日本酒には、季節によってそれぞれの楽しみ方がありますが、その中でも秋に楽しまれるお酒で「ひやおろし」というものがあります。

1. ひやおろしとは

ひやおろし(冷卸し)とは、春にしぼられたお酒を秋まで貯蔵し、出荷するお酒のことをいいます。

また、火入れ(加熱処理)にも特徴があります。通常のお酒は2度火入れをしてからボトルに詰めます。
しかし、ひやおろしは、しぼられた後、貯蔵中にお酒の品質が悪くならないように1度だけ火入れ(加熱処理)を行い、出荷する前には熟成味をそのまま味わえるように火入れはせず出荷されるのです。

ひやおろしの他にも秋あがりなどとも言われます。この表現は統一されていません。

ひやおろしとして出荷されるお酒とし「火入れ」がされていますが、この火入れの方法として、「瓶火入れ」があります。酒を瓶に詰めて仮栓をし、内部温度が63~65度になるよう温め、殺菌するのです。火入れをすることで、常温での流通が容易になり、長い間、美味しさを保つことができるのです。

2. ひやおろしの語源

貯蔵のときに1度だけ火入れをし、2度の目の火入しない、つまり「ひや」の状態で貯蔵している大樽からおろすため「ひやおろし」といいます。

昔、ひやおろしは貯蔵している蔵と外気が同じ気温になってから出荷されるものでした。しかし、最近では9月初めにひやおろしが売られはじめます。昔の感覚よりも少し早いかもしれませんね。

紅葉が美しく色づく秋。見渡す限り、赤や黄色に色づいた木々の景色をながめながら、熟成されたひやおろしを飲むのも季節の楽しみ方のひとつです。四季豊かな日本を感じながら、ひやおろしに代表される季節の日本酒を楽しみたいですね。

3. ひやおろしは秋の味覚とぴったり

春にはあらあらしかったお酒も、秋まで熟成されるとまるみがでて、グッと味わい深くなります。

そんなひやおろしは、旨味がのる秋の食材と相性バツグンです。さんま、きのこなどと合わせて飲むことでさらにおいしくひやおろしが楽しめます!(個人的にはひやおろしは単体で飲むよりも、秋の味覚と合わせて飲みたいです。)

ひやおろしの出荷日については、県で定めているところもありますが、酒蔵によってタイミングをずらして出荷しているところもあるようです。

秋の風物詩であるひやおろしは、同じく秋の風物詩である食材と合わせて嗜むとより一層美味しく感じられます。さんまを焼いて、大根おろしとすだちを添え、そして旨みの乗ったひやおろしを一献。秋の夜長に、のんびりと季節の食と酒を楽しむ晩酌は、いかがですか?