千葉県富津市にある和蔵酒造のお酒造りを体験してきました。海が近いせいか地下水が硬水よりで、男酒な日本酒を醸している酒蔵です。

圧巻の限定吸水、迫力の蒸米

まずは洗米から。
1秒ごとにカウントダウンしながら米を洗い、吸水させ、水を切ります。数秒という短時間で米をきれいに洗うのはもちろんのこと、水をかける量までも計算された手際の良さ。
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私も洗米を体験させてもらいましたが、寒空の下、大量の米や冷たい水と格闘するのはとても大変な作業です。私が洗ったものは水がわずかに濁っており、きちんと洗われていないのが一目瞭然でした。
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こちらで使われている酒米は「山田錦」のほか、千葉の酒米「総の舞(ふさのまい)」と食用米の「ふさこがね」。写真のお米は「総の舞」です。
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巨大な釜でお米を蒸します。
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ちなみに、蒸し米を食べてもさほど美味しくありません。これが美味しい日本酒になるのですから、あらためて発酵の力は凄いなぁと思い知らされます。
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蒸し米はほぐしながら急冷されます。実際に触ってみると、思ったよりかためでした。この蒸し米は麹米と掛米になります。
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麹米を布でまとめます。
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緊張の麹室

特別に麹室にも入れてもらいました。
麹室って何だかとても神聖な部屋ですよね。麹菌をふる作業は緊張の瞬間です。麹米をほぐし、適温にし、適量の種麹をていねいにふる。まさに職人技です。
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これは前日に種麹をふったもの。吟醸用で突破精(つきはぜ)です。よく見ると米の内部まできれいに菌が入り込んでいるのがわかります。
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気合の酒母造り

麹米は全て台車に乗せて酒母室へ。
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タンクには酵母がすでに入っており、麹米を加えて混ぜていきます。
杜氏の声がけのもと、3人の息がぴったりと合ってリズミカルに作業が行われていました。和蔵酒造は、すべて協会酵母を用いた速醸造りです。
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掛米は、エアシューターを通って発酵タンクへ。
蒸し米がまんべんなく行きわたるよう櫂を入れますが、これも想像よりずっと重くて、私は1タンク分を混ぜるだけでヘトヘトになりました。
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発酵中のタンクはプスプスとガスが発生していますが、これは搾りが近いもの。表面は落ちついていて、香りも弱めです。
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酸度、酒度、アミノ酸、度数、味わい、そのすべて確認し、一番良い状態を見逃さないように、すべてのタンクを毎日チェックします。
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あらばしり、中取り、責めを飲み比べ!

まずは、醪(もろみ)を試飲させてもらいました。
米のツブツブした食感、まだ荒々しさが残り、味がまとまっていない感じが何とも言えない不思議な風味。個人的には搾りたてより醪のほうが好きです。
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とはいいつつも、搾りたても喜んで試飲させてもらいました。
あらばしり、中取り、責め。こうして同時に味比べができるのは酒蔵ならでは。それぞれを別々に商品化している蔵もありますが、和蔵酒造は全てブレンドして販売しています。
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品評会出品予定のお酒を搾りたてでいただきました。
香りが華やかで余韻も長く、それでいて味のキレは良い。出品用らしい吟醸酒でした。しばらく熟成させると、もっと味が乗ってくるかもしれません。
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最後は、和蔵酒造の全商品を試飲。お燗も温度を変えながら試してみました。
好みだったのは「聖泉 純米 無濾過生原酒」と「聖泉 竹岡 一火無濾過特別純米酒 」。旨みが広がってふくよかなお酒です。しかし、価格の安い本醸造も熱燗にすると燗上がりして実に美味しく、どのお酒もていねいに造られているのだと感じました。
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和蔵酒造は900石と比較的出荷量が多い酒蔵なので、ラベルは機械で貼っているのかと思いましたが、すべて手作業でした。1本1本、心を込めて貼っているのですね。
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6代目蔵元の池田さん。
お人柄も良く、食事とお酒の相性についても普及していきたいと仰っていました。新商品も出しているので、今後の和蔵酒造のお酒がどう変わっていくのか楽しみです。
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(文/まゆみ)

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