にごり酒の元祖
今では、日本酒のにごり酒や、発泡酒はポピュラーなものとなりましたが、そのにごり発泡酒の元祖が、延宝3年(1675年)創業で、酒どころ伏見でも最古の歴史を持つ増田徳兵衛商店なのです。にごり酒といえば「月の桂」という時代が長く続いていたと感じます。筆者も1990年代後半は、このお酒ばかり飲んでいた時期があります。
昔ながらの「どぶろく」を復活
醸造学の権威である坂口謹一郎博士の「どぶろくのような酒が飲みたい」という思いに蔵の13代増田徳兵衛が応えます。熱殺菌は一切せず、しっかりと発酵させた醪をタンクの中ほどからくみ出して、オリを分離させ荒越しして瓶詰めします。と言える大極上中汲にごり酒は昭和41年(1966年)に誕生しました。その年から「月の桂にごり酒を飲む会」を立ち上げ、今でも東京や大阪などで続いています。坂口博士は「元祖にごり酒」のお墨付きを同蔵に与えています。
開栓注意の「米のシャンパン」
「米のシャンパン」とも称される同酒は、酵母が生きている醪がタップリ混ざっていますので、炭酸ガスを出し、シュワシュワ感が強烈です。一気に開栓すると、吹き出す確率は100%ですので、開栓時は注意が必要です。
味わいと言えば、炭酸水のような強い発泡感とアルコール感が心地よく、にごり酒ですが、適度な酸もあり、ベタベタした甘味は感じません。最後ににごり酒のトロッとした甘味を感じますが、非常に洗練された切れ味ある味わいです。筆者がたまに手伝う焼鳥屋の若旦那は「ラフランスなどの洋梨みたいな味わい」と表現していました。ロングセラーになるのも、追随する酒蔵が後を切らないのも頷ける味わいです。これは絶対に冷やして飲んで下さい。オンザロックもおススメです。
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