毎晩のようにお酒を楽しんでいる人も多いと思いますが、日本酒は口当たりが良くてついつい飲み過ぎてしまいますね。最近では飲み口の柔らかい香り豊かな日本酒も増えていることから、日本酒好きを公言する女性も増えています。

そうなると気になるのが「日本酒はカロリーが高いから太りやすい」「たくさん飲み続けることで、お酒に強くなれる」「産前産後は飲酒を避けなければならない」といった、日常生活に関わる日本酒の噂です。

医学的な観点からみると実際どうなのか、『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社刊)を監修した日本酒好きの医師・浅部伸一先生に真偽を確かめてみました。

浅部伸一先生(自治医科大学付属さいたま医療センター)

「お酒が弱い」は、分解酵素の働きによるもの

日本人は、欧米人と比べてアルコールに弱いイメージがあります。浅部先生によると「体質の問題ですね。アルコールを分解する酵素の差が要因です」とのこと。

お酒を飲むと、アルコールは肝臓でアルコール脱水素酵素の働きによってアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素の働きによって無害な酢酸に分解されます。この酵素は、遺伝的に個人差があり、日本人には欧米人と比べて、この働きの弱い人が多いそうです。

「アセトアルデヒド脱水素酵素は、遺伝によって働き方が3種類のタイプに分けられます。この酵素の活性が充分にある(NN型)、NN型の1/16の活性しかない低活性型(ND型)、ほとんど活性のない(DD型)です。欧米の人々にはND型やDD型はほとんど存在しませんが、日本人の半数以上はND型やDD型だと言われています」

また、比較的体格の大きい欧米人は、アルコールを分解する肝臓も大きく、そのような処理能力の違いでもお酒の強さに差が出るそうです。

自分のペースでお酒を楽しむことが大切

「Kura Master2018」の審査風景

「もちろん、欧米人並みにお酒に強い人も日本人にはたくさんいますが、全体で比較したら弱いと思います。アルコール限度量も、それに応じて考えないといけない」と、浅部先生。

アルコールに対しての強さは、遺伝体質のほか、年齢や性別、体格など様々な要因で決まるため、アルコール耐性の強さで優劣をつけるのは良くないとのことでした。

◎参考文献

  • 『酒好き医師が教える最高の飲み方』(著者:葉石かおり、監修:浅部伸一/日経BP社)
  • 最新医学のエビデンスをもとに、お酒の正しい飲み方を指南した一冊。お酒の楽しみ方はもちろん、健康や美容との関係など、お酒を飲む人が抱く素朴な疑問に回答を示し、多くの読者から高い評価を得ている。

(取材協力/葉石かおり)
(文/乃木章)

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