近年、にわかに認知が広がってきた熟成酒。
何度か試飲したことはありますが、ワインのように自分で熟成はできないものなのか?
と興味を抱き、10年度ほど前から自宅の冷蔵庫、半地下のコンクリートスペースを駆使しMy古酒造りを始めました。
独立行政法人・酒類総合研究所の日本酒百年貯蔵プロジェクト(※1)とまではいきませんが、自宅でできる古酒作りのポイントを記事にまとめてみました。
そもそも、古酒という文化は鎌倉~江戸時代初期にはあったようですが、その後は一旦低迷。
近年、冷蔵庫の普及と吟醸造りの発見により生まれた吟醸の低温貯蔵「淡熟タイプ」を皮切りに、「◯◯年古酒」という熟成酒が各酒蔵で復活。
あちこちで目にする機会が増えて来たように思います。
貯蔵何年目からが「熟成酒」になるのか?
大変難しい問題ではありますが、
長期熟成酒研究会(※2)では「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」と定義されています。
保存状態にもよりますが、出荷直後と比べると明らかな変化が見えるようになるのが3年位という気もします。
では実際に一般家庭で日本酒を3年以上熟成させる場合、
①直射日光を遮る。
②本醸造、純米酒は常温で(真夏の最高気温は28度まで)
③吟醸酒は冷蔵庫で1年ほど寝かせ、香り・アルコールが落ち着いた後にワインセラー(15~18度)
もしくは最後まで冷蔵で。詰まる所、重要なのは、温度コントロールです。
冷蔵庫、ワインセラーで熟成できたらベストですが、中々そこまではできないのが現状です。
常温熟成の場合、5年目でだいぶ褐色がかった熟れた味になってきます。
以上の項目を守り、我が家で眠る日本酒を1部写真に収めてみました。
写真(左から)
①花垣 純米5年古酒 2009年11月出荷 (2004by)
②白鶴 古酒 平成19年醸造
③満寿泉 ラモネ樽 1996by (自家熟成)
~半地下常温熟成~
④綾花 特別純米 平成21年11月
⑤花垣 自然酒 米しずく 平成10年10月
一度、1年程ベランダに放置していた酒瓶に残っていたお酒を飲んでみたら、蜂蜜みたいなトロリとした質感になっていたことがあります。マデラ酒のように強制的に酸化させたお酒もある訳で、熟成の果てはこんななるのだろか?というロマンを抱きつつ、毎年ロンドンで行われるインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC、※3)でも純米、吟醸以外の第7番目の部門として「古酒の部」があります。
海外でも認知が広まる熟成酒、熟成プロセスにおける研究結果の開示が進むことで、ワインのようにもっと身近に楽しめる日が来ることを願っております。
※1独立行政法人 酒類総合研究所 日本酒百年貯蔵プロジェクト
※2長期熟成研究会
日本酒の魅力を、すべての人へ – SAKETIMES
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