日本酒を知る

日本酒を楽しむ

日本酒を考える

特集

自宅でも簡単にできる!? "お燗の魔術師"が語る燗酒の魅力と、「菊正宗 上撰」の実力

> > > 自宅でも簡単にできる!? "お燗の魔術師"が語る燗酒の魅力と、「菊正宗 上撰」の実力
このエントリーをはてなブックマークに追加

あまり知られていない事実かもしれませんが……実は、日本酒は世界で最も“飲用温度帯の広いお酒”だと言われています。冷やしても温めても、どんな温度でも楽しめるのが、ほかのお酒にはない日本酒の強みです。

寒さの際立つこの季節には、「お燗」で日本酒を楽しむ方も多いでしょう。ただ、一口にお燗と言っても、「日向燗/人肌燗/ぬる燗/上燗/熱燗/飛び切り燗」など、温度によって細かく呼び名が違っています。そこには、単純に温めるだけではない、奥深い燗酒の世界が広がっているのです。

菊正宗酒造の魅力に迫る特別連載の第11回では、少し趣向を変えて「燗酒の魅力・楽しみ方」について、“お燗の魔術師”と呼ばれる燗酒師・高木晋吾さんにお伺いしました。

“お燗の魔術師”って何者?

高木さんは大の日本酒好きで、学生の頃から日本酒のお店を回ったり、実際に酒蔵を巡ったりされていたそうです。そんな高木さんが燗酒の魅力に出合ったのは、社会人になる前の、学生生活最後の冬だったと語ります。

「その日はすごく寒い日でした。たまたま入った小粋な和食店で、『温かいものが飲みたいな』と思い、何の気なしに燗酒を頼んだんですね。そしたら、その味に衝撃を受けました。普段飲み慣れた銘柄でも、お燗にすると味わいが大きく変わるのだなと、初めて気がついたんです。それから自分で燗酒の研究をするようになって、その面白さにどんどんハマっていきました」

大学を卒業してシステムエンジニアになってからも、高木さんの日本酒・燗酒に対する熱い思いは途切れることなく、むしろ高まる一方でした。そして、30歳を過ぎた時に高木さんは一大決心をします。「日本酒をもっと追求したい、日本酒に関わる仕事をしたい」との思いから、会社を辞めて、まったくの未経験だった飲食業界に飛び込んだのです。

今や、高木さんの日本酒に対する知識は、造り手の方々も驚くほど。いくつかのお店を転々とするうちに、高木さんは酒造関係者に“お燗の魔術師”と称されるようになり、その呼び名は日本酒業界内に広く知れ渡りました。

現在、高木さんは港区の大門にある日本酒バー「SAKE Scene 〼福」の燗酒師を務めています。同店は「燗酒を世界へ! 口で味わい口で伝える」というコンセプトのもと、2016年10月にオープンしました。高木さんはこのお店で日々、日本酒・燗酒の素晴らしさを、訪れる人たちに伝え続けています。

むしろ悪酔いしない? 燗酒のうれしい真実

そんな名実ともに“燗酒のプロ”である高木さんに、「燗酒の魅力」について聞いてみました。日本酒を燗付けする(温める)ことには、どんな効果・メリットがあるのでしょうか。

「まず、『お酒の味わいが変化』します。温めることで甘みやうまみが引き出され、五味(人間が感じることのできる基本的な味覚の種類)のバランスがよくなるんです。一般的に、冷酒はキレのよい味わいで、燗酒は角の取れたまろやかな味わいになります。
機能的な面では、『身体を冷やさない』ことが挙げられますね。実は、アルコールは身体を冷やす作用を持っています。夏ならば心地よいかもしれませんが、冬に冷たいお酒を飲むと、余計に身体が冷え込むんですね。温めることで、アルコールによる体温低下を防ぐ効果を得られます」

そして、高木さんはもう1点、燗酒のうれしい働きを教えてくれました。

「アルコールは、体温に近い温度まで上がらないと体内へ吸収されません。冷たいお酒を飲んだ時には、胃の中で十分に温められてから吸収が始まります。だから、冷たいお酒は飲んでから酔いが回るまでに、タイムラグが発生するんです。『親の小言と冷酒は後から効く』なんてことわざがありますが、あれは紛れもない事実ですね。
一方、燗酒は元から温められているので、アルコールの吸収が早く始まり、すぐに酔いが回ります。そのため、冷酒よりも深酒をするリスクが減りますし、二日酔いにもなりにくいんです。お酒好きでたくさん飲む方、ほろ酔いになりたい方にとって、燗酒は“コスパのよい飲み方”と言えるでしょう」

価格は関係ない? 燗酒に適した日本酒とは

日本酒の初心者からすると、“燗酒”は少し敷居の高い存在のように感じられるかもしれません。しかし、意外にも「燗酒は自宅でも簡単にでき、普通酒〜大吟醸クラスのお酒まで幅広く楽しめます」と、高木さんは語ります。

「基本的には、“燗酒にまったく合わない”という日本酒はありません。ただし、華やかな香りがウリのお酒については、温めることによって香りが変質してしいます。なので、大吟醸や吟醸など価格の高い傾向にあるお酒は、冷酒で飲んだ方が本来のポテンシャルを損なうことなく楽しめることが多いのです。この意味においては、香りよりもボディ(味の深み、コク)の重厚感が際立つ普通酒や本醸造酒などの方が、燗酒に向いていると言えますね」

その中でも、とりわけ燗酒との相性がよいのが“生酛”のお酒だと、高木さんは続けます。

「生酛造りのお酒は、一般的にほかの日本酒と比べて乳酸菌が多く、どっしりとした味わいです。そのため、普通に飲むと少し酸味が強めに感じられることもあります。これを燗付けすると酸の刺激が緩和されて、旨味とコクを感じやすくなり、バランスよい芳醇な味わいに変化します。燗酒のメリットを存分に引き出せますね。
とくに、ボディに厚みと安定感のある菊正宗のお酒は、身近でありながら燗酒に最適な銘柄だと感じます。手間のかかる生酛造りなのにもかかわらず、非常に手頃な価格で、どこでも手に入るのも魅力ですね」

洋食や中華にも! おもしろ美味しい燗酒マリアージュ

基本的に「どんな日本酒でもお燗は合う」とのことでしたが、食べ物との相性はどうなのでしょうか。燗酒に合う料理はあるのか、高木さんに伺ってみました。

「お米でできている日本酒は、どんな料理とでも合います。その事実は、燗付けしても変わりません。あまりお店では巡り合えませんが、燗酒は洋食や中華ともすごく相性がいいんですよ」

高木さんは、自身がお燗番をする「SAKE Scene 〼福」でも、試行錯誤しながら燗酒と料理のさまざまなマリアージュをお客様に提供されているのだとか。

「たとえば、お刺身と燗酒を合わせると、温度変化の妙によってお寿司を食べているような感覚を得られたりします。他にも、最近オススメしているマリアージュは、燗酒とチーズです。口の中でチーズがほどよく溶けて、チーズフォンデュのような風味が広がります。燗酒のマリアージュ、ハズレが少ない上にとても奥深く、面白い世界ですよ」

「燗冷まし」でカンタン! 自宅で燗酒を楽しもう

燗酒と言うと、どうしてもお店で注文するイメージが強いですが、高木さんいわく「自宅でも簡単にできる」とのこと。ここまで魅力を語られたら、ちょっと家でも試してみたいですよね。そこで、高木さんに「自宅で簡単に燗付けする方法」を教えていただきました。

「自宅で燗付けする際のコツは、厳密な温度などは気にせずに『熱めに付けること』です。お店では適量を適当な温度に付け、適時を見計らって提供していますが、自宅でそんなことを考えながら燗付けするのは、正直言って面倒ですよね(笑)。もとから熱めに付けておいて、徐々に冷ましながら、温度変化による味わいの移ろいも含めて楽しむのが、簡単かつ粋な飲み方だと思っています。
実際、“熱めに付けて適温まで冷ます”のは『燗冷まし』という呼び名があり、れっきとした燗酒の作法のひとつでもあります。皆さんも構えすぎず、家で気楽に燗付けを試してみてください」

◎ “お燗の魔術師”直伝! おうちでカンタン燗酒3ステップ

<用意するもの>

  • 深めの鍋
  • 徳利(なければマグカップでも代用可)

<手順>

  • 1. 水を入れた鍋を火にかけて沸騰させる。水の量の目安は、徳利の首が浸からないくらいの深さにする。
  • 2. 火から外した鍋に徳利を浸ける。
  • 3. 温度調整は味見をしながら行う。一口飲んで「熱いな」と思うくらいの温度になったら、湯から外してできあがり。

<備考>

  • 徳利は熱くなるので、持ち上げる時には十分にご注意ください。
  • 徳利の代わりに「ちろり」を使うと、お酒が空気に触れやすくなるので、よりまろやかな味わいになります。
  • 鍋を使わずに、マグカップに日本酒を入れて電子レンジで加温するのもよいです。お酒を沸騰させないように気をつけてください。

菊正宗の燗酒と、絶品料理を堪能できる丸ビル「御影蔵」

ここまでは、”プロ”が解説する燗酒の魅力、そして自宅で燗酒を楽しむ方法をご紹介しました。

一方で、飲食店で美味しい肴と菊正宗のお酒を存分に味わいたいという方もいらっしゃるでしょう。そんな方にぴったりの、菊正宗の燗酒を心ゆくまで楽しめる店舗をご案内します。

東京駅から徒歩5分、丸ビル6階にある「灘の酒と和食 御影蔵(みかげくら)」。このお店では、菊正宗酒造とのコラボレーションにより、奥深き燗酒の世界を味わうことができます。

店長の鹿野正芳さんは、数ある”お燗向けの酒”の中でも、菊正宗は特に魅力的だと言います。

「菊正宗の生酛造りは、燗にするとスッキリしていて雑味がないんです。それでいながら、力強さ、旨味、押し味はしっかりと残っている。これが魅力ですね。”灘の男酒”の本質を味わうことができますよ」

また、未経験者は敷居が高いと思われがちな燗酒ですが「幅広い料理に合い、日本酒の魅力を存分に味わえる。若い方や、ビギナーの方にもぜひ飲んでもらいたい」と語ってくれました。

店の中央にあるカウンターでは、目の前で肴を焼いて提供してくれます。食欲をそそる香りが漂うなか、炙った酒肴とあわせる燗酒は絶品!鹿野さんは「七輪で炙った肴を45℃くらいの上燗と合わせるのもおすすめです」と教えてくれました。

プロがつけた菊正宗の燗酒と、それに合わせた絶品料理を楽しみたい方は、ぜひ「御影蔵」に足を運んでみてください!

冬の寒さも至りつつあるこの頃。今日は近くのスーパーで、菊正宗とチーズなんかを買って、家でしっぽりと燗酒を嗜むのはいかがでしょうか。もしくは、近くの居酒屋のカウンターに座り、ちょっとした肴をアテに熱々の1杯を飲むのもいいでしょう。

今の季節だからこそ、五臓六腑にとびきりしみる飲み方を、ぜひ一度ごゆるりと、お楽しみください。

(取材・文/西山武志)

前回までの記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

ライター募集中!

SAKETIMES_PR

SAKETIMESのPR記事アカウントです! 日本酒や、それにまつわる酒蔵の想いや魅力を、余すところなく皆様にお届けします。伝え手として、一人でも多くの日本酒のファンが増えるよう、執筆していきます。