世界に通じる日本の伝統料理、天ぷら。
職人の妙技によって、からりと揚がった粋な味わいは、まさに和食の醍醐味といえましょう。
・・・というのは、お店での話。
今回は自宅で作るべし。それも酒とともに楽しむ「オツマミ感覚」満載な天ぷらはいかがでしょうか。
天ぷらをカジュアルに楽しむ
天ぷらの本格的な作り方、揚げ方などを追求すると上には上があり、そこは職人さんの世界。真似るのは至難の業となってしまいます。
ここで紹介するのは、おおよそ失敗は少ないだろうと思われる作り方。ですが、オツマミとしては本格的です。
串揚げというスタイルの利点は、タネ(天ぷらの材料)の切り方が簡単、そして天ぷら粉をつけて揚げるまでの作業がラク。何より、タネが一口サイズと少量なので、たくさんの種類を食べてもお腹への負担が少なく、酒のツマミとして機能的だということです。
タネは、この際何でも良いでしょう。自分の食べたい物を揚げてみませんか。
【材料】
<タネ一例>
- ウズラの卵
- ブロッコリー
- ホタテ(生)
- シュウマイ
- ヤングコーン
- マッシュルーム
- カニカマ
- アスパラ
- ネギ
ブロッコリーやアスパラなど火が通りにくそうなものは、予め電子レンジで少し柔らかくしておきます(500Wで数秒~数十秒、半生な程度に)。
<その他>
- マヨネーズ 大さじ1(約12g)
- 水 60cc
- 小麦粉 50g
- 片栗粉 10g
- 油 適量
- 塩または天つゆ(ハーブ塩がおすすめ)
【作り方】
まず、衣を用意します。近頃流行りの、卵の代わりにマヨネーズを使う方法です。
これだと、からっと揚がるだけでなく、衣の量の加減に対応しやすく卵が無駄になりません。
各分量はボウルをスケールの上に乗せて軽量するとラクです。
イ. マヨネーズを大さじ1(約12g)
ロ. 水を60cc加えマヨネーズをさっと溶きほぐす
ハ. 小麦粉50g、片栗粉10g加える
二. さっくりと混ぜる(ダマが残っている位が丁度良い)
混ぜすぎると小麦粉からグルテンという成分が出て、粘り気の原因に。からりと揚がらなくなるそうです。
ホ. タネに小麦粉を薄くまぶす(ザルを使って振るうとラク。こうすると衣の着きが良くなります)
ヘ. 串を刺します(ホタテなど安定しないものは2本使って)
時間が経つとまぶした粉にも粘りが出てくるので、粉をつけたらすぐに衣を着けて揚げましょう。
ト. 170℃~180℃で揚げます(概ね2-3分)
一度にたくさん揚げないように。串が交錯して大渋滞になるとあとが大変です。
串ごと油に沈んでしまいそうなときはクリップを使って引っかけるという技もアリ。
できれば温度計を使いマメに温度管理をしたいところです。
チ. 盛り付ける時は敷き紙を使って(余分な油を除くだけでなく、見た目にもキレイ)
リ. 塩か天つゆで(ハーブ塩がおすすめ)
これで晩酌の準備が整いました。
なんて、天ぷらを並べて悦に入っている場合ではありません。並べる間もなく、天ぷらは揚がった先から熱いのをどんどん食べるのが理想です。かの池波正太郎先生も、天ぷらは親の仇のように食えと言っています。
カジュアルな天ぷらと軽快な「残草蓬莱」を合わせる
「残草蓬莱 純米吟醸 槽場直詰生原酒 Queeen」(大矢孝酒造/神奈川)
残草蓬莱=「ざるそうほうらい」と読みます。アルコール度数"12"度にかけて、Queeen(クイーン)。「e」が一つ多いのは、より「いい」からだとか。等々、洒落はさておき、これは美味しい!
結論を先に言ってしまいましたが、今回の酒のチョイスは、まず主役の天ぷらを引き立てるような仕事をしてほしい、すなわち、料理を邪魔しないさらりとした口当たり、そして油を含んだ口をさっぱりさせるような酸味を持つことが条件でした。つまり、食欲を後押しするような「軽快な酒」であること。
華やかでフルーティーな香り。柑橘のようであり、かつメロンの甘さもあるな、と口に含む前から好印象。口に含むと甘酸っぱさが微発泡に乗ってふんわりと。それでいて主張し過ぎない程良い酸味は天ぷらとの相性の良さを感じさせるとともに、食べるたびに爽やかな余韻を演出してくれて、実に良縁です。
しっかりとした呑みごたえがありながら、度数は控えめ。だから、すいすいと酒が進む。そのテンポに呼応して天ぷらにも手が伸びる。
食中酒としての役割を見事に果たした今回の「残草蓬莱」。私の中では、低アルコールの決定版!と言えるほどの満足度でした。
(文:KOTA/編集:SAKETIMES)