ラグジュアリーブランドのショップが立ち並ぶ表参道エリアに、全国各地の蔵元を招いた試飲会を毎月開催している老舗酒屋があります。

青山三河屋川島商店の店舗外観

東京メトロの表参道駅から徒歩でおよそ1分ほど、国道246号を渋谷方向へ歩いていると見えるのが、明治34年(1901年)に創業した「青山三河屋 川島商店」(以下「青山三河屋」)です。

蔵元とともに日本酒を味わう

店内に入ると、壁二面に大型冷蔵庫とワインセラーがありました。

反対側には、日本酒、焼酎、ワイン、和リキュール、国産ウィスキー、クラフトビールがきれいに並んでいます。店内には、心地の良いジャズが流れていました。

青山三河屋川島商店店内の大型冷蔵庫

「青山三河屋」が蔵元を囲んでの試飲会を始めたのは2013年11月。これまで、50回以上開催してきたそうです。日本ワインの会も含めると、今年3月でちょうど100回目の開催を迎えるそうで、毎回キャンセル待ちが出るほどの人気イベントです。

これまでに登場した銘柄は、まんさくの花、大平山、南部美人、鯉川、出羽桜、水芭蕉、東力士、いずみ橋、〆張鶴、花垣、七賢、北信流、酒一筋、車坂、雁木、七冠馬、千代むすび、寒北斗、川鶴など......さすがのラインナップです。

青山三河屋川島商店の試飲会に参加した「開運」の蔵元

試飲会に参加した「開運」の蔵元

2018年9月には「開運」を醸す土井酒造場(静岡県)が来店しました。

角打ち会で燗酒を提供する勤続25年のベテランスタッフ、お燗ニストの鈴木さん

試飲会では、テイスティンググラスを使った飲み比べだけでなく、燗酒も提供されます。最高の塩梅で燗をつけてくれるのは、勤続25年のベテラン・鈴木さんです。

青山三河屋川島商店の試飲会に参加した「まんさくの花」の蔵元

試飲会に参加した「まんさくの花」の蔵元と参加者

「青山三河屋」の試飲会の魅力は、蔵元との距離感の近さ。15人ほどの参加者が蔵元を囲み、酒造りに関するエピソードを聞きながら、同蔵の日本酒をじっくりと飲み比べる2時間はとっておきの贅沢です。

青山三河屋川島商店で販売してるおつまみ用の缶詰

また、気軽に参加できるということも人気の理由です。

参加者それぞれがおつまみをひとつ持ち寄る決まりがありますが、平均的な参加費は3,000円前後。ふだんなかなか飲めない銘柄が飲めることを考えると、リーズナブルといえるでしょう。

仕事帰りで持ち寄りのおつまみを買う時間がない場合は、店内で買うこともできますよ。

青山三河屋川島商店角打ち会のおつまみ

蔵元自身も地元名産のおつまみや自社の酒粕を使った一品を持ってくるので、日本酒との相性や地元の食文化についての話を聞くことができます。

表参道とともに歩んでいく

創業以来、100年以上にわたって表参道で商売をしてきた「青山三河屋」

実は、第二次世界大戦で空襲にあい、焼け野原から復興した歴史をもっています。また、1964年の東京オリンピックにあわせて、目の前を通る国道246号線(通称:青山通り)が整備・拡張された際、近隣の個人商店が移転していくなかで「青山三河屋」は敷地を3分の1に縮小する形でこの地に残ったそうです。。

青山三河屋川島商店の四代目、川島太さん

「青山三河屋」4代目の川島太さん

店を運営しているのは、青山生まれ・青山育ちという生粋の"青山っ子"である4代目の川島太さん。大手食品メーカーに勤務した後、家業を継ぎました。

お店で発行しているフリーペーパー「青山 笑う酒」

3代目から聞き覚えた表参道エリアの変遷や日本酒の話を織り交ぜたフリーペーパー「青山 笑う酒」

川島太さんは「ここ数年の間に、日本酒を探しに来る若い女性が増えた」と感じているようです。

また、外国人観光客の多い表参道は、日本のお土産を探すのにも便利な立地。日本語がわからずに迷っている外国人のお客さんにも、試飲をすすめながらていねいに説明し、好みの一本を選んでもらうといいます。

全国の酒蔵が東京限定として販売している「旅酒東京」という日本酒と焼酎のシリーズも、お土産にぴったりな一品。全51種類をとりそろえているのは「青山三河屋」を含めて3店のみだそうです。

全国の都道府県から参加の酒蔵が、東京限定販売として醸した「旅酒東京」という日本酒と焼酎シリーズ

試飲会で日本酒ファンを魅了しながら、一般家庭への配達など、街の酒屋としての機能も大切にしている「青山三河屋」。近くを訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

(文/中大路えりか)

◎店舗情報

◎イベント情報

  • 「青山三河屋 川島商店」試飲会
  • 開催日:不定期開催(月に一度のペースで開催)
  • 日程や参加蔵などの詳細は、店頭で配布しているフリーペーパー「青山 笑う酒」や「青山三河屋川島商店」のFacebookページで告知
  • 申込:Facebookのイベントページ、電話、メールにてお申し込みください

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