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日本酒とワインの飲み比べ! 地酒で再発見する地域の魅力

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長野県富士見町のコワーキングスペース『富士見森のオフィス』にて、少し変わった長野県産地酒イベントを開催しました。「Nipponの地酒」と題したこのイベントは、SAKETIMESライターのわたしと、ワイン案内人として活動されている帆足美波さんとの合同企画。地域の魅力がたくさん詰まった日本酒やワインを、地元の方にもっと知ってもらうことで、地酒の消費をより活発にしていきたいと思い、開催しました。

開催場所の『富士見森のオフィス』は、コワーキングスペースとして地域の重要な拠点のひとつとなっている他、イベントスペースとしての貸し出しもしていて、地元で活動している方によるグルメイベントも多く催されています。

日本酒とワインの飲み比べ!

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「ワインと日本酒の飲み比べ」というテーマを選んだのには、ふたつの理由があります。

ひとつは、長野県はお酒造りに向いた風土で、日本酒・ワインともに高い生産量を誇っているため。
もうひとつは、異なるジャンルのお酒を飲み比べることで、それぞれのお酒の意外な共通点や魅力を引き出したいと考えたためです。

日本酒とワインに共通する味わい(熟成感や季節感、食材との相性など)に着目し、「日本酒×ワイン×おつまみ」のセットを、3種類味わっていただきました。

地元の方に地酒を紹介するということで、小規模な酒造やワイナリー、また、一部の場所でしか手に入らないような限定酒など、こだわりのお酒をセレクトしました。それぞれの組み合わせを簡単にご紹介します。

ペアリング 1:「フルーティー」

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西飯田酒造「積善 純米 ひまわり 無ろ過生原酒」
信州まし野ワイン「サンセミヨン 2014」
信州・長門牧場「味噌チーズ」

日本酒:西飯田酒造「積善 純米無濾過生原酒」
西飯田酒造は、杜氏の方が「59醸」という日本酒ユニットを参加するなど、若々しさが魅力の酒蔵です。花酵母を使った酒造りを得意をしており、今回選んだ「積善 純米 ひまわり 無ろ過生原酒」も、ひまわりとリンゴの酵母を使っています。華やかな香りと、ジューシーなボディが魅力のお酒です。

ワイン:信州まし野ワイン「サンセミヨン 2014」
りんご農家出身のワイナリーで、ワインの他に林檎や梨などを使った果実酒も製造しています。
サンセミヨンというブドウから造られたこちらのワインは、マスカットのような果実味とアイスティーのような爽やかさが印象的です。やや辛口の仕上がりでメリハリがありますが、風味は控えめで、やさしく穏やかです。

おつまみ:信州・長門牧場「味噌チーズ」
ゴーダチーズを地元の信州味噌と合わせて和風に仕立てた一品。少しキャラメルのような風味が特徴的ですが、主張しすぎない味わい。日本酒とワイン、双方に寄り添った味わいで、まとまりの良いペアリングになりました。

ペアリング 2:「フレッシュ」

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伊東酒造「横笛 活性にごり酒」
小布施ワイナリー「ソーヴィニヨンブラン KUMANDO 2015」
水城「やま仙漬(柚子)」 「信州奈良漬け」

日本酒:伊東酒造「横笛 活性にごり酒」
伊東酒造は、諏訪地方の酒蔵。周囲の蔵と一緒に「諏訪五蔵」という酒蔵グループを結成しています。
「横笛 活性にごり酒」は、酵母を生きたまま瓶詰めした、微発泡のお酒です。お米と酵母の香りの余韻が長くつづきます。味わいはやや苦味がありながらもフレッシュです。

ワイン:小布施ワイナリー「ソーヴィニヨンブラン KUMANDO 2015」
もともと日本酒も造っていた小布施ワイナリー。こちらのソーヴィニヨンブランは、夏の日差しに負けない、眩しいほどにはっきりした酸が先行し、レモンゼストのような苦味があとを追います。果実の凝縮感が強いパワフルなワインです。

おつまみ:水城「やま仙漬(柚子)」「信州奈良漬け」
酒粕のアルコール感や野菜の香りが、日本酒やワインの酵母感・酸味をよく受け止めて、複雑な調和がありました。シャキシャキとした歯ごたえも相まって、フレッシュなペアリングになりました。

ペアリング 3:「熟成」

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宮坂醸造「真澄 純米 あらばしり樽酒」
楠ワイナリー「ルージュ 2010」
Marc「鹿肉ジャーキー&ベーコン」

日本酒:宮坂醸造「真澄 純米 あらばしり樽酒」
7号酵母でおなじみの宮坂醸造から、樽酒を選択。この商品が面白いのは、蔵ではなく酒屋が酒を杉樽に詰めて、さらに店頭で瓶詰めされるという点。酒蔵と酒屋、両方の個性があらわれるコラボ商品とも言えるでしょう。今回の樽酒は、富士見町の酒屋「福寿屋」で詰められたものです。杉樽の香りがきれいに出ていて、味わいには梨、ウイスキーボンボン、ホワイトチョコレートを思わせる甘さがあります。

ワイン:楠ワイナリー「ルージュ 2010」
日本のブドウ品種、マスカットベーリーAとブラッククイーンのブレンド。国産ワインは、収穫されてから1〜2年で消費されることが多いのですが、こちらは2010年に生まれて、ぶどうの瓶内熟成をゆっくり待った6年もののワインです。ウッディかつ可憐な印象が、きめ細かいタンニンによってひきたてられています。熟成を経て優しさと貫禄が増した、すごみのあるワイン。デリケートな熟成感は、国産ワインでは極めて希少です。

おつまみ:Marc 「鹿肉ジャーキー&ベーコン」
松本のデリカテッセン「Marc」の鹿肉ジャーキー・ベーコンと合わせ、熟成感をテーマにしたペアリングにしました。真澄の杉の香りとワインのシダ―ウッドのような香りの重なりが、シャルキュトリの薫製香と好相性でした。赤ワインと日本酒が重なりあった希有なペアリングになりました。

日本酒・おつまみテイスティングコメント:永木三月
ワインテイスティングコメント:帆足美波(共催)

地元の方にこそ 地酒を知ってほしい

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本イベントは、地元の方々に”あらためて地酒を紹介する”というものでしたが、ペアリングの提案や、地元の方でも触れる機会の少ないお酒の紹介に、とても興味を持っていただけました。日本酒とワインとつまみ、異なる味を重ね合わせる事で、それぞれの魅力に気づいてもらえたのではないかと思います。

日本酒にせよワインにせよ、その生産は地域と強く結びつきます。しかし、地元の方が必ずしもそれらに精通しているわけではありません。

今回のイベントを通して、酒蔵、ワイナリー、お酒を購入した酒屋を紹介することで、お酒に詳しくない方にも楽しく飲んでいただけたことは、地元の方に地酒を紹介する意義を感じた瞬間のひとつでした。

地元の方にこそ、地酒のことをもっと知ってほしい。そして、“お酒を楽しむ土壌”がさらに広がっていけばと思っています。

(文/永木三月)

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永木 三月

テイスティング専門家として活動中。ライターとしての活動の他、「おいしいもの味覚鑑賞会」という食べ比べの会を開催しています。 日本酒はもちろん、日常を支える家庭料理の楽しみから高級レストランの味わい深さまで、あらゆる食の楽しみを伝えるべく日々活動しています。

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