こんにちは。SAKETIMESライターの佐々木由美です。

陶芸の産地で有名な益子で開催される「陶ISM」というイベントがあります。2012年に参加させていただいたのですが、若手の陶芸家たちで企画され、若手陶芸家が集い、夜は皆で宴会・・・と、とても和気あいあいとした楽しいイベントでした。
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栃木県宇都宮市の「カシワジサケテン」さんと、酒器道楽主催の「佐々木達郎」さんの解説つきで、作家さんの酒器を実際口にできる特別試飲会などの企画もあり、お酒呑みにとっても魅力的なイベントも。これについてもいつか触れてみたいのですが、今回はそこに関西地区から車ではるばる出店していた印象的な三人衆がいて、彼らが酒器を作る気持ちや想いを、いつか聞いてみたいと思っていました。

sake_g_togei_1左:平岡仁さん・真ん中:田中元将・右:阪本健さん

 

■ 平岡 仁さん(和歌山江南)
「器に酒を飲ませて器を育てる」

備前作家のお父様の影響を受けて陶芸家の道へ。今は和歌山県の工房で作陶活動をしています。
平岡さんのInstagramには#バンシャク部#日本酒というタグの写真がほぼ毎日アップされ、かなりお酒好きなことが予想できます。
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平岡さんが酒器作りで考えるのは、まず美味しくお酒が飲めること。口当たりが良く、手持ちが良いこと。
自分が使いたいと思うものを作るので、大きいと言われたら使いたい人を探そう!と思うそうです。

焼き物好きはぐい飲みを集めている人も多く、陶芸作家の使用頻度もかなり高いそう。ちなみに、平岡さん自身もついつい欲しくなり60−70個は持っているそうです。買って使って、初めてわかってくることもあり、結局使うのは4−5個だとか。

おすすめの酒器は備前焼に代表される”焼き締め”焼き締めの酒器は使って育つ、香りがたちやすいという特徴があると言うのです。
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二度と同じものは出来ない、ぐい飲み。
平岡さんのInstagramによく登場するのは、やっぱり和歌山の「黒牛」でした。
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■ 田中 元将さん(大阪府)
「作家が作る中で一番小さく、一番想いがこもるもの」

炎の陶芸家、田中元将さん。田中さんのBlogやFacebookには、窯焚きの写真が良く載っています。
これまでは「万能なものを」と、水割りやお湯割りで飲めるようなものを作っていたけれど、最近の酒器は日本酒に合うようなぐい飲みタイプが増えてきているそうです。
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まず気を配るのは”口当たり”で、口の作りを変えると口に入る量や勢いが変わるものだ・・・・と、とある呑ベエから聞かされたそうです。
そして”形”ぱっと見て、いい!と思えるものを作りたいと思っているそうです。

田中さんも、やはり知人の個展に行って一番気になるのは、ぐい飲み。個性が、その人となりが、一番出るものだし、どういう風に作るのかが気になって仕方ないのだそう。実際に飲ませてもらったり、高台をひっくり返して見たり、サイズも価格もお手頃なので、コレクターは多いようです。
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お気に入りの酒器は、自分のものも他の方のものもあり、冷酒を楽しむこともあるとか。

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田中さんはお気に入りのぐい呑みを見せびらかしながら、うまい酒やうまい料理を楽しむ会にも参加されているようで、それは真似したいなあ、と思っている次第です。

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■ 阪本 健さん(大阪府堺市)
「やっぱりお酒が好きが前提」

阪本健さんは日本酒が大好き。お酒を飲む人は絶対こだわりがあるから、と昔は作らなかったけど、自分の想いを入れやすいお猪口をちょこちょこ作るようになったそうです。

まず大切なのは”口元”。冷やで飲むなら口元を薄く、燗で飲むなら口元は厚く。作るときから飲むシーンを考えているそうです。

そして持ったとき、握ったときの手に吸い付くフィットする感じ。これはいいなあ、と酒が美味しく見えるような、自分が飽きないような酒器作りを心がけているそう。
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お客様にはいろんな種類があって選べるように 形・質感・釉薬・焼き方、色々と工夫をするとのことで、最近は女性のお客さんも多いので、綺麗な釉薬や貫入(ひび割れも模様)でウケ狙いをすることも。
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シンプルなだけに、なお難しい。それでも付加価値をつけやすいので、存在感のあるものを作りたいとのことでした。

そんな健さんの今おすすめの日本酒は、奈良の「梅乃宿(風香)純米大吟醸」。

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↑あまり更新していないんだよな〜とおっしゃっていました!

 

 

三人三様の言葉で、語っていただき三人と日本酒を飲みながらもっと話が聞きたくなりました。

陶芸教室に通って、自分好みのぐい飲みで、ぐいっと一杯。
日本酒って、どこまでも楽しみが広がりますよねえ。

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