能登半島地震で被災した酒蔵の日本酒を宮城県の酒蔵が救出!—日本酒業界に広がる復興支援

2024年1月1日、石川県の能登半島を震源とした、最大震度7の大地震が発生しました。この「令和6年能登半島地震」では、能登地方を中心に、建物の倒壊や商品の破損など、複数の酒蔵が被害を受けています。

写真提供:数馬酒造

そんな中、石川県から遠く離れた宮城県の酒蔵・新澤醸造店が、被災した数馬酒造の発酵中の醪(もろみ)を救出し、無事に商品化することに成功しました。当時、どのような状況だったのか、数馬酒造の5代目蔵元・数馬嘉一郎さんに話を伺いました。

県内外の酒蔵が、数馬酒造の醪を救出!

新澤醸造店の代表取締役・新澤巖夫さんから数馬さんに電話があったのは、1月10日のこと。

「酒蔵の建物・設備、従業員や家族のことを心配していただき、励ましのお言葉をいただきました。1月13日にまたお電話をいただいたのですが、その時は『数馬酒造の前にいる』と。酒蔵の玄関に出てみると新澤さんがいらっしゃっていて、本当にびっくりしました」

新澤醸造店は、2011年の東日本大震災で酒蔵が全壊しましたが、新しい蔵で復活を遂げています。新澤さんは社員2名とともに数馬酒造を訪問し、被災状況を確認しながら、当時の経験を踏まえたアドバイスをしてくれたとのこと。

数馬酒造では、現在も続いている断水のため、津波の影響で酒蔵に流れ込んだ汚泥などを清掃するための充分な水が確保できず、復旧作業が思うように進んでいませんでした。

その状況を知った新澤醸造店は、1月17日に約1,000リットルの水を積んだトラックで再度訪問。水を供給した後、数馬酒造の純米吟醸酒の醪(約1,000リットル)を、水を積んでいたタンクに入れて搬出しました。救出された醪は新澤醸造店に運ばれた後、1月24日に搾られ、無事に瓶詰めされました。

「お酒にはならないだろうとあきらめていたので、搾っていただいたお酒を試飲した時、まずはお酒になってくれたことに感動しました。当初の予定から遅れたため、発酵不良の心配がありましたが、安心してお客様にお届けできる品質だと思います。いや、正直に言うと、感動が大きすぎて、客観的に評価できているか自信がないのですが。笑」

写真提供:新澤醸造店

「ただ、能登産の酒米を使っているので、自然災害の経験も含め、現在の能登の風土をリアルに表現したお酒として、手に取った方々に味わっていただきたいと思っています」と、数馬さんは話します。

また、新澤醸造店だけでなく、1月19日には、石川県酒造組合連合会の支援として、小松市の酒蔵・加越、加賀市の酒販店・辻酒販、白山市の酒蔵・車多酒造が「竹葉 能登純米」の醪(約3,000リットル)を救出しました。

数馬酒造、加越、辻酒販、車多酒造の方々(写真提供:数馬酒造)

さらに、1月23日、白山市の酒蔵・吉田酒造店と車多酒造が大吟醸酒の醪(約4,500リットル)を搬出。その後、金沢市の酒蔵・福光屋の支援もあり、数馬酒造に残っていた醪はすべて救出されました。

救出された日本酒の販売については検討中で、詳細は未定とのことでした。

数馬酒造と吉田酒造店の方々(写真提供:数馬酒造)

「たくさんの方々から励ましのメッセージをいただき、そのお言葉に本当に救われています。先日、能登の他の酒蔵とオンラインミーティングをしたのですが、みんなが『この地元でもう一度、酒造りをしたい』と前向きでした。お互いに手を取り合って、少しずつでもできることをやっていきたいと思います」

今回の地震は能登の酒蔵に大きな被害をもたらしましたが、数馬さんは力強い言葉で復興への決意を語ってくれました。

思いを込めて造られた日本酒を救出したい

新澤醸造店の専務取締役・杉原健太郎さんにも、当時の状況について、話を聞きました。

「東日本大震災の時、全国の酒蔵からたくさんの支援をいただいたので、その恩返しとして何かできないかという思いでした。ただ、震災の直後は受け入れが難しいところもあったので、悩んでいたんです。『行ってもいいですか』と聞いてもお断りされるだろうと思ったので、行けるところまで行ってみようと能登へ向かいました」

新澤醸造店のメンバーは、数馬酒造だけでなく、同じ能登地方にある白藤酒造店にも訪問。約1,000リットルの水を供給し、約2,000リットルの醪を救出しました。

「電気が止まるとタンクの温度管理ができないので、醪がどんどん傷んでしまい、最悪の場合は廃棄となります。思いを込めて造られた日本酒を捨てなければならないという事態は、絶対に避けなければならないと思いました」

写真提供:新澤醸造店

数馬酒造と白藤酒造店の日本酒は、氷温の貯蔵庫で大事に保管され、数馬酒造の分は2月5日に無事に届けられたとのこと。

「東日本大震災の時は、被災から約2週間で水と電気が復旧しましたが、今回はまだ断水していると聞いています。まだまだ大変な状況ですが、被災した酒蔵のお酒が流通し始めたら、購入して応援していただけたらと思っています」

さらに、杉原さんは「被災を経験した酒蔵として何か支援ができないか、これからも検討していきたい」と話してくれました。

復興支援を目的とした商品の購入など、日本酒ファンにもできる支援はたくさんあります。継続的な応援をお願いします。

義援金の受付情報

現在、能登半島地震からの復興を目指して、現在、石川県酒造組合連合会と日本酒造組合中央会が、義援金を受け付けています。

石川県酒造組合連合会

  • 銀行名:北國(ホッコク)銀行
  • 支店名:金沢城北(カナザワジョウホク)支店
  • 口座種別:普通
  • 口座番号:036977
  • 口座名義:石川県酒造組合連合会(イシカワケンシュゾウクミアイレンゴウカイ)
  • 注意事項:寄付金控除の対象にはなりませんので、ご了承ください。

日本酒造組合中央会

  • 銀行名:三井住友銀行
  • 支店名:日比谷支店
  • 口座種別:普通
  • 口座番号:8646691
  • 口座名:日本酒造組合中央会 義援金口 会長 大倉治彦
    (ニホンシュゾウクミアイチュウオウカイ ギエンキンクチ カイチョウ オオクラハルヒコ)
  • 備考:
    ・寄付金控除の対象にはなりませんので、ご了承ください。
    ・法人からの義援金については、損金算入限度額の範囲内で損金算入の対象となりますので、ご留意ください。
    ・義援金に対する受領証が必要な場合は、別紙の様式で日本酒造組合中央会までご連絡ください。

また、白山市の酒蔵・吉田酒造店が「被災日本酒蔵 共同醸造支援プロジェクト」を立ち上げました。本プロジェクトの始動に伴い、応援購入サービス「Makuake」にて、支援を4月28日(日)まで募集しています。

被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクト

被災した酒蔵の少しでも早い復旧のために、読者のみなさまのご協力をお願いします。

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