近年、新しい日本酒のジャンルとして注目されている「無濾過生原酒」
瓶の表示やお店のメニューなどで目にすることが多くなったこの日本酒用語をわかりやすく解説します。
イメージは「しぼりたての生乳」
無濾過生原酒とは「牛乳で言えば、牧場で今搾ったばかりの生乳」です。
これを日本酒で言えば「タンクから搾ったお酒をそのまま瓶詰したもの」になりますが、一般的に「日本酒を搾る作業」はあまり見慣れないのでイメージが湧きにくいことが多いです。逆に「牛の乳しぼり」に関しては、おそらく誰でもすぐにイメージできるでしょう。
また、そこから連想される味は「新鮮」「フレッシュ」「濃厚」などではないでしょうか?これぞまさに「無濾過生原酒」の特徴なのです。
では、この言葉について説明します。
言葉の分解「無濾過」「生」「原酒」
「無濾過生原酒」という言葉を分解してみると、以下のようになります。
1. 無濾過
2. 生
3. 原酒
それぞれ個別に意味をみていきましょう。
1. 無濾過=濾過しないこと
日本酒を搾った後に、日本酒の色を透明にし、香味を調整する作業を行わないことです。
わかりやすく言えば、調整してまとめないので「若々しくて、やんちゃな状態のまま」です。
2. 生=生酒
これはそのままで、生=加熱殺菌処理(火入れ)をしていないということです。つまり、みずみずしくフレッシュなお酒です。
3. 原酒=水で割っていないお酒
できた日本酒のアルコール度数を下げるための割水をしていないお酒のこと。アルコール度数が高めになることが多いので、パンチが効いているともいえるかもしれません。ただ最近は、原酒で低アルコールの日本酒も販売されていますので、一概には言えません。
これらを総合すると、
「若々しくやんちゃな無濾過」
「みずみずしくフレッシュな生」
「パンチが効いている原酒」
で、無濾過生原酒なのです。
要は、まさにお酒の状態をそのまま表した言葉だったんですね。
見た目や味わいを表現するなら?
無濾過生原酒の特徴を、味わいで例えるとどうなるでしょうか?
もちろん日本酒の特徴として、製造工程によって味わいがまったく変わってしまうこともありますので、無濾過生原酒すべてに当てはまるわけではありません。あくまでも、「無濾過生原酒というカテゴリーを誰かに説明する」ことをテーマとしていますのでご理解ください。
では、先ほどと同じように「無濾過生原酒」のそれぞれの言葉を見た目や味わいで言いかえます。
1. 無濾過=黄色がかっている
濾過をすることで液体の色が透明に近づくので、無濾過の場合は生まれたままの状態の色です。
2. 生酒=フルーツ丸かじりのようなフレッシュさ
「生のりんご」と「コンポートしたりんご」ではフレッシュさが違いますよね。
3. 原酒=米焼酎に近いアルコール感のものもある
原酒の中には米焼酎に近いアルコール感を感じるものもあります。
日本酒の専門用語がわかりやすくイメージできたでしょうか?
(文/sake_shin)
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