「世界の食卓に酔鯨を!」という大きな目標を掲げている、高知県の酔鯨酒造。

2021年に売上が10億円を突破しましたが、さらなる事業拡大を目指し、各従業員の能力を最大限に伸ばすため、人事制度の改革を推進。それぞれの個性を尊重しながら、人間として成長できる環境を整えるため、部署を超えた社内プロジェクトや新しい評価制度に取り組んでいます。

酔鯨酒造は「ひとりひとりが自立心と責任感を持ち、すべての人が輝ける、勝てる集団」として、常に進化を続けているのです。

酔鯨酒造の土佐蔵

酔鯨酒造の土佐蔵

1969年の創業当時に建てられた長浜蔵と、2018年にオープンした土佐蔵を擁する酔鯨酒造の従業員は、現在59名(製造部は23名)。近年の製造拡大に対応するため、現在、製造部の新しいメンバーを募集しています。

実際に働いている蔵人のみなさんは、酔鯨酒造のどのような点に魅力を感じているのでしょうか。新入社員からベテランまで、勤続年数が異なる3名の蔵人に、日々の仕事ややりがいについて話を聞きました。

酒造り未経験の女性でも働きやすい

2022年に入社した2年目の仲野汐美さんは、大阪府の出身。転職を機に高知県へ移住し、現在は土佐蔵で麹や酒母を担当しています。

前職は京都府にある食品会社の営業。高知県には縁がありませんでしたが、出張で繰り返し訪れるうちに、地元の方々の人柄と美味しい食べ物に惹かれ、次第に「移住したい」と考えるようになりました。

酔鯨酒造 製造部 仲野汐見さん

酔鯨酒造 製造部 仲野汐美さん

「移住にあたって、大学生の時に微生物の研究をしていたので、その知識を役立てたいと、いくつかの酒蔵を見学しました。その中でも酔鯨酒造は、酒蔵を案内してくれた蔵人のみなさんが生き生きとしていて、『ここで働いている人は、本当にお酒が好きなんだ』と感じました。その姿を見て、ここでいっしょに働きたいと思ったんです」

現在は「早朝の仕事をやってみたい」と、朝6時に始業する早番に立候補し、午後3〜4時に終業するスケジュールで勤務しています。

「酒造りの全体をまだ理解していないので、日本酒がどうやって造られるのか、いろいろな工程を経験しながら学びたいと思い、早番に立候補しました。酔鯨酒造は『やりたい』と言ったことにチャレンジさせてもらえる環境なので、ありがたいです」

酒造りはまったくの未経験でしたが、土佐蔵で働く同僚のサポートのおかげで、仕事に不安を感じたことはないとのこと。

「質問をすれば何でも答えてくれますし、困っていたらすぐに助けてもらえます。優しい人ばかりで、私が県外出身だからということもあって、高知県についていろいろと教えてくれるのもありがたいです。去年のオフシーズンは、海に遊びに連れていってもらいました」

仲野さんは、入社面接の際に「県外出身の視点から酔鯨酒造を盛り上げてほしい」と言われたといいます。酔鯨酒造は、世界の食卓に日本酒を届けるべく、常に外からの視点を求めているため、県外からの移住も歓迎しています。

また、最新設備が整った土佐蔵は、女性でも働きやすい環境になっているため、「女性だからという理由で苦労したことはない」のだそう。身体の小さい人でも安心して作業できるように、タンクのサイズは小さく設計され、米袋も一般的な30kgのサイズよりも軽い20kgのサイズを使用しています。

さらに、製造現場の動線は、酒造りの工程と同じ順番になっているので、重いものを持って蔵の中を行ったり来たりすることもありません。

酔鯨酒造の土佐蔵の内観

米を蒸す時に使用する機械の下にはレールが敷かれ、小さい力で動かすことができる。

「酔鯨酒造で働いていて、毎日が幸せです」と顔をほころばせる仲野さん。大学を卒業し、前の職場に勤めた時は、もう微生物に関わることはないと諦めていましたが、現在は酒母や醪(もろみ)の様子を眺めていると幸せな気分になれると話します。

「前職は、完成した商品を販売する仕事でしたが、自分が造ったものをみなさんに飲んでいただけるのがうれしいと感じています。早く一人前になって、自信を持って『私が造りました』と言えるようになりたいです」

誰かのために動ける人こそ、蔵人に向いている

契約社員として中途入社した山𦚰朋泰さんは、入社4年後に正社員になりました。土佐蔵の醸造業務の全般を担当しています。かつては関東地方で物流倉庫の仕事をしていたのだとか。

「物流の業界では自動化が進み、自分の仕事に対して『人間がやる必要があるのか』と疑問を持つようになっていました。30歳になったタイミングだったこともあり、文旦農家を営んでいる実家を手伝おうと、高知県に帰ってきたんです。ちょうど土佐蔵ができたばかりのころで人材を募集していたので、『酒蔵の仕事なら、季節雇用で農業と兼業することができる』と思い、契約社員として入社しました」

酔鯨酒造 製造部 山脇朋泰さん

酔鯨酒造 製造部 山𦚰朋泰さん

それまでは、日本酒を飲むことはあっても、銘柄や酒蔵までは意識していなかったそうですが、仕事を通して次第に魅力を感じるようになったといいます。

「酒造りは、自分が手を加えることで日々状態が変わっていくので、働いていて手応えがあります。そういう意味で、まさに日本酒は人間が造るべき本質的なもの。もともと、日本画や焼き物などの伝統芸術が好きだったのですが、共通する魅力があると感じています」

当初は契約社員として入社しましたが、4年目に土佐蔵の杜氏である明神真(みょうじん・まこと)さんから、正社員登用の面接を受けてみないかと推薦されます。明神さん曰く、推薦した理由は「誠実で、仕事にムラがなく、好奇心と向上心にあふれていること」。契約社員から正社員になれば、携われる仕事の幅がさらに広がると考えた山𦚰さんは、面接を受けて無事に合格しました。

酔鯨酒造「土佐蔵」の洗米場

現在は朝7時半に出勤し、麹造りの作業から仕事を開始。そのあと、仕込みに移り、再び麹造りの作業に戻り、昼食の後はチームに分かれて洗米や上槽を行います。夕方には麹の仕上げに取り掛かり、データ整理をして退勤するというスケジュールです。

「物流倉庫の仕事は時間が不規則で、深夜までかかってしまうこともあったので、今の早寝早起きの生活は健康的です。私は、土佐蔵のメンバーが少なかった立ち上げ当時から働いているので、早い段階からすべての工程に関わらせてもらうことができ、現在も業務全般に携わっています。最近は、酔鯨酒造の中でもっとも高級な商品である『DAITO』にも携わらせてもらえるようになりました」

そんな山𦚰さんが酔鯨酒造をひと言で表すと、「まわりのために行動できる人の集まり」だそう。

「前職は『誰がどこからどこまでを担当する』という役割分担が明確だったこともあって、酔鯨酒造に来た時、手が空いている人が自主的に洗い物をしていることに驚きました。すべての業務を“自分事”として捉えられる、他人のために動ける人こそ、酔鯨酒造の蔵人に向いていると思います」

大切にしているのは「和醸良酒」

長浜蔵の杜氏を務める藤村大悟さんは、2005年に新卒で入社してから、今年で勤続19年目。大学は理学部でしたが、当時からお酒が大好きで、所属していた研究室のメンバーといっしょに県内のきき酒大会に参加したこともあるほど。

酔鯨酒造 長浜蔵 杜氏 藤村大悟さん

酔鯨酒造 長浜蔵 杜氏 藤村大悟さん

入社したころは酔鯨酒造の経営が良い状態ではなく、売上が伸びなかった時代も経験している藤村さん。現在に至るまでの成長について、「当初は考えられなかった」と話します。

「いま、酔鯨酒造は会社全体で良い方向に変化してきています。長浜蔵の杜氏として、『世界中の食卓に酔鯨を!』という目標を達成するために必要な量のお酒を造れるように、がんばっていきたいと思っています」

そんな藤村杜氏の1日は、麹造りから始まります。年々増える製造量をまかなうため、醸造期間中は室休み(麹室が空くこと)はなく、48時間サイクルで出麹(完成した麹を麹室から出す作業)をしては引き込み(蒸米を麹室に入れる作業)の繰り返し。これは酔鯨酒造におけるもっとも重要な作業で、その日に出勤している5〜6人の蔵人全員で行います。

その後は、管理職としてデスクワークをしながら、時々、蔵人たちの様子を見に行きます。醸造データの分析や酒造りの方向性を決めることも杜氏の仕事ですが、現場がうまく回っているかをチェックすることは欠かしません。他の酒蔵の人から、「こんなに現場に入る杜氏は珍しい」と言われたこともあるのだとか。

「私が大切にしているのは、『和醸良酒』という言葉。先代の杜氏から教えられたのですが、良いチームワークこそが良いお酒を醸すという意味です。疲労などでモチベーションが下がっている人がいたら、酒造りに関係ない話題も含めて積極的に声をかけ、少しでも笑顔で仕事をしてもらえるようにしています」

「また、積極的なスタッフには新しい仕事を任せたり、適性に合わせて担当を入れ替えたりと、現場の様子を見ながら適材適所で働けるように判断しています。私は『俺についてこい』というタイプの杜氏ではないので、自分なりのやり方を目指した結果ですね」

酔鯨酒造に来てほしい人物像を尋ねると、「将来、杜氏になりたい人が来てくれたらうれしい」とのこと。管理職を目指したい人は自ら手を挙げるというシステムを採用している酔鯨酒造において、藤村さんもまた、2018年に長浜蔵の杜氏に立候補した一人です。

「チームをまとめられる人が来てくれたら、バトンを渡したいとも思っています。酔鯨酒造には、やりたいことにチャレンジできる環境があるので、ぜひ挑戦してほしいですね」

現在、契約社員と正社員を募集中!

3名の蔵人の話を通して、酔鯨酒造では酒造りを愛する人たちが、お互いに支え合いながら、日々の仕事にやりがいを持って取り組んでいることがわかりました。

年々成長している酔鯨酒造は、事業拡大に伴う製造量の増加に対応すべく、製造部の正社員や契約社員を募集しています。酒造りの現場に興味がある人は、ぜひ応募してみてください。

(取材・文:Saki Kimura/編集:SAKETIMES)

◎採用情報(2023年9月時点)

正社員

  • 採用人数:2名
  • 業務内容:日本酒の製造にかかわる全般、書類作成・データ入力、社内プロジェクトへの参加
  • 学歴:専修学校以上
  • その他:化学や生物学の専門的な知識があれば尚可

契約社員

  • 採用人数:2名
  • 業務内容:日本酒の製造にかかわる全般、書類作成・データ入力
  • 学歴:不問
  • その他:経験や知識は不問 ※契約社員から正社員への登用制度有

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