「白鹿」の銘柄で知られる辰馬本家酒造。創業350年を超える老舗酒蔵ながら、ビーチやグランピングイベントでフォトジェニックなSAKEカクテル「イビザショット」を提供するなど、新たな日本酒の楽しみ方を提案しています。
そんな辰馬本家酒造が「ソトノミPROJECT第3弾」として仕掛けたのが、2017年8月に都内3か所のクラブで開催した「CLUB × HAKUSHIKA」。日本酒×クラブとは一体どのようなコラボレーションなのでしょうか?実際に「SOUND MUSEUM VISION」で行われたイベント現場に潜入し、その全貌をご紹介します。
日本酒×クラブの舞台は渋谷「SOUND MUSEUM VISION」
「CLUB × HAKUSHIKA」が行われた「SOUND MUSEUM VISION」は、渋谷の道玄坂中央に位置するクラブ。渋谷駅から徒歩5分という立地にありながら、300坪の巨大なスペースの中に、オーダーメイドで設計された世界屈指のサウンドシステムを誇るメインフロア「GAIA」など4つのライブスペースが集約されています。
国内外で最先端のサウンドを提供し続ける音楽プロデューサー中田ヤスタカ(CAPSULE)氏をはじめ、日本のみならずアジア各国の最新クラブシーンを牽引するバラエティ豊かなDJたちも、ここのダンス・フロアで活躍しています。
「飲みやすくてびっくり!」と好感触の新感覚SAKEカクテル
イベント当日は、メインフロア近くに白鹿特設ブースが登場。白鹿をイメージした衣装をまとう白鹿ガールたちが、クラブシーンを盛り上げるドリンクを提供していました。
こちらは須磨ビーチでのソトノミPROJECTでも提供されていた、イビザで愛されるSAKEカクテルをアレンジした「イビザショット」。クラブと言えばテキーラのショットが定番ですが、フォトジェニックな見た目の「イビザショット」は女性でも気軽に楽しんでいるのが印象的でした。
「白鹿」にほのかに甘いホイップクリーム(!)が乗せられた「イビザショット」。混ぜ合わせて飲むと、クリームのまろやかさが日本酒のツンとしたアルコール感を消し去り、上品な甘味と旨味だけが残ります。事前に聞かされていないと"日本酒をつかったカクテル"とは分からないかもしれません。それほどまでに飲みやすく、また新感覚なドリンクです。
「イビザショット」とともに須磨ビーチの海の家で提供された「あいす酒スパーク」も登場。日本酒の優しい甘味がシュワっと弾けるすっきりとした味わいで、アツく盛り上がるフロアで、さっぱりいただくのにピッタリです!
シークレットドリンクとして登場したのは、3つの味を同時に味わえる「白鹿ショット アミュゼ」。ベースの日本酒を「黒松白鹿 ICE SAKE あいす酒 Rich」「黒松白鹿 ICE SAKE あいす酒 Fresh」の2つの中から選んで、ストレート、ジンジャー割、炭酸割の3つの味を楽しめるショットセットになっています。いずれもクラブシーンにふわさしいスタイリッシュな装い。クイッと一息に飲み干せる手軽さもいいですね。
クラブを楽しむ男女からは「見た目が可愛い」「日本酒始めて飲んだけど飲みやすくてびっくり」など、普段日本酒に馴染みのない人たちからも好評を獲得。また、日本人だけでなく、外国の方々からもカジュアルに楽しめるドリンクとして人気を博していました。
「CLUB × HAKUSHIKA」は他にも2回開催。アジア最大級のミラーボールを擁し、世界トップクラスのサウンドシステムを導入している渋谷円山町のクラブ「WOMB」で8月11日(金)に行われたイベント「FLASH!!!」、また、年間20万人以上を集客する国内最大規模のフェス型クラブである新木場の「ageHa」で8月20日(日)に行われた「ageHa×ATOM TOKYO Presents THE POOL de “泡&水” PARTY 2017」 でも開催され、クラブシーンにピッタリな日本酒カクテルを提供しました。
なぜ日本酒をクラブで?ソトノミPROJECTの狙い
ビーチやクラブと日本酒のコラボレーションなど、今までの日本酒のイメージとかけ離れた日本酒の飲用シーンを提供しているソトノミPROJECT。その狙いは一体どこにあるのでしょうか?
「今まで日本酒を飲んだことがなかった人たちへ、日本酒の入口となるものを提供したい」とソトノミPROJECT担当者は話します。
辰馬本家酒造が動き出したのは4~5年前。500mlの容量で、テーブルに映えるデザイン性を重視した商品を開発します。さらに「日本酒×フィナンシェ」「日本酒×発酵かき氷」「日本酒×和菓子」などスイーツと掛け合わせて日本酒を提供する直営店「おづKyoto -maison du sake-」を京都にオープンさせるなど、"日本酒の入り口"を広げる動きに力を注いでいきます。
およそ5年をかけて様々な施策にトライしてきた辰馬本家酒造。しかしこれらの施策だけでは「結局、日本酒好きしか興味を持ってくれない」という現実が見えてきたそうです。そこで、日本酒そのものを美味しいと思ってもらうという前に、まずは「日本酒を飲んだときの楽しさや面白さ」というシーン作りを提供しようと考えます。
イビザ島で見つけた"自由に日本酒を楽しむ"というヒント
日本酒の裾野を広める新たな視点への大きなヒントになったのが、前回の記事でも紹介したスペイン・バレンシアの東約80kmに位置するセレブのリゾート地「イビザ」での白鹿の楽しみ方でした。
日本では、日本酒と言えば大吟醸が人気で、ストレートで飲むのが一般的。しかし、イビザでは旨味がクリーミーでコクのある「上撰 黒松白鹿 本醸造」がカクテルにしやすいお酒として人気を集めてました。日本酒をビアホイップと合わせてカクテルにしたり、ワサビを添えてショットで飲んだりと、自由な発想でお酒を楽しんでいたのです。
現地視察で初めてその様子を目の当たりにした担当者たちは、「自分たちは固定概念にとらわれている」とはじめて気づいたと言います。そして、イビザ流の自由な日本酒の楽しみ方を提案することで、ひとつのマーケットをつくれるのではないかと感じたのだそうです。
そして生まれたのが「ソトノミPROJECT」。
とある調査では、お酒を飲むシーンの中で「外飲み需要の伸び」が予測されていたそうです。食事と楽しむだけのウチノミではなく、様々なシチュエーションとともに楽しめるソトノミを、辰馬本家が提案するひとつのテーマに据えました。
「このソトノミには、ただ単に外(アウトドア)でお酒を飲むことだけを指すのではなく、『心や気持ちをソトに開放してほしい』という意味も込めています。海の家やグランピング、クラブとのコラボレーションは、その中のひとつとして挑戦したもの。今後は、より多くのソトノミシーンを楽しむツールとして、さまざまなシーンに合った日本酒の楽しみ方を提案したい」と、本プロジェクトの担当者が話してくれました。
ソトノミPROJECTは、当初の狙い通り、今まで日本酒を敬遠していた若者たちから好評を博しています。イビザショットは「小さくて可愛い!」「本当に日本酒なの?」という嬉しい驚きが多く寄せられているそうです。
日本酒の入り口を、もっともっと広げていく
辰馬本家酒造が目指すのは、より多くの人に日本酒そのものを好きになってもらうこと。そのために、あえて日本酒を全面に出さずにアプローチをすることで、それまで日本酒を敬遠していた人たちにも楽しんでもらうことができると、トライ&エラーを繰り返すなかで学んだそうです。
今後も「ソトノミ」という考え方を継続し、新たなシーンでの日本酒提供を計画中の辰馬本家酒造。さらに、日本酒をブレンドしたカクテルレシピを飲食店で提供する新たなプロジェクトにも着手しています。日本酒ではなく"新感覚ドリンク"として、より多くの人に日本酒を楽しんでもらえるようなメニューが楽しめるようになるそうです。
試行錯誤を繰り返しながらも、確実に日本酒の間口を広げている辰馬本家酒造。今後、彼らがどんな新しいシーンを生み出してくれるのか、注目です。
(取材・文/中森りほ)
sponsored by 辰馬本家酒造株式会社