こんにちはSAKETIMES編集部です。
近年、20代〜30代の若い世代を中心に日本の地域性や日本の伝統文化への関心が高まり、日本固有の文化的価値の見直しと再構築化が各分野においてなされています。その流れは日本酒においても同様で、そういった日本文化に関心の高い若者たちが日本酒に興味をもち、日本酒を味わうシーンが増えてきています。
とはいっても、ビールや発泡酒など他の酒類と比較して、日本酒の若い世代への浸透力の低さは未だ否めません。
それは、若い世代にとって日本酒がビールや発泡酒などと比べ「親しみにくい」「飲みなれない」存在であるためだといえます。そんな日本酒を若者はもちろん多くの方に「親しみやすく、楽しめるもの」へと変え、さらには世界に広げていくことを指針とし活動を行っているチームがあります。その名も「WAKAZE」。そんな、チームWAKAZEが日本酒ビギナーの方にも楽しんでいただける日本酒を醸しました。
チームWAKAZEが造られるまで
チームWAKAZEを立ち上げた当初の目的は、海外で日本酒をつくること。代表である稲川さんは、ご実家が酒蔵である共同代表の今井さんに日本酒を海外で造ることを持ちかけます。舞台が海外ともなると、ほとんどの方が日本酒を味わった経験がありません。つまり、大多数の方が日本酒ビギナー。
そういった方々への日本酒の導入にはどんなものがマッチするのかという課題解決のために、実際に数種類の日本酒を海外の方や日本酒ビギナーの方にテイスティングしていただき、コメントを集めました。すると、多くの方から「どのお酒もおいしいけれど、それよりもみんなといろんなお酒を呑み比べられるこの場がとても楽しかった。」という声が。
そこで、チームWAKAZEはお酒がコミュニケーションツールであることを再認識します。
そして今回、日本酒をコミュニケーションツールとして家族・友人とワイワイがやがや自分の好きなお酒はどれか、幅のある日本酒の世界から好きなお酒を見つけてほしい、そんな想いから、「みんなで呑み比べを楽しめるセット」をプロデュースしました。醸造元は今井さんのご実家である群馬県渋川市にある聖酒造(ひじりしゅぞう)。江戸時代天保12年創業、174年続く老舗蔵です。
そんな老舗蔵の確かな技術と若者の新しい感性で醸された5種類のWAKAZEは、日本酒のファーストタッチにぴったりな味わいに仕上がっています。
今回はそんなWAKAZEの日本酒試飲イベントにお邪魔して来ました!
日本酒ビギナーから日本酒ファンまでWAKAZEに興味を持った方々がたくさん!
このイベントは、キャリア形成支援プログラム「Cross Mentorship」とのコラボで、社会人・学生向けの日本酒飲み比べ講座として開催されました。会場提供は株式会社オプトインキュベート。今回のイベントはCross Mentorshipの「世界を彩る化学反応のきっかけをつくる」という考え方のもと、「WAKAZEを応援したい!」という想いから実現しました。
日本酒をまったく飲んだことがないという学生の方から日本酒大好きな社会人のみなさままでバラエティ豊かな参加メンバーが集結。4~5人のグループに分かれて、WAKAZEのテイスティングを行いました。
これから体験できるWAKAZEはどんなものなのか、みなさん配られた資料をみながら思い思いに歓談をしていました。
まずは乾杯!
乾杯は、「WAKAZE SWEET×SPARKLING」。会場からは「飲みやすい!」「おいしい!」との声が!米の香りもしっかりと感じられ、ふくらみもありながらキレも感じさせる活性にごり酒です。
WAKAZE5種類飲み比べ
WAKAZEは全部で5種類。
・「WAKAZE SWEET×SPARKLING」:純米吟醸、活性にごり酒【酒米】山田錦使用
瓶内二次発酵でつくられており、酵母がまだピチピチの状態で瓶詰めされるためこちらは蔵元直送。弾ける泡としっかりとした米の甘みが絶妙な乾杯酒です。
・「WAKAZE SWEET×FLAVER」:純米吟醸、火入れなし直詰め【酒米】渡船使用
「究極の1本を造りたかった」と今井さんが語るこちらは、ふくよかな甘みを感じさせながらも酸味もしっかりと感じる華やかな味わいです。
・「WAKAZE SWEET×CLEAR」:特別純米、火入れあり【酒米】五百万石使用
バナナのような甘い香りが特徴。甘みと酸味をバランス良く感じさせてくれる、あと味すっきりなお酒です。
・「WAKAZE DRY×FLAVER」:大吟醸、醸造アルコール添加、火入れなし【酒米】山田錦使用
こちらは 薫り高く、まったりとした飲み口に厚みのある旨みが特徴。聖酒造の代表銘柄であり金賞受賞酒の「関東の華」と同じ造りで醸されています。
・「WAKAZE DRY×CLEAR」:特別純米、火入れあり【酒米】舞風使用
酵母から酒米までオール群馬のお酒です。こちらは、油の強い料理にも相性ぴったり。すっきりとした淡麗辛口です。
WAKAZEに合うおつまみがずらり!
目にも鮮やかな、WAKAZE5種類それぞれに合うおつまみが並びました!日本酒を飲む際に大切にしたいことの一つとしてお食事のマリアージュをWAKAZEはご提案しています。
野菜をたっぷり使っているものばかりなので、ヘルシー志向な方にもうれしいラインナップです。
もちろん、WAKAZEとの相性は抜群。特に、上記写真手前のラタトゥイユとWAKAZE DRY×CLEARの組み合わせがたまりませんでした。野菜の旨みを引き立てながら、油をさっと流してくれる絶妙なマッチング。杯がすすみました!
今井さんから日本酒ビギナー向けに日本酒についてのレクチャーが!
WAKAZEを楽しみながら今井さんによるビギナー向けの日本酒講義が行われました。今回、WAKAZEがどのように造られているのかを丁寧に説明してくれました。日本酒専門用語もきっちり解説。会場からは、「聞いたことあったけどそういう意味だとは知らなかった!」、「造りを知れるっておもしろい!」などの声が。
日本酒の魅力について語る参加者のみなさん
みなさん、WAKAZEを堪能してちょっとほろ酔い気味でご歓談。ほとんどの方がそれぞれに初対面というなかで、どのグループの方々も和気あいあいとWAKAZEとお料理に舌鼓をうっていました。WAKAZEがご提案する、「日本酒をコミュニケーションツールに」という一端を垣間見ることができました。
そして、これからのWAKAZE
(左からWAKAZE今井翔也さん、WAKAZE稲川琢磨さん、Cross Mentorship主宰清水香央里さん)
稲川さんがこれまでの活動を通じて感じたこととして、造り手側がおいしいものを造ることも重要であると同時に、やはり今、日本酒に足りていないのは「いかに伝えるか」ということ。
「日本人が日本のものをもっと積極的に好きになるべきだと思うんです。でもそのためにはその取っ掛かりが必要なんです。」
特に若い方に向けてはいかに親しみやすく、わかりやすく伝えるかということが重要になってきます。そして今までの日本酒を広める動きにはそれが足りていませんでした。WAKAZEは今後、そんなみなさんのトリガー的存在として日本酒業界、ひいては日本文化としての日本酒を盛り上げていく存在になっていきたいとのことです。
具体的には、今回の「WAKAZEの飲み比べセット」や「消費者の立場に立ってどんなシーンでどんなお酒を飲みたいか?という問いに答えるお酒造り」、「POPなパッケージデザインやリーフレットを入れることで楽しんでもらえる等の工夫」、また「そのお酒をどのように楽しむかを伝えるイベントや情報発信」などさまざまな部分で既存のやり方とは異なるチャレンジを行っていきます。
そしてWAKAZEはさらに、海外での日本酒醸造を目指して、継続的にプロジェクトを推進していきます。まずは第1弾として「聖酒造のお酒&WAKAZE飲み比べセットの海外展開」のプロジェクトが経済産業省JAPANプロデュース事業「MORE THANプロジェクト」(※)に採択され、フランスでの販売展開を行います。
(※MORE THAN プロジェクトとは、日本の商材・サービスを海外へ届けたい中小企業×プロデュースチームの活動を支援する経済産業省の事業です。)
政府とのコラボレーション事業も開始し、これからの活動がとても楽しみですね!
フレッシュな感性で次々と日本酒業界に新しい旋風を巻き起こしていくWAKAZE。
WAKAZEの今後の動きをSAKETIMESも追いかけ続けます。乞うご期待です。
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