お酒造りに大切な酒母造り、SAKETIMES読者のみなさまは、どんな工程を踏むかご存知ですか?

興味があって調べたはいいものの、「ちょっとわかりづらい」「用語が難しくてイマイチ理解できない・・・」そんな経験はございませんか?

そんなみなさまのために、酒母造りに関する用語「速醸」について2段階に分けてご説明いたします!

酒母造りは生酛、速醸の2種類

清酒造りの肝となる発酵を力強く行うために、酵母を増殖する工程を酒母(しゅぼ)と言いますが、それにはいくつかの製法があります。基本的には生酛系(山廃酛も含む)と速醸系(普通、高温)の2つの種類があります今回は、現在、主流になっている「普通速醸」について説明します。

酒母づくりのどの製法にも共通して言えることは、

①酵母を培養し大量増殖させること
②乳酸で制酸を行い酸性にして酵母以外の雑菌の侵入を防ぐこと

以上の2点になります。

雑菌侵入を防ぐため人工の乳酸を添加

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普通速醸は清酒造りに革命をもたらした製法で、水・米麹を投入し糖化酵素を溶け込ませます。そこに蒸米を投入し、時間をかけて糖化させ、工業生産された純度の高い乳酸を投入します。

この人工の乳酸を投入することが速醸酛の特徴です。蒸米が糖化されるまで米麹のブドウ糖で清酒酵母の増殖を行いますが、酵母の投入直後は酵母菌の数が少なく、雑菌の侵入を防ぎきれません。

この酵母の増殖を助けるため、同時に投入した乳酸がタンクを酸性にするため、酸に弱い雑菌の侵入を防ぎ、酵母の増殖とアルコール発酵を促します。

酒の腐造を防ぎ蔵人の労力を軽減

江戸時代に確立された伝統的な生酛造りの酒母は蔵内に漂う乳酸菌(蔵によっては酵母菌も)を取り入れ、乳酸の生成を待ちます。生酛造りでは酒質が強く熟成にも向き、風味や香りもしっかりと仕上がる反面、桶の中は乳酸が生成されるまで無防備となり、雑菌の侵入により、腐造(ふぞう)させる場合も多いです。

この各蔵が悩まされてきた腐造を防ぐために速醸酛が開発されました。速醸酛の原型は水酛と呼ばれる奈良の菩提酛の造りの技術の応用で、愛知県の知多半島の澤田酒造が醸造試験所(現独立行政法人酒類総合研究所)の江田鎌二郎氏の指導の下、最初に速醸酛の造りの原型である酒造りに成功したことがはじまりとされています。

生酛系では1か月もかかった酒母づくりも、速醸酛は約2週間に短縮され、蔵人の労力が軽減されるといった長所もあります。

普通速醸は、各蔵でも微妙な差はあると思いますが、酒母の発酵のピーク時でもおおよそ20度以下の低温発酵となります。普通速醸との高温速醸はそれぞれ長所短所があると思いますが、基本的には低温で長期間発酵させるほど、酒質はきめ細やかになるといわれています。

 

次回は「高温速醸」についてご説明いたします!

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