福島県にある奥の松酒造株式会社は、享保元年(1716年)創業の歴史ある酒蔵です。

2018年の全国新酒鑑評会では10年連続の金賞を受賞したほか、東北清酒鑑評会でも最優秀賞を受賞するなど、安定感のある高い技術をもちながら、同蔵の銘柄はスーパーやコンビニなどでも見かけることができ、広く親しまれています。

米100%の醸造アルコールを添加した日本酒

本記事で紹介するのは「全米吟醸 G2」。同蔵の海外向け商品です。日本国内では唯一、沖縄県でのみ購入することができます。「全米」という字面からアメリカ合衆国を思い浮かべますが、読みは「ぜんまい」です。

奥の松酒造の沖縄限定銘柄「全米吟醸 G2」

名前の由来は「"全"てを"米"からつくる」。この商品に使用されている醸造アルコールは、なんと、奥の松酒造の純米酒から造られているのです。日本酒に添加される醸造アルコールは、サトウキビから造られたアルコールが一般的といわれています。もちろん、米から造ったアルコールを使用している酒蔵もありますが、「全米吟醸 G2」は、同蔵の純米酒を蒸留したアルコールを使っているのが特徴です。

はっきりとした旨味をもつ辛口の吟醸酒

お酒を注いだグラスに鼻を近づけると、ほんのり漂うメロンの香り。甘味と酸味を併せたフルーティーな香りは、パイナップルにも例えられるでしょう。しかし、フレッシュな果実をイメージさせるほどの強さはなく、あくまでも柔らかい上立ち香といえます。

口に含んだ後にまず現れるのは甘味。続いて、ふくらみのあるはっきりとした旨味が感じられます。後半に苦味がやってきて、最後はキリッと心地良いです。香りも味も、アルコール感はさほど強くありません。まるみのある旨味が特徴的なお酒です。

奥の松「全米吟醸 G2」の裏ラベル

酒蔵がおすすめする飲み方は、冷やした状態から常温にかけての温度帯。ぬる燗でも美味しくいただくことができるようです。強いクセもなくキレの良い飲み口で、食事のお供にうってつけ。食卓で気軽に楽しみたい一品でした。

沖縄県内でのみ購入可能な奥の松酒造の「全米吟醸 G2」。旅行の際に、お土産として購入してみてはいかがでしょうか。

◎購入した店舗

(文/嘉手川瑞姫)

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