel Robuchon」のパティスリー

パティスリーには、色とりどりのマカロンやケーキ、チョコレートが並んでいます。

「Dassai Joel Robuchon」のバースペース

こちらはシックな空間のバー。

「Dassai Joel Robuchon」のカフェスペース

ティーサロンの内装は白と黒を基調に、赤のアクセントカラーでまとめられていました。

和食よりもフランス料理のほうが「獺祭」には合う

今回は、6月に開催されたプレスランチの様子をレポートします。

「獺祭 純米大吟醸 スパークリング50」

到着して間もなく、最初のグラスに注がれたのは「獺祭 磨き二割三分 発泡にごり酒」。フルーティーな香りと上品な甘味、そしてプチプチとはじける泡の食感が楽しいスパークリングのお酒です。

グラスに注がれる「獺祭 純米大吟醸 スパークリング50」

続いて「獺祭 純米大吟醸 スパークリング50」。まろやかな口当たりとのど越しの良さについつい杯が進むなか、旭酒造の桜井一宏社長、桜井博志会長、そしてジョエル・ロブション氏が登場しました。

乾杯をする旭酒造の桜井一宏社長、桜井博志会長、ジョエル・ロブション氏

「フレンチの世界を牽引するロブション氏とともに、フランスと日本の融合を実現できたことはとても光栄なことです。今まさに、歴史の新しい1ページが始まりました。フランスにとっても日本にとっても、今日は素晴らしい始まりの日です」と挨拶する桜井会長。

ジョエル・ロブション氏

ロブション氏からも、熱いメッセージを聞くことができました。

「私が初めて日本を訪れたのは、1976年。料理人としてのキャリアがスタートして間もなかった私は、初めて触れる日本文化・日本料理にたいへん感銘を受けました。その後、何度も日本に足を運び、さまざまな影響を受けています。初めて『獺祭』を飲んだ時、その美味しさに感動しました。そして、和食よりも私の作るフランス料理のほうが『獺祭』には合うのではないかというお客様からの感想を聞いて、『獺祭』といっしょに何かできないかと思ったのです。

若者を中心に、日本文化や日本食への興味関心がとても高まっている今だからこそ、日本酒をフランス人の日常に溶け込ませる良いタイミングです。本当に美味しい日本酒『獺祭』をフランスのみなさまに楽しんでいただきたいと思います」

フランス人シェフの和食と「獺祭」の競演

待望のランチがスタートです。

茶碗蒸し

アミューズブッシュ(食前酒とともに提供される簡単なおつまみ)は、茶碗蒸しでした。卵のやさしい味わいと出汁の旨味が「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」によく合います。

サーモンのタルタル

続いて、アボカドの器に載せられたサーモンタルタル。大葉の天ぷらとキャビアが添えられています。

「キャビアには、ワインよりも日本酒が合う」という話を聞いたことがありますが、獺祭を口に含んでからキャビアをいただくと、あら不思議。魚卵特有の臭いを心地良いアロマがマスキングし、その美味しさがより一層引き立てられます。大葉のサクサク感も楽しい一皿でした。

海老しんじょ

海老しんじょうのプリプリとした食感に、思わずため息が出ます。出汁のやさしい味わいが「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」の上品な香りと相まって、口の中に幸せな余韻を残します。

「厨房には、日本の料理人もいるのですか?」と聞くと、桜井社長は「全員フランス人です」と答えてくれました。なんと、出汁の効いた茶碗蒸しも海老しんじょうもすべて、フランス人シェフの手によって調理されているのだそう。

「獺祭 磨き その先へ」

そして、獺祭のフラッグシップともいえる「獺祭 磨き その先へ」が登場。精米歩合は企業秘密とのことですが「二割三分」を超えるということは、おそらく1割台の後半でしょうか。まるで香水のようなアロマが鼻孔をくすぐります。

銀鱈の西京焼き

「その先へ」に合わせるのは、銀鱈の西京焼き。朴葉(ほおば)に包まれた銀鱈は肉厚で、脂がのっています。西京味噌の香りを楽しみながらお酒をいただくと、"西京"ならぬ"最強"のマリアージュが完成します。

薄切りの牛肉で旬の野菜を巻いたメインディッシュ

メインディッシュは肉料理。薄切りの牛肉で旬の野菜を巻いた、見た目にも楽しい一品です。照り焼きを思わせる濃厚なソースに「獺祭 純米大吟醸 スパークリング50」が恋しくなります。

桜井社長の「マリアージュの提案はもちろん大切ですが、個人的には、本当に美味しいお酒はどんな食事にも合うと思っています」という話を受けて「スパークリング50」をあらためて注いでいただきました。

思っていたとおり、スパークリングのふくよかな口当たりとソースの相性は抜群。濃厚なソースを感じたあとに口の中で弾ける泡のおかげで、ぺろりと完食です。

2種類のクリームとイチゴが入った飴細工のデザート

最後はデザート。ボール状の飴細工の中には2種類のクリームとイチゴが入っていました。水面を表現しているのはすだちのジュレで、小枝を象ったチョコレートが添えられています。スプーンで割ると、まるで花のような印象です。

2種類のクリームとイチゴが入った飴細工のデザート

口に運ぶと、ふわりと漂う獺祭の香り。まるで芸術品のような、繊細なデザートでした。

獺祭を使ったボウル形のチョコレート

獺祭を使用したチョコレートは、枡で提供されます。細部まで行き届いたおもてなしの数々で、ゆったりと優雅なランチタイムを過ごせました。

挨拶をする旭酒造の桜井社長

「フランスの方々に日本酒の美味しさを知ってもらうきっかけになればうれしい。フランスと日本、文化の融合が今まさに始まったところです」

そう話す桜井社長から、パリでの新たな挑戦に対する情熱が伝わってきました。今後も「獺祭」から目が離せません。

(文/SAKERINA)

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