SAKETIMESでは、企画からラベルデザインまで、宏和日立酒造が挑戦する新銘柄「Any.」の開発を追いかけてきました。

kowa_any004_01jpg▲「Any.」のボトルデザイン

「Any.」は、まさに今、商品化にむけて仕込み中。ドキュメンタリー連載第5回は、は宏和日立酒造に向かい、製造責任者・長岡杜氏の"酒造り哲学”をインタビューして来ました!

宏和日立酒造について

宏和日立酒造は、宏和商工というブライダル事業を生業とする会社が母体です。
もともとブライダルギフトのひとつとして日本酒を提供していたのですが、「お客様にもっと高品質な日本酒を提供したい」という想いから、2006年になんと茨城県の酒蔵を買収してしまったという変わった経歴を持つ蔵です。

その後、蔵の買収から8年で全国新酒鑑評会・金賞を受賞するという成長著しい宏和日立酒造。そんな酒蔵が、より多くの方に良質なお酒を届けたいと考え、チャレンジしているのが「Any.」という新銘柄の開発です。

茨城県日立市・十王に位置する宏和日立酒造

宏和日立酒造が位置するのは、茨城県日立市は十王。日立市は、日立鉱山の発展により日本有数の工業都市になりましたが、一方で、豊かで美しい自然も特徴です。水が命である日本酒造りにとって、ミネラルたっぷりの川が流れ、湧き水スポットも多く存在するという好条件な環境です。

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東京から電車でおよそ2時間半。都心の生活では感じられない穏やかな空気が流れています。

駅から歩くこと約10分で到着します。

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「宏和商工・宏和日立酒造」の看板に、代表商品である「十王蔵」や、全国新酒鑑評会・金賞を見事獲得した「二人舞台」のマークが目印です。

蔵の敷地に足を踏み入れると、「いらっしゃい。遠い所からよくお越しくださいました。」 後ろから穏やかな声が。

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宏和日立酒造の製造責任者・長岡杜氏にお出迎いただきました。長岡氏は放射線技師を経て農大で酒造りを学び、杜氏になった異色の経歴の持ち主。長岡杜氏に、酒造りにかける想いとただ今仕込み真っ只中の「Any.」についてお伺いしました。

「Any.」製造責任者・長岡杜氏の“酒造り哲学”とは?

― 長岡杜氏は放射線技師を経て杜氏になられた、業界としては珍しい経歴ですが、杜氏になるまでの経緯をお教え下さい。

酒造を買収した際、元々蔵の持ち主であった杜氏が蔵の指揮をとるはずでした。ところが、買収してすぐにその杜氏が急に亡くなり…。予想外の出来事で、宏和日立酒造のスタートは、まず作り手を探すところからはじまりました。

ご縁で先代の杜氏を出迎え、まずは床貼りやタンク手配など基本的な場作りを整えた後、やっと造りに入る事ができました。

当時、私は放射線技師から酒造りの世界へ入るための勉強中。とにかくなんでも学ぼうと、人手が足りない部分を手伝い、様々な役割を経験しました。 先代は蔵で働くため家族と離れていたのですが、2011年東北地震の際、先代の地元・家族の暮らす岩手が大変な被害にあいました。その時からタイミングを見て引退をしたいという先代の意向を汲み、2013年、ついに僕が杜氏を引き継ぐこととなりました。

― 十王蔵は今に至るまで、多くの方の苦労と努力があったのですね。長岡さんが現在杜氏として気をつけている事はありますか?

杜氏は、酒蔵の最高責任者。良い酒ができるか否かは杜氏の責任になるので、杜氏が最終的にきめたやり方・方向にチームとして進んで行きます。そのためには、蔵人たちと同じ目線になることが必要です。例えば新しい味へ挑戦する際、「この味をつくりたい」と蔵人に理解してもらうことがとても重要なので、全員が納得するまで説明しています。酒造りは1人ではできない、チーム戦ですから。

また、長島氏は、常に蔵の状況を把握し、どの工程においても常にフォローできる状態にしているそうです。

自分より日本酒造りを追求し、知識豊富な方はたくさんいて、足もとにも及びません。ただ、自分が絶対にやらなければならないのは、自分の蔵を守ることです。自分の蔵を離れず、蔵のことを誰よりも自分が理解して「あのタンクは今こうなっている」とか「あの酵母の状態はこうだ」とか、蔵の様子を細部まで把握し続けようと思っています。

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― とてもストイックに“杜氏”というお仕事に向き合っていらっしゃるんですね! そんな長岡杜氏の酒造りへのこだわりは何ですか?

私たちのこだわりは“地元茨城県のものだけを使った日本酒造り”にあります。 宏和日立酒造では、日本酒造りに水もコシヒカリも、茨城県産のものを使います。もちろん必ず地元のものが優れている、とうことではなく、場合によっては造りにくいこともあります。しかし、僕らは、地元にものづくりを還元でき、地元に愛されるブランドを目指しています。茨城県産の日本酒が多くの人に飲まれるよう、商品や作り方に個性をだし、よりよい日本酒を造りたいと思っています。

現在仕込み中の「Any.」も、すべて茨城県産のもので造っているんですよね。新銘柄「Any.」について教えてください。

「Any.」は現在酵母づくりの真っ最中です。

image037▲「Any.」の酒母

「Any.」の特徴は2つ、まずは宏和日立酒造では初めて使用する、茨城県産の「小川酵母」を使用しています。「Any.」の”飲む人を選ばない、どんな日本酒よりも優しいお酒“というコンセプトを実現するためには、これまでにない味をだすべく、新しい酵母を使う必要がありました。

また、「Any.」は“生酛づくり”という、自然の乳酸菌によって日数をかけて乳酸を造る方法をとっているため、無添加・オーガニックな日本酒です。 「Any.」は、僕にとっても初めての挑戦だらけで、どのような味わいになるのか、最終的には搾らないとわかりません。
しかし、「Any.」も他の商品と同様、すべて地元産を使用し、こだわる点はなんら変わりません。慌てず慎重に、着実に完成させていきます。 そして「Any.」が新たな茨城県産ブランドのひとつになればと思っています。

― ありがとうございます。長岡杜氏のこだわり、職人の誇りがとても伝わりました。

「Any.」を製造する宏和日立酒造をご紹介!

インタビューをさせていただいた後は、酒蔵の中を案内していただきました!

「Any.」を製造する宏和日立酒造は、比較的小規模なこじんまりとした酒蔵です。これは数十年前に上空から移した写真だそうですが、大体のサイズ感が分かりますね。

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蔵に入ると、まず目についたのは壁。蔵はレンガ造りなんです!

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屋根の色や壁の色も、どこかモダンな雰囲気が漂います。

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ちょうど米研ぎをやっていました。米はすべて茨城県のコシヒカリ。

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ここは麹室。蒸米に麹菌を植え付けて繁殖させ、日本酒のもととなる麹を造ります。

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中にはこんな道具もありました。

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蒸し米を平らにならす道具です。「ちょうどよいものがなくて、ギザギザになるよう手作りで工作しました」と長岡杜氏。人情あふれる手作り品も、きっちりと酒造りに活かされているんですね!

次に、もろみ造り中のタンクへと進みます。タンクの中は、独特のキレのある香りが広がります。

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こちらのタンクの中には氷が!暖冬の影響で、氷を入れて温度を調節しているそうです。

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しっかり寝かせたもろみを絞り機にかけると・・・ 清酒に変身!重み・キレのある香りがします。

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こうして出来た清酒は、火を入れた後、瓶詰めされ商品となります。
この日は、瓶詰め作業も行われていました。

「ガシャン、シュ!」という音をたてて、どんどん瓶詰めされた商品が完成していく姿は、迫力満点です!宏和日立酒造では、これらの工程を通して日々日本酒造りが行われています。

クラウドファンディング「Makuake」にて、いよいよ先行発売開始!

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長岡杜氏渾身の新銘柄「Any.」は、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて先行予約販売を開始!世界にたった1000本だけの完全数量限定で生産されます。プロジェクトの公開から10日で、早くも50万円近い支援が集まっています。

数々の賞を受賞している実力派蔵が、造りからデザインまで徹底的にこだわって製造する「Any.」が手に入るのは今だけ!皆さまどうぞご支援ください!

クラウドファンディング「Makuake」プロジェクトページはこちら

(取材・文/SAKETIMES編集部)

sponsored by 宏和商工

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