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酒に寄りそう今夜の逸品 その2「合鴨のねぎ焼き」–池波正太郎『食卓の情景』より–

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映画やテレビを見て、そこに登場した料理が無性に食べたくなることってありませんか。私はどうも感化されやすい性分のようで、本を読んでも中に美味しそうなものが出てくると食欲がもりもり。

その中でも特に池波正太郎作品は、「我が食欲の源」かも知れません。
先生の食べ方は、食通を気取ることなく気の向くままに食べたいものを食べるというスタイル。旬に親しみ、何より粋であることに惹かれます。

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『食卓の情景』(新潮文庫)の食日記によると、合鴨を取り寄せ、数日に渡り手を変え品を変え楽しんでおられたご様子。今では年中手に入る鴨肉ですが本来は冬が旬。私も食べてみたくなりました。そのうちの一品が「油で葱と共に焼き、おろし醤油で食べる」というもの。シンプルですが、それだけに肉の持ち味を堪能できそうです。

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さあ、肉から脂がじわじわと出てきました。低温でも溶け出る脂が合鴨の醍醐味。低温でも溶け出る脂が合鴨の醍醐味。火が通ったらさっと食べるのが一番。

純米吟醸酒で鴨の味わいを出迎える

口の中でとろける合鴨の脂身と柔らかな赤身によるまろやかな口当たり。コクがあるのにあっさりしている、この味わいにはどんな酒がいいでしょう。濃醇タイプに手を出したいところですが、おろし醤油の鮮烈さを考慮すると、米の旨みを感じつつ軽快な純米吟醸で、と考えてみました。

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大信州 純米吟醸 N.A.C.2014 ひとごこち」(大信州酒造/長野) ※1

※1)NAC=Nagano Appelation Controle
農産物やその加工品の原産地が、「信州・長野県」であることを保証する制度で、2002年から導入されました。清酒の場合、信州の酒造好適米「ひとごこち」と県内の仕込水を使い、信州で醸造、瓶詰めされ、さらに厳しい官能審査(色・香り・味など)に合格したものだけが認定されます。

信州の酒造好適米「ひとごこち」と県内の水で仕込んだ酒。穏やかな吟醸香、口当たり柔らかく、ふわりとした旨みとキレがある、そんな印象です。料理の余韻を残しつつ口に含んでみると、両者はごく自然に出会います。そんな感じも束の間、同時に口の中がさっぱりとしてくる、後味の良さも感じました。
良かった!狙い通りです。料理と酒が互いに相手を引き立てる見事な食中酒。冷たかった酒が室温に馴染んでくると旨みも増幅。ポテンシャルはかなりのものと思われます。

冬季限定のにごり酒で冬の旬を味わう

先の項で言ったように鴨の本来の旬は冬。ならば酒も旬のものを選ぶのが粋というものではないか。

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遊穂 遊穂のしろ 純米無濾過生原酒 おりがらみ」(御祖酒造/石川)

冬季限定の搾りたて、まさに旬の酒です。
私流ですが澱酒(おりざけ)はあえて澱が溶けないように静かに開栓。
まず上澄みを味見します。「遊穂のしろ」は炭酸を含んだピリっとした旨みと酸味が鮮烈です。フレッシュな酸味が料理と調和するその様はまるでワインのよう。
その間にゆっくりと澱を溶かしておき、次にそれを味見。すると甘味はより明快に、旨みがより増したことが分かります。料理との相性も申し分なし。鴨、大根おろし、醤油が三位一体となったその味を酒の旨みがコーティングする、そんなイメージです。ネギの甘味とも合います。
1本で2度美味しい、楽しいお酒!

料理とともに楽しむ酒えらび。相性に一定のセオリーこそあれ、”こうでなくてはならない”という決まりはありません。あれこれ試してみることもお酒の楽しみ方のひとつかも知れませんね。

(文/KOTA(コタ))

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KOTA(コタ)

旨い酒と肴に心の居場所を求める晩酌マニア。家では「呑むなら作るべし」と自作の肴に舌鼓。日々繰り返す「呑み過ぎ&反省」のジレンマから、不惑の呑兵衛になるべく利き唎酒師を取得。広告制作および物書き稼業の傍ら趣味で里神楽(獅子舞)も。

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