2024年3月2日(土)、京都市伏見区にて、伏見酒造組合が主催する日本酒イベント「伏見 酒フェス~FUSHIMI SAKE FES.~」が初めて開催されました。
本イベントのメイン会場には、有料試飲エリアと入場無料エリアが設けられ、有料試飲エリアでは、伏見区内の18酒蔵が各社自慢の一本を出品し、その中から3種類を選んで試飲することができます。入場無料エリアでは、特設ステージやフードブース、日本酒を購入できる物販ブースが設けられました。
さらに同日、伏見エリアでは、11酒蔵の蔵開きをはじめ、地元商店街を回遊するスタンプラリーなども実施されました。前売券5,000枚が完売し、開催前から注目されていた新しい日本酒イベントの様子を、編集部がレポートします。
前売りチケット5,000枚は完売!注目の日本酒イベント
「伏見 酒フェス」のメイン会場は、JR京都駅から電車で約20分の中書島(ちゅうしょじま)駅からほど近い「伏見港公園」。会場には有料試飲エリアと入場無料エリアが設けられました。
有料試飲エリアには、伏見区内の18酒蔵から各社自慢の一本が出品され、参加者はその中から3種類を選んで試飲します。前売券は1,500円で購入することができ、日本酒との引換券が3枚(約50mL×3杯)、イベントオリジナルのおちょこ、仕込み水、おつまみが付きます。引換券の追加販売はありませんでした。
編集部が会場に到着したのは、スタートの約1時間前でしたが、すでに行列ができていました。イベント関係者の話によると、8:30の時点で並んでいた方もいたのだとか。前売りチケット5,000枚は完売で、注目度の高さを感じます。
試飲したい日本酒の酒蔵名(もしくは番号)を伝えると、各日本酒がプラカップで提供されます。
当日提供されたのは、以下の18種類。京都府産の酒米を使用したものなど、幅広いラインナップでした。
- 黄桜:S 純米大吟醸
- 北川本家:富翁 純米大吟醸 ささにごり 生原酒
- 京姫酒造:山田錦大吟醸 匠
- キンシ正宗:金鵄正宗 純米吟醸
- 月桂冠:鳳麟 純米大吟醸
- 齊藤酒造:英勲 純米大吟醸原酒
- 招德酒造:純米大吟醸 雄町
- 城陽酒造:城陽 純米大吟醸40
- 宝酒造:超特撰松竹梅〈大吟醸〉2023年金賞受賞酒
- 玉乃光酒造:純米大吟醸 京の紫(限定ボトル)
- 豊澤本店:豊祝 純米大吟醸
- 東山酒造:坤滴しぼりたて原酒
- 平和酒造:慶長伏見の酒
- 増田德兵衞商店:月の桂 柳
- 松本酒造:桃の滴 特別純米酒
- 松山酒造:十石 祝 純米吟醸
- 都鶴酒造:都鶴 純米大吟醸 無濾過原酒
- 山本本家:神聖 京都産祝 純米大吟醸
編集部が注目したのは、宝酒造の「超特撰松竹梅〈大吟醸〉2023年金賞受賞酒」。華やかな吟醸香、洗練された甘味・酸味が調和した、完成された味わいの一本です。金賞受賞酒を試飲できるとは、驚きでした。
日本酒を注いでもらったら、隣のテントに移動し、飲み比べを楽しみます。20〜30代と思われる若い方々や、海外から旅行で訪日している方々など、さまざまな参加者が日本酒を味わっていました。
入場無料エリアには、地元の飲食店が料理やおつまみを提供するフードブースや、日本酒などを販売する物販ブースが設けられました。美味しそうな香りに、食欲がかき立てられます。
特設ステージでのイベントは、関係者による鏡開きからスタート。その後、ジャズの演奏やダブルダッチなど、さまざまなパフォーマンスが会場を盛り上げました。
11酒蔵の蔵開きが同時開催!
メイン会場で有料試飲を楽しんだ編集部は、酒蔵めぐりに出発しました。
最初に訪れたのは、伏見港公園から徒歩で約20分の玉乃光酒造と松山酒造です。
実はこの2つの酒蔵、細い道を挟んだ向かいにあるため、今回は合同で蔵開きを実施していました。
参加者は、2つの酒蔵を自由に行き来して、各酒蔵の日本酒の飲み比べを楽しめます。松山酒造で提供されていたのは、2023年3月に発表した新しいブランド「十石(じっこく)」の飲み比べセット。火入れと生の2種類に加え、季節限定の春酒も味わうことができました。
さらに、合同の蔵開きならではのトークショーも。玉乃光酒造の代表取締役社長 羽場洋介さんと、松山酒造の醸造責任者 高垣幸男さんの対談には、たくさんの日本酒ファンが集まっていました。お互いの酒蔵に対する印象や、これからの夢など、ほろ酔いのふたりだからこその赤裸々なトークが会場を沸かせます。
続いて訪れたのは、玉乃光酒造・松山酒造から歩いて約15分の山本本家。銘酒「神聖」を醸す酒蔵です。
限定酒の飲み比べができるとのことで、酒蔵の中を歩き回っていると......。
なんと、実際の製造現場の一部で、日本酒が提供されていました。酒蔵の中の雰囲気がわかると、より美味しく感じますね。当日限定の「神聖 愛山 純米吟醸原酒」をはじめ、ゆず酒や梅酒を含めた6種類を飲み比べることができました。
さて、最後に訪問したのは、日本を代表する大手酒蔵・月桂冠。山本本家からは、徒歩で約3分です。
参加者の視線を集めていたのは、結婚式などのおめでたいシーンで使われる菰樽(こもだる)の製作の実演。職人のスピーディーかつ正確な技術に、何度も歓声が上がりました。
その他にも何軒か酒蔵を回った後、メイン会場に戻ってきました。
有料試飲エリアは大盛況が続いています。入場無料エリアでは、物販ブースの日本酒とフードブースのおつまみで小宴会を楽しんでいる様子も見られました。みなさん、思い思いの楽しみ方で、伏見の日本酒を味わっています。
有料試飲エリアで日本酒を提供していたスタッフに話をお伺いすると、18種類のうち、特に「S 純米大吟醸」(黄桜)、「富翁 純米大吟醸 ささにごり 生原酒」(北川本家)、「坤滴しぼりたて原酒」(東山酒造)が人気だったそうです。
2024年が初めての開催となりましたが、関係者は「初回ということで課題もありましたが、ひとつずつ改善して、来年はより良いイベントにしていきたい」と来年への抱負を語ってくれました。
日本を代表する銘醸地・伏見の日本酒を存分に楽しめる「伏見 酒フェス」。次回の開催も楽しみです。ぜひ参加してみてください。
(取材・文/SAKETIMES編集部)