2024年3月、北陸新幹線が敦賀駅まで延伸し、首都圏から福井県まで最短で3時間弱で行けるようになりました。今、旅行先のひとつとして、福井県が注目されています。

そこで、SAKETIMES編集部は、読者のみなさんに飲んでほしい福井県の日本酒をピックアップ。4週にわたって紹介します。

第3回は、福井県の美浜町にある三宅彦右衛門酒造の「早瀬浦 純米吟醸酒 さかほまれ」です。

地元の漁師に愛される「早瀬浦」

「早瀬浦」を造る三宅彦右衛門酒造があるのは、嶺南(れいなん)地方と呼ばれる福井県の南部・美浜町。

美浜町と若狭町にまたがる5つの湖(通称:三方五湖)のうち、海に面している久々子湖(くぐしこ)のほとりに立地しています。海に近く、1713年(享保3年)の創業以来、地元の漁師たちに愛されてきました。

酒蔵の井戸からは、日本酒の醸造に適したミネラル分をたくさん含んだ硬水が湧いているそうで、その仕込み水のおかげで、しっかりとした旨味のある味わいが生まれます。ミネラル感のある味わいは、魚介類との相性が抜群です。

「早瀬浦 純米吟醸酒 さかほまれ」に使用されている酒米は「さかほまれ」。

2020年に、福井県農業試験場と福井県酒造組合が共同開発した新しい品種です。酒米の王様と呼ばれる「山田錦」と、福井県オリジナルの酒米「越の雫」を掛け合わせて、より良い大吟醸酒を造るために誕生しました。

“ミネラル感”のある味で、魚介類と好相性!

それでは、実際に飲んでみましょう。

純米吟醸酒ならではの甘味のある香りからは、フルーティーな印象を感じました。熟したやわらかい果実ではなく、まだ青くて硬い果実のような、シャープなさわやかさのある甘味です。

飲んでみると、まずは香りと同じようにフルーティーな甘味が感じられますが、炊いた白米のようなふっくらとした旨味が波のようにゆったりと押し寄せてきます。後口はドライでキレが良く、全体的にシンプルで穏やかな味わいです。

印象的だったのは、後口のさわやかな酸味と苦味、そして「早瀬浦」に共通するミネラル感。

すっきりとした後口を充分に堪能するために、しっかりと冷やしてから飲むのがおすすめです。クラシックで硬派な味わいですが、ぶれない軸をもった安定感のある一本でした。

全体のバランスが良く、どんな料理やおつまみにも寄り添ってくれそうな味わいですが、特に新鮮な魚介類との相性が期待できそうです。

たとえば、福井県の名産でもあるマダイやヒラメなど、淡白でありながらも旨味のある魚介類の刺身と合わせれば、間違いないでしょう。後口のさわやかな酸味を活かして、レモン汁を少し絞ったタコやイカとの相性も良さそうです。

第1回の「常山 純米辛口 超」の記事でも紹介しましたが、福井県の日本酒は、後口のシャープなキレと米由来の豊かな旨味が共存した「淡麗旨口」の味わいが特徴です。今回の「早瀬浦 純米吟醸酒 さかほまれ」も、その「淡麗旨口」がしっかりと表現されていました。

福井県で魚介類とともに日本酒を楽しみたい時には外せない「早瀬浦」。現地を訪れて飲んでみてください。

(執筆・編集:SAKETIMES編集部)

◎商品概要

  • 商品名:早瀬浦 純米吟醸酒 さかほまれ
  • 原材料:米(国産)、米麹(国産米)
  • 原料米:さかほまれ 100%
  • 精米歩合:50%
  • アルコール度数:15%
  • 容量:720mL
  • 購入価格:2,145円(税込)
  • 醸造元:三宅彦右衛門酒造有限会社(福井県三方郡美浜町早瀬21-7)