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日本酒を「文化」として海外に発信していくために必要なこと

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SAKETIMESライターの片桐新之介(利酒師・焼酎利酒師)です。

先日は日本酒の甘口や辛口を英語で伝えるには?についてご紹介しました。その流れで今回は、表題にあります通り「日本酒を文化として海外に発信していくために必要なことについて考えてみたいと思います。今現在、国策としてこれをしっかりやっていこうとしています。そこで私が考えるのは日本酒の世界観をどう表すかが重要だと思うのです。

1. そもそも日本酒の持つ「文化性」とは何か?


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さて、日本の人はなぜお酒を飲むのでしょうか?それはもちろんお祝いの時ですよね。
結婚はじめ、多くの席でお祝いとしてお酒が飲まれます。

しかし、そもそもお酒の歴史から考えれば、お祝いで飲むようになったということから始まるというわけではありません。

飛鳥時代に朝廷が行う祭祀(さいし)に使うためにお酒造りが奨励されたということという酒造り担当の行政庁造酒司(みきのつかさ※1)の制度化が体系化された酒造りの始まりです。それ以前の、口噛み酒などの自然発生的なもの、また人が死んだ後の喪に服している一定期間に飲酒をする、といったことはあります※1 ご参考に「日本酒造りの専門の役職造酒司とは?」をご覧ください。)

ではなぜ朝廷で酒造りが大切なのか?

それは「収穫」に対して感謝する「捧げ物」として酒造りが大切なものになっていったということです

お酒造りが可能だということは、各地の政治的な指導者であるということを意味し、お酒は実際に農耕儀礼をおこないながら神をまつる司祭者にとって欠かせない捧げものでした。お米を集めることができ(=経済力)、神に最も近いものである(≒政治力?)政権の象徴であったということができるのではないでしょうか。

一方それを捧げるということは、神への感謝、収穫ができ、お酒を造ることができたということを感謝する行為にあたります。「お米、お水、空気、そして多くの人が無事に働くことができたことでお酒を造ることができたことを神に感謝する。」そこに私は日本酒としての「文化性」を感じるのです。

2. お酒ができるまで、そこに関わるもの

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みなさんご存知のこととは思いますが、お酒とは、当然お米とお水と麹(こうじ※2)でできます。そのお米は、その土地のお水と天候によって育まれます。お水は、海から生まれた雲が山に雨となって振り、蓄えられ、川となって流れ、田んぼに注ぎます。(※2ご参考に「日本酒づくりの要こうじとは?」をご覧ください。)

麹や酵母(こうぼ※3)といった力を借りて奇跡的な発酵過程を経てお酒が生まれます。
(※3ご参考に「日本酒造りに不可欠な酵母とは?」をご覧ください。)

日本には八百万の神(やおよろずのかみ)、という考え方があります。「自然のものすべてには神が宿っている。」すべてのものに感謝をする、いただきますと言う行動にはこの考え方が基礎にあるのだと考えるのです。

先日、京都にて、お酒に関わるさまざまな取り組みをしている人との鼎談(ていだん)がありました。それを聴きに来てくれた人に、「日本酒」についてどのようなイメージを持つかを聞いてみたところ、まさにこういった「自然界の結晶としての日本酒」ということをおっしゃってくれました。

3. 「日本酒の文化」と「ecology

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海外に日本酒を発信するにあたって、その歴史や背景をどう伝えるか。そこでどんなキーワードが一番響くのだろうかと考えた結果、私は「ecology」ではないかと考えたのです。

ecologyとは、人間と自然の共存を目指す思想の象徴として用いられることが多い。(垂水雄二 科学ジャーナリスト 2007)

自然界の結晶としてのお酒、、、ぴったりではないでしょうか。

もしあなたが海外の人から「日本酒はどんなドリンクなのか?」と聞かれたら、どう答えますか?私は、ecologyなドリンクなんだ。非常に素晴らしい技術・心を持った人々(酒造会社の方々、お米を作ってくれる人々、お水を守ってくれる人々、いいお酒をプロデュースしてくれる人々などなど、、、)がいるおかげで味わえるものなんだが」と今後答えるようにしてみたいと思っております。

「日本酒(SAKE)とは、米からできていて、複雑な発酵過程を特徴としていて、、、」という技術論を語るのではなく、日本酒のもつ世界観をストレートに表す、そういうことができてこそ、海外の人はSAKEのことを深く興味を持ってくれると思うのです。

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