こんにちは、栃木県宇都宮市在住、イラストレーターひらたともみです。19歳、12歳、4歳の2男1女の母でもあり、そして横にデカイ夫と5人で暮らしております。

そんな私、ひらたともみは数年前から酒を呑みながら聴く曲を模索している。

それはBGMではない。

1日の憂さをいたわってくれるような、心染みる曲はないだろうかと、流行りの横文字グループから金髪シンガーまで、まるでドラ●もんが「なんかないか~なんかないか~」とポケットを漁るように探しているのだが、どうも求めているものが見つからないでいる。

主婦という座卓に甘え、幼子と一緒になって、いつまでもアニソンしか知らないままじゃ、なんだかやばい!だからといって若作りしすぎて、ハートふわふわ、お花畑的なシンガーの恋歌じゃ、酸いも甘いも知ってしまった中年にはイタイ。イタすぎる…。

ふと、思う。

演歌はどうだろうか。

私の父は歌の上手い人で、まだ子どもだった頃 (およそ1980年代)、今のようにカラオケルームなるものが存在せず、ちょいと歌の上手い人たちは、町内会やらイベントのカラオケ大会なるものに挙って出場したものだ。

私の父もよくあちこちのカラオケ大会に出場していた。

歌うのは北島三郎や鳥羽一郎のド演歌。しかも毎回のように優勝し、家の茶の間にはトロフィーや賞状がズラリと並んでいた。

演歌好きの父は、家でも車の中でもカセットテープで演歌を聴いていた。なにしろ四六時中だったので、自然と私も演歌を覚えたものだ。

しばらく演歌から程遠い生活をしていたが、そうか!演歌はどうだろう…。

 

◎演歌の歌詞には"酒"というワードがよくある。

これは手ごたえあるんじゃないか・・・!!

それは、初恋の人と再会するような、高鳴る気持ち!
そんな思いで早速演歌を聴いてみた。

◎中年が日本酒をしみじみ呑みながら聴きたい演歌・・・

「♪ 飲ませてください もう少し  今夜は帰れない帰りたくない

誰が待つというのあの部屋に そうよ誰もいないわ 今では~…」

これは日野美歌の「氷雨」。

改めて感じる、すばらしい美声。気がつくとフルコーラスでしっかりと2番まで歌える自分…。

「♪ 無理して飲んじゃいけないと 肩をやさしく抱き寄せた

あの人どうしているかしら 噂を聞けば会いたくて 思いで酒に酔うばかり~…」

おぉぉ~~!こっちは小林幸子の「思いで酒」ではないか!!

古びた場末のスナックで片寄せあうアベックが目に浮かぶ。カップルじゃなくて、アベックな!
それから立て続けに、吉幾三の「酒よ」、千昌夫の「望郷酒場」をガッツリ聴き、なんとま~、日本酒と東北弁の演歌が胸に染み渡る!

惚れたはれたの恨み節も、演歌の抑揚がつけば、多くの中年層がこれまで経験したであろう、紆余曲折の人生と重なる。

八代亜紀の「舟唄」がかかった頃には、「♪ しみじみ飲めばじみじみとぉ~」に合わせてゆっくり猪口(ちょこ)を口元に運んでいる。
歌詞にどっぷり酔いどれてる自分!

カッコ悪いけどカッコいいぞ!自分!

◎日本酒と演歌の点と線。

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今ではわりと若い方でも日本酒好きが増えたが、演歌と日本酒には、「若いもんにはわかんねーよww」と言われがちという、共通点がある。

この、容赦ないご年配者からのバッサリ発言。

当時は「ちぇっ!」と口を尖らすくらいしかできなかったが、確かに年齢を重ねていくと身にしみて理解できることがある。これはあくまでも私の場合だが、若いうちにはさっぱり理解できなかった文化や芸術がいくつもあった。

だが、40を過ぎたあたりから、若い頃には「ババァくさい」と思っていいたものに趣を感じるようになったし、自然の美しさや四季の移り変わりにいちいち感動している。

花鳥風月とはよく言ったもので、「あ~…日本人でよかった…」などとお茶をすすることがぐっと増えた。

日本酒や演歌においても、若い頃には本質的な"良さ"というものを感じることがなかったのだが最近は俗にいう、"わびさび"が一気に心に染み入るようになったのが事実だ。

それは、単純に人生の経験値があがったということに尽きるのかも知れない。

遠い若かりし頃、永遠に続かないと知った恋にいくつも破れ、なんとかたどり着いた女の幸せも、小金を貯めては大損を繰り返したリーマンショックのごとく、ようやく一発当てるか、細々といくかを考える。

後戻りも先走りもできないという、一筋縄ではいかない人生を知ったとき、ようやく私は日本酒と演歌の苦味旨みのさじ加減がハッとするほど点と線でつながっているのが見えてきたといえるだろう。

それでも「演歌なんぞ、わからんよ!」という人もたくさんいるのだが、私のような1杯のかけそば感が好きな方は、演歌と日本酒でしみじみしちゃってみては!?

 

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