2017年7月、東京・代官山にコンセプト型のSAKEセレクトショップ「未来日本酒店 DAIKANYAMA」がオープンしました。

これまで、オンラインショップやイベントなどを通して日本酒の販売に取り組んできた「未来日本酒店」。実店舗を構えるにあたって選んだ場所は、流行最先端のエリア・代官山です。

いったいどんなお店なのでしょうか。実際にお店を訪れ、調査してきました!

代官山駅から徒歩3分。流行最先端のエリアで日本酒を!

「未来日本酒店 DAIKANYAMA」は、代官山駅から徒歩3分、恵比寿駅から徒歩7分という好立地にオープンしました。ブランドショップや有名レストランが立ち並ぶエリアにも溶け込む、モダンな店構えです。

店内には、100種類ほどの日本酒が所狭しと並べられています。

お酒は"コンセプト別"に分類され、発泡酒は「SPARKLING」、熟成酒は「VINTAGE」、果実酒は「DESERT」など、初心者にもわかりやすい設計になっています。

ボトルやラベルのデザインが工夫された「DESIGNER'S」のカテゴリーには、モダンでおしゃれな見た目の日本酒が並べられ、まるで洋服を選んでいるかのような楽しさがありました。

また、それぞれの日本酒には味の特徴を示したチャートが添付されています。「香り華やか」「香り穏やか」、「クラシック」「モダン」など、味をイメージしやすいのはうれしいですね。

ちょい飲み歓迎!テイスティングは1杯300円から

とはいえ、やっぱり実際に飲んでみないとわからない!という方は、併設しているテイスティングバーで試飲をしましょう。

店内にある日本酒のうち、常時20種類程度を1杯300円(60ml)から試飲することができます。「SAKETIMESを見て来ました」と言えば、黒板にあるメニュー以外の日本酒もテイスティングさせていただけるそう。(※混雑時など対応できない場合もあります。あらかじめご了承ください。)

こうした、酒販店で有料試飲ができるスタイルは、いわゆる「角打ち」の一種。未来日本酒店の山本社長は「サクッと飲みに来る感覚でどうぞ。ちょい飲み歓迎です」とのこと。お酒を選ぶための試飲としてはもちろん、飲み会前のゼロ次会にも使えそうですね。また、昼12:00から営業しているので、休日の昼飲みにもうってつけでしょう。

さらに、グラス1杯単位からのテイクアウトも可能(別途グラス代が必要)。日本酒を片手に代官山を歩いてみるのはいかがでしょうか。

お店のおすすめをいただきました。スタイリッシュなグラスに注がれた日本酒は、見た目もきれいで写真映えしそうですね。

「花洛 純米」(招徳酒造/京都)は、銘醸地である京都の伏見で女性杜氏が醸すお酒。京都の酒米「祝」は、絹のように軟らかく、扱いが難しいのだとか。ギュっと凝縮した米の旨味が、しっかりと感じられる味わいに仕上がっています。

少し温めても美味しそうだと思い、聞いてみると「リクエストがあればお燗もできますよ」とのこと。お燗でもテイスティングをすることができるのはありがたいですね。

「かまわぬ 生酛純米」(司牡丹酒造/高知)は、生酛の真骨頂とも言えるキレの良い酸味が夏にぴったりでした。

居心地の良い空間に、ついつい長居してしまいそう。テイスティングバーには椅子も用意されているので、じっくりとお酒を堪能したい方にもおすすめです。

目指したのは"日本酒のパリコレ"

もともとエンタメ業界の出身だという山本社長(写真中央)が、代官山という場所に酒屋を出店したのには、どんな狙いがあったのでしょう?

「私たちが目指しているのは『日本酒を飲む人が増えること』という、ただそのひとつのみ。他の酒販店と競うつもりも、ひとり勝ちするつもりもありません。

日本酒を嗜む人は、酒類消費全体の約7%と言われています。我々はそれ以外の93%、ふだん日本酒を飲んでいない人にも日本酒を提供したいと思って、この事業をスタートしました。

特に代官山はフレンチやイタリアンなど洋食レストランが人気のエリア。日本酒を飲まない人が他のエリア以上に多いのではないかと考えました。感度の高い場所で日本酒を飲む人を増やすことで、マーケット全体に影響を与えていきたいですね」

これまで代官山エリアには、日本酒専門の酒屋がありませんでした。それゆえに一般消費者はもちろん、飲食店へのアプローチもしやすいのではないかと考えたのだそう。特に、イタリアンやフレンチなどの洋食店にこそ、日本酒を提案していきたいと話していました。

お話をうかがって印象的だったのは、自分たちの利益よりも、業界全体が発展し、酒蔵がより良い酒造りに集中できる環境をつくりたいという思いでした。

日本酒を飲む人口が少ないと、コスト軽減や売れるための商品づくりが先行してしまい、本当に造りたいと思っているものが造れない状況になってしまいます。

「酒蔵には自由な酒造りをしてほしいですね。未来日本酒店のショーケースは、そのためのステージ。目指すは、"日本酒のパリコレ"です。代官山を拠点に、いろいろなコンセプトの日本酒を消費者に提案する、トレンドセッターになりたい」と、山本社長は熱く語っていました。

パリコレでは毎年、デザイナーが思いを込めてデザインしたファッションが披露されます。未来日本酒店もパリコレのように、造り手が独自に表現したお酒が並ぶステージなのかもしれません。そう思うと、ショーケースがより輝かしく見えてきました。

オリジナルブランド「STARシリーズ」

未来日本酒店では、オリジナルブランドのお酒のプロデュースもしています。"未来のスター蔵元"が醸す「STARシリーズ」では、若き造り手が醸した"今シーズンもっとも自信のあるお酒"を味わうことができるんですよ。

写真左は、吉田酒造(石川)の吉田泰之氏が醸す「Stars Blue」

イギリスへ留学した経験を活かし、国境を越えて海外の人たちにも日本酒の素晴らしさを発信している吉田氏。能登杜氏特有の"芳醇旨口"に新しい感性を加えたスタイルで注目されています。「Stars Blue」の特徴は、リンゴや梨を思わせる爽やかな酸味と優しい甘み。爽やかではあるものの軽すぎることはなく、余韻までしっかりと楽しめるお酒です。

写真中央は、阿部酒造(新潟)の阿部裕太氏が醸す「Stars Red」

阿部氏が得意とするのは、新潟の"淡麗辛口"を覆すような、米の旨味と甘みが強く綺麗な酸があるタイプ。「食前から食後まで、すべて自分のお酒で完結できる酒造り」を目標とする阿部氏の、魂が込められています。

写真右は、一宮酒造(島根)の浅野理可氏が醸す「Stars Pink」

「STARシリーズ」紅一点の浅野氏は、実家の酒蔵を守るために日々修行中。そのキャラクターから感じられる華やかなイメージとは異なり、米のポテンシャルがギュっと詰まった、濃厚で本格的な味わいが特徴です。

未来のSTAR蔵元が醸す渾身の逸品を、ぜひご賞味ください。

左から吉田泰之氏(吉田酒造/石川)、阿部裕太氏(阿部酒造/新潟)、浅野理可氏(一宮酒造/島根)

ブランドショップに来るような感覚で楽しめる、新しい酒屋「未来日本酒店 DAIKANYAMA」。代官山でのショッピングやデートのついでに、ぜひ立ち寄ってみてはいかかでしょうか。

(文/真野遥)

◎店舗情報

  • 店舗名:「未来日本酒店 DAIKANYAMA
  • 住所:東京都渋谷区代官山町14-11
  • アクセス:東急東横線 代官山駅から徒歩3分
  • 営業時間:12:00 ~ 21:00 (L.O. 21:00 )
  • 定休日:年末年始のみ
  • 電話番号:03-6312-2448

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