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女将こだわりの空間で一献。清澄白河「日本酒と肴 ぼたん」で、しっぽりと日本酒を

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話題のサードウェーブコーヒーの日本1号店がオープンするなど、ここ数年でメディアに取り上げられる機会がグッと増えた清澄白河。街を歩けば、あちらこちらで気になるお店が目に留まります。

今回は、そんな清澄白河に店を構える、こだわりの日本酒と和食を提供する「日本酒と肴 ぼたん」をご紹介。

いらっしゃいませ!割烹着姿の女将が迎える「ぼたん」

元は酒屋だったという店舗の前に到着すると、まず目に飛び込んでくるのは、ガラスがはめ込まれた木製の引き戸。お店の道路に面している部分はほとんどがこの引き戸になっています。なんだか昭和な感じで、これがまたおしゃれな雰囲気。女将の金岡さん曰く「店の中が見えすぎるかなと思った」ようですが、別の視点からするとかなり防犯効果があるそう。

引き戸を開けると、着物に割烹着という姿の小柄な金岡さんが迎えてくれます。

「いつかは自分の店を」という夢を実現

両親が飲食店を経営していた影響もあり、いつのころからか自分も店を出したいと思っていたという金岡さん。お店で働く両親の姿を見て育ち、時には手伝いもしていた経験が原点だそう。

地元は千葉県で、お祭りが盛んな土地柄のため日本酒を飲む機会は多かったそうですが、特別な想いやこだわりはなかったとか。大手フードチェーンに就職し地元を離れましたが、和食の店に興味を持ち、乃木坂にある「酒呑(ささの)」に転職。最初から日本酒を求めていたわけではありませんが、ここで様々な銘柄を知り、日本酒の世界に目覚めます。日本酒の幅広さと奥行きを知った経験を礎に、その後いくつかの店を渡り歩いて経験を積み、満を持して「日本酒と肴 ぼたん」を開店しました。

当初はひとりで切り盛りしていましたが、スタッフが増えたことで、曜日限定のランチも始めました。金岡さんの夢はさらに広がっていきます。

どんなお客様も楽しめる空間を目指して

金岡さんのこだわりは、常連のお客様を大切にすること。一見のお客様を大切にしないという意味ではなく、お店を支えてくれているという感謝の気持ちを常に忘れないということです。

また、ゆっくりとお酒を飲むことができる空間にもこだわっています。

「子連れのお客様ももちろん歓迎しますが、店内を共有している他のお客様へのご配慮をお願いしています」
「吸わないお客様もいらっしゃるのでタバコもご遠慮いただいています」

ひとつの空間の中で、たくさんのお客様に楽しんでもらおうという気遣いがうかがえますね。

女将こだわりの肴に期待大!

「味覚は人それぞれなので、お客様全員が気に入ってくれるかどうかはわかりません。そのお客様が美味しいと思うものが美味しいのですから」と前置きした上で、「でも、自分が美味しいと思うものでなければメニューに載せることはできませんし、おすすめもできません」とのこと。自信に溢れた金岡さんの言葉を聞くと、期待が膨らみます。

写真は、季節によって変わる酒肴の数々。店内で漬けている砂糖不使用のブランデー梅酒などもあります。

「ぼたん」のこだわりの日本酒とは?

料理だけでなく日本酒も日々学んでおり、勉強会や蔵見学にも積極的に出かけて知見を広めています。先日は雪深い会津方面に行ったそう。

そんなお話を聞くと、お酒のこだわりにも期待が膨らみますね。金岡さんがつくる肴に合わせたこだわりの日本酒について、いよいようかがってみます。

「決まった銘柄は置かないようにしています」
「世の中にこれだけたくさんの日本酒があるのに、扱う銘柄を固定してしまうなんてもったいないですよ」

なんと!日本酒へのこだわりは、"こんな蔵のあんな銘柄"などという話ではありませんでした。ある蔵元が語った「千の蔵の千の味」という言葉のような、日本酒への大きな広い愛を感じます。もちろん、手当たり次第になんでもということではなく、美味しいと思った日本酒と料理の相性をみて、仕入れています。通うたびに、今まで知らなかったお酒との出会いも楽しめるかもしれません。実際、およそ1,2週間でお酒が入れ替わるそうですよ。

それぞれのお客様の好みに合わせられるように、さまざまなタイプの日本酒を置くようにしているそうです。淡麗なタイプや濃醇な熟成酒、フレッシュな生酒などがバランス良くそろっていました。

カウンターやテーブルにはミネラルウォーターがドンと置かれています。いわゆる"和らぎ水"で、気兼ねなく飲んでいただけるように、あえて無造作にペットボトル入りで提供しているのだとか。

お猪口や平盃は、さまざまな種類のものが竹製のカゴにギュッと入れられていました。
「お好みの酒器があればそれで日本酒を飲んでほしいですね。飲む日本酒が変われば、それに合わせて酒器も変えたいというお客様もいらっしゃるので、自由にやっていただいていますよ」

店内は、ちょっとした何気ないこだわりに溢れていました。自慢の肴とそれに合わせた日本酒が飲める空間をつくることが、金岡さん最大のこだわりではないでしょうか。

日本酒とともに空間に溶け込む

金岡さんはほとんど和服と割烹着で店に立つそう。今時珍しい出で立ちですよね。「年配の方にはどこか懐かしさを感じさせているのかもしれません。昭和のおじ様達たちにとって、癒やしになっているみたいですよ」と、金岡さんは笑います。日本酒に和服、ひょっとするともっとも自然な組み合わせなのかもしれません。

小柄な体で下駄の音を小気味に響かせて、日本酒を注ぎ料理を運ぶ金岡さん。そんな彼女やカウンターのお客様と他愛もない話をしながら、愛のある日本酒とこだわりの肴をいただく。「ぼたん」という空間に溶け込む心地よさを堪能したのでした。

<文/燗仁>

日本酒と肴 ぼたん
月曜定休、土日は不定休
住所:東京都江東区白河2-9-2
電話:070-6474-4139

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燗仁 (Kanjin)

もっぱら腰があってしっかり熟成した燗酒を好んで飲んでいます。ときには真面目に利き酒しれ議論を交わし、ときには家でだらだらと飲み、ときには酒仲間と盛り上がり、ときには一人でどこかの店で飲んでいます。酒を愛する人々を応援したいと思っていますが、まずは一献。