松尾芭蕉も愛した地の地酒蔵
栃木県北部の大田原市須佐木の八溝山中の小さな集落にある地酒蔵です。大田原市は旧黒羽町ですが、この地は松尾芭蕉があの「奥の細道」の道中、最も逗留したと言われる山深い地です。その山間地で空気、水に巡まれ、地元の方に親しまれる、伝統と変化を融合させながら、けれんみのない酒を造り続けています。
地元で9割を消費する地元に根差したお酒
90年以上の歴史を持つ南部杜氏自醸酒品評会では2012年の初出品で「吟醸酒の部」で2位に入る快挙を成し遂げました。それから毎年10位以内に入る安定した成績を残しています。ほか2010年に「インターナショナルワインチャレンジ」のSAKE部門(吟醸酒、大吟醸酒の部)でSILVERメダルを受賞、新酒鑑評会の金賞受賞など優秀な成績を残しています。
生産石高は約700石ですが、これほどの銘酒ながら、基本的には地元大田原と栃木県北で約9割が消費されるというまさに地酒蔵で、日光の鬼怒川温泉でも多くの旅館で提供されています。
低精白の生酛酒などユニークなチャレンジ
銘柄は「旭興」「たまか」です。若き蔵元専務・渡邉英憲氏が製造責任者として醸し出すお酒は、 個性あふれるチャレンジ酒が多いです。88%精米という低精白の生酛酒を醸したかと思えば、さらに糠部分しか削っていない99%精米の生酛を世に送りだしたり、また古代米(赤米)を使った赤色のスパークリング酒を醸したりと常識に捉われない試みが徐々に日本酒ファンにも注目されています。
しかし、オーソドックスな酒のレベルが高いからこそ、地元で愛されるのでしょう。基本的には素朴な田舎酒という印象が強いですが、この純米吟醸は山田錦を50%まで磨いて醸されています。
上立ち香は上品な果実感を感じ、その後はまろやかでかつ太い旨み甘味を感じますが、最後はスッキリと切れていき味を引き締めてくれます。深みがありバランスの取れた味わいで色々な料理と合わせることができるでしょう。
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