日本酒といっしょに相性の良い料理を楽しむ「ペアリング」。

近年、和食に限らず、さまざまな料理とのペアリングを提案する飲食店が増え、日本酒は活躍の場を広げています。

今回は中華料理の代表格であり、日本の国民食としても愛される「餃子」に注目。灘の酒造メーカー・沢の鶴が醸す低アルコールの純米酒「SHUSHU(シュシュ)」を軸に、餃子との相性を日本酒ペアリングの専門家に伺いました。

餃子とSHUSHUのペアリングを試すのは、発酵料理家の真野遥さん。日本酒と発酵料理のペアリング教室を主宰し、企業へのレシピ提供や料理教室などによるPR支援も行う、日本酒ペアリングのスペシャリストです。

発酵料理家の真野遥さん

発酵料理家・真野遥さん

「以前、旨味のしっかりした日本酒と餃子を合わせたときに、相性の良さを感じました。餃子の旨味が日本酒の味わいと合わさることによって、さらに増幅するのではないかと期待しています。SHUSHUはやさしい味わい、なめらかな口当たりで、香りもふんわりとしているイメージ。餃子に合わせるという発想はなかったので、ペアリングが楽しみです!」

できたてを求めて「GYOZA MANIA」へ

やってきたのは、JR品川駅から徒歩数分の場所にある「GYOZA MANIA(ギョウザ マニア) 品川はなれ」。ビジネスマンの多い品川エリアでも高い人気を誇る、本格餃子の専門店です。

真野遥さんと「GYOZA MANIA 品川はなれ」店長の和知悠太さん

真野遥さんと「GYOZA MANIA 品川はなれ」店長の和知悠太さん

人気の秘密は、同店が掲げる「肉は挽きたて、皮は打ちたて、餡は包みたて、水は茹でたて、焼は焼きたて」という「餃子の五たて」にあります。

中国で食べた餃子のおいしさに感銘を受けたオーナーが、注文を受けてから作り始める本場さながらの餃子専門店を日本でオープン。そのこだわりの味が評判を呼び、たちまち人気店に成長しました。ミシュランガイド2019に掲載されるなど、食通からも注目されています。

「水餃子 海老」×SHUSHU

さっそくペアリングを始めていきましょう。1品目は、店長おすすめの「水餃子 海老」(420円・税別)。日本では、餃子といえば焼き餃子のイメージがありますが、本場の中国では水餃子が主流です。

「水餃子 海老」

「水餃子 海老」

すりおろした生姜をたっぷり乗せて、よく冷えたSHUSHUといっしょに口に運びます。

「おいしい!エビが大きくてプリプリしていますね。餡にしっかり味がついているから、このままでも充分に旨味を感じます」

ひと口、またひと口と箸が進む真野さん。ツルっと食べられる水餃子は、やさしい味わいのSHUSHUと相性抜群のようです。

発酵料理家の真野遥さん

「実は食べる前から、水餃子には絶対に合うだろうと思っていました。SHUSHUは味わいのバランスが良く、アルコール度数が控えめなので、水餃子のような軽めの料理にぴったりかなと。油も少ないので、ほのかに感じるSHUSHUの酸味と調和するんです」

また、添えられた生姜がペアリングの良いアクセントになっていると真野さんは話します。

「味にメリハリがついて、料理に陰影がつきます。餃子と海老のやさしい旨味に、生姜のピリッとした香りがプラスされて、SHUSHUとの橋渡し役になってくれています」

「焼き餃子」×SHUSHU

続いて運ばれてきたのは、お店の一番人気「焼き餃子」(小 390円・税別)。存在感あふれるパリパリの羽が食欲をそそります。味がしっかりついているので、最初はなにもつけずにこのままで。

「焼き餃子」

「焼き餃子」

「中から肉汁があふれてきました!皮がもっちりとしていておいしいです。餡を中心に食べるか、皮を中心に食べるかで印象がまったく違いますね。餡を中心に食べると、肉の甘味や肉汁の旨味をしっかりと感じられて、SHUSHUのやさしい甘味とよく馴染みます。

このままでも充分においしいですが、水餃子に生姜を合わせたように、アクセントになるものがあるとさらに味が引き締まりそうですね」

そんな真野さんのリクエストを受けて、店長の和知さんからおすすめの食べ方を教えてもらいました。

それは、フードメニューの「特製よだれ鶏」(780円・税別)を注文し、生姜や香辛料でピリ辛に仕上げた、特製のタレをつけて食べるというもの。今回は特別にタレだけを用意してもらいました。SHUSHUとの相性が気になります。

「焼き餃子」

「タレの香りが良いですね。花椒(ホアジャオ)が入っていて、すこししびれる味わい。SHUSHUを飲むと、ピリッとした辛味の後にお酒の旨味がじわっと口の中に広がります。これぐらいのピリ辛ならお酒の甘味を引き立ててくれるんですね。辛い料理には熟成酒が合うと思っていましたが、SHUSHUのようなやさしい味わいのお酒とも合うのは大きな発見です」

少し温度が上がってきたSHUSHUを飲みながら、「常温ぐらいがちょうどいいかも」と話す真野さん。冷たいお酒だと肉の脂が固まってしまうので、少しぬるくなってきた頃がベストな温度とのこと。最初にSHUSHUを注文して餃子を待ち、少し温度が上がってからペアリングを楽しむのが真野さんのおすすめだそう。

「青とうがらし餃子」×SHUSHU

最後にいただくのは、月替わりで異なる味が楽しめる「今月の餃子」。旬の素材を中心に、毎月ユニークな餃子が登場します。この日に提供されたのは「青とうがらし餃子」(400円・税別)。刺激的な味わいが予想されますが、いったいどのようなペアリングになるのでしょうか。

青とうがらし餃子

「青とうがらし餃子」

「これはかなり辛いかも......!ピリ辛ぐらいなら大丈夫なんですが、この辛さは想像以上。餡の旨味も感じますが、餡にも辛さが移っているので主張が強いです。どんどん汗が出てきました」

想像以上の辛さに驚いた様子の真野さん。辛さを中和させるために、思わずSHUSHUに手を伸ばします。

発酵料理家の真野遥さん

「うん、SHUSHUがとても甘く感じます(笑)。青とうがらしの青々しい香りが強いので、SHUSHUを飲むとハーブのような香りが感じられます。でも、辛いのが苦手な人は気をつけたほうがいいですね」

刺激的な辛さの青とうがらし餃子を、SHUSHUがやさしく中和してくれるようです。

麹を通常の2倍以上使うことで、飲みやすさとふくらみのある旨味を両立させているSHUSHU。その味わいが青とうがらしの辛さと相まって、舌の上で心地良く馴染んでいきます。

餃子を包み込む、SHUSHUの懐

本場の味さながらの本格餃子から、ユニークな変わり種まで手掛けるGYOZA MANIA。日本酒が大好きという店長の和知悠太さんは、SHUSHUのどのような点に魅力を感じて、お店で提供するようになったのでしょうか。

「GYOZA MANIA 品川はなれ」店長の和知悠太さん

「GYOZA MANIA 品川はなれ」店長・和知悠太さん

「餃子はビールやハイボールといっしょに楽しむお客様が多いのですが、日本酒を飲みたいという方もいます。そんな時におすすめする日本酒として、SHUSHUがぴったりなんです。フルーティーで女性の方も飲みやすい。女性のお客様には、いつも好評ですよ」

SHUSHUのおいしさはもちろん、餃子との相性も抜群だと和知さんは話を続けます。

餃子の餡を包んでいる様子

「水餃子はすっきりとした味わいですが、それを邪魔することなく引き立て合うのがSHUSHUの魅力です。焼き餃子は中国らしいやや甘めの味付けが特徴で、ほのかな甘味のあるSHUSHUとぴったりです。僕は辛いものが好きなので青とうがらし餃子はまったく辛くないんですが、苦手な方でもフルーティーなお酒と合わせることで、おいしく食べられると思います。『今月の餃子』は毎月味が変わりますし、ほかにもおすすめのメニューがあるので、ぜひ食べに来てくださいね」

SHUSHUがペアリングの幅を広げる

3種類の餃子とSHUSHUのペアリングを存分に味わった真野さん。しかし、そこはペアリングのスペシャリスト。ただ食事をしていたわけではなく、真野さんが独自に定めている、日本酒ペアリングの以下4パターンと照らし合わせていたとのこと。

  • 同調:料理とお酒の味わいを似たもの同士で合わせる
  • 中和:唐揚げに酸味の効いたレモンを合わせるように、主張の強い要素を抑える
  • 補完:お酒を調味料と捉え、料理に足りない要素を補う
  • 相乗効果:お酒の味と料理の味を掛け合わせ、双方の特徴を引き出す

発酵料理家の真野遥さん

「どんな料理と合わせるときでも、これらの基準で考えるとペアリングの相性を捉えやすくなります。今回の餃子とSHUSHUの組み合わせでいえば、水餃子は『同調』、別メニューの『特製よだれ鶏』のタレをかけた焼き餃子は『相乗効果』、青とうがらしの餃子は『中和』ですね。どの餃子も違った個性があるのに、自然と馴染むSHUSHUのバランスは素晴らしいと思います。どの組み合わせもおいしかったです。ごちそうさまでした!」

「SHUSHU」と餃子

調理法によって、がらりと表情を変える餃子。そして、アルコール度数が控えめで、やさしい味わいのSHUSHU。意外な組み合わせかと思いきや、両者の息がぴったりと合うペアリング体験となりました。

組み合わせにより、楽しみ方が無数に広がる餃子と日本酒のペアリング。その駆け出しとして、どんな料理にもやさしく寄り添うSHUSHUとの相性を試してみてはいかがでしょうか。

(取材・文/芳賀直美)

◎店舗情報

  • 店舗名:「GYOZA MANIA 品川はなれ」
  • 住所:東京都港区高輪3-26-33 パル品川2F
  • 営業時間:【月〜土】17:00~23:00(L.O. 22:30)
  • 席数:65席
  • 定休日:日曜日
  • 電話番号:03-5422-7629

sponsored by 沢の鶴株式会社

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます

沢の鶴株式会社 / SAWANOTSURU co.,LTD 連載記事一覧