⽇本の伝統ある⽂化「⽇本酒」を中⼼に、⽇本⽂化の魅⼒を世界へ繋ぐ親善大使の役割を担う「Miss SAKE(ミス日本酒)」。その2020年の活動を牽引する「2020 Miss SAKE Japan」を決める最終選考会が、2020年7月6日(月)、京都にて開催されました。
この記事では、2020 Miss SAKE Japanが選ばれるまでの過程と最終選考会の様子についてレポートします。
海外からも参加者が集まる「Miss SAKE」
伝統ある日本酒と日本文化の魅力を国内外に発信する美意識と知性を身につけたアンバサダーが、「Miss SAKE」です。2013年に初代Miss SAKEが誕生し、2020 Miss SAKEは7代目となります。
Miss SAKEたちは、国内外、年間400件以上のイベントに参加し、日本酒や日本文化の普及に尽力しています。全国各地で行われる日本酒イベントや田植え・収穫への参加、日本酒の造り手である酒蔵訪問、世界各国で⽇本酒を切り⼝にした⽇本の⾷や⽂化に関する啓発と観光誘致活動など、その活動は多岐にわたります。
「2020 Miss SAKE Japan」は、2019年9月から全国7都市で各地の代表を決める選考会が開催され、2020年1月に選ばれたファイナリストのお披露目会が行われました。そして7月に行われた最終選考会で「2020 Miss SAKE Japan」が決定します。今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4ヶ月遅れの開催でした。
近年では日本大会だけでなく、上海、台湾、香港、ベトナム、インドなどでも各国代表を選出する海外大会が行われ、グローバルに日本酒と日本文化を普及するアンバサダーたちが誕生しています。海外での日本酒の広がりを感じさせます。
日本文化を深く学ぶ充実したプログラム
選出されたファイナリストは「ナデシコプログラム」を通じて、日本代表に向けたさらなる研鑽に取り組みます。
「ナデシコプログラム」はファイナリストだけが受講できる、“大和撫子”として、1人の女性として成長するために用意された特別講義です。最終選考会直前まで毎週行われ、2020年は、全19回のプログラムが開催されました。
Miss SAKEの地域代表としての責務を果たせるよう、日本酒だけではなく、考え方やMiss SAKEとしての振る舞いに必要なことが一通り織り込まれた、きめ細かいプログラムです。
2020年のプログラムでは、手ぬぐいや江戸切子などの製作体験を通じて、日本文化への理解を深める内容もありました。また、グローバル化に向けた英語の講習や、WebリテラシーやSNS講座、動画マーケティングなどが織り込まれていることも近年の特徴と言えます。
Youtube公式チャンネル「Miss SAKE Channel」を開設
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、Miss SAKEが参加予定だったイベントの中止が相次ぎました。そんな中、歴代のMiss SAKEたちは日本酒と日本文化の魅力を発信するためにに、Youtubeチャンネル「Miss SAKE Channel」を立ち上げました。
2020 Miss SAKEのファイナリストたちも、各地域の日本酒や食、伝統文化の動画コンテンツを作り、配信しています。「空手女子による瓦割りチャレンジ」や「元・宝塚歌劇団 娘役による朗読」など、個性とスキルがあふれるもの、「振袖×ドローン空撮で見せる鳥取の景色」と言った意外性と地域愛が感じられるものなど、動画の種類は多彩です。
「振袖を着た時の所作」や「正しい神社の参拝方法」など、日本文化をわかりやすく解説する動画もあり、とても勉強になる内容です。
2020年7月末時点で、Miss SAKE公式チャンネルには100件以上の動画コンテンツが配信がされています。このように新たな発信方法に積極的にチャレンジしていくのは素晴らしいことですね。
「2020 Miss SAKE Japan」の誕生
7月6日に行われた「2020 Miss SAKE Japan」最終選考会は、新型コロナウイルス感染防止のため、例年より開催時間を半分に短縮し、参加人数を大きく制限して開催されました。入口での検温とアルコール消毒、マスクの着用に加え、各テーブルの人数を減らし間隔を確保、日本酒の試飲も各自手酌にするなどの対応が取られました。
一般社団法人ミス日本酒の愛葉代表理事による開会宣言で、2020 Miss SAKE Japanの最終選考会がスタート。
愛葉代表の挨拶では、このコロナ禍による開催延期、またその状況下でも期間延長して活動を続けた2019 Miss SAKE春田さん、2020年のファイナリストたちとその活動を支えた関係者の方々への感謝の気持ちが溢れていました。全ての関係者が待ち望んでいた場であることが感じられます。
華やかな振袖姿のファイナリストがステージに登場し、続いて、「2019 Miss SAKE」の春田さんから1年4ヶ月に及んだ活動報告、国家独唱、来賓挨拶・審査員紹介、乾杯と続き、いよいよ第一次審査が始まります。
第一次審査は、1人30秒の自己PRタイムです。会場に設置されたスクリーンにファイナリストが自ら作成した動画を流しながらアピールしていきます。
グローバルに通用することを示す英語や他言語でのスピーチに加え、キレのある剣舞の披露、御諏訪太鼓やバイオリンの演奏など、その表現は十人十色。
「なぜMiss SAKEを目指すのか」「Miss SAKEとしてどうありたいか」「Miss SAKEとしてどのように貢献できるのか」。ファイナリストたちのスピーチからは、Miss SAKEにかける熱い想いと最終選考会までの期間を通じ研鑽を積んだ自信が溢れていました。
この自己PRを踏まえ、審査員たちが最終審査に進むファイナリストを選出します。
審査員達の議論の結果、最終審査に進んだのは北海道代表、群馬代表、東京代表、神奈川代表、長野代表、三重代表の計6名。それぞれ素晴らしい自己PRをするなか、輝きを放っていたファイナリストたちが選出され会場も納得の様子でした。
最終審査は、審査員がファイナリスト1人に対し1つ質問をするスタイルです。審査員もどのファイナリストに質問をするのかを知りません。その場で審査員とファイナリストの組み合わせが決まるため、即応性や判断力、自身の引き出しの多さが求められます。
質問には、「今後日本酒を海外に発信するとして、どのように魅力を説明しますか?英語で回答してください。」「あなたの地域の日本酒にお料理を合わせるとして、どのような楽しみ方を勧めますか?日本酒の温度も含め、理由とともに教えてください」などがありました。
いずれも普段から日本酒や地域性を理解し、それをどのように伝えるかを考えていないと答えられないものばかりです。加えて海外で応えられる英語力、コミュニケーション力も求められます。
一つ目の質問に答えた北海道代表の松井さんは、日本酒の温度による味わいの変化という魅力を流暢な英語で回答。その即応性と回答内容、英語の美しさが光っていました。
二つ目の質問に答えた群馬代表の福田さんは、群馬県が「すき焼き応援県」であることから、名産品であるこんにゃく、赤城牛、下仁田ネギを使ったすき焼きの甘辛い味わいに、涼冷え(15℃)の冷酒を合わせることを提案。理由は、濃いめの味わいに冷酒で後味をスッキリさせるためと説明し、審査員も「おもわず食べたくなりました」とコメントしていました。
ここで審査は終了し、審査員は最終選考会の様子に加え、これまでのナデシコプログラムの取り組み姿勢と結果、SNSでの発信力などを総合した各賞受賞者の選考を行います。
その間は歴代のMiss SAKEからの、一般公募したMiss SAKE オリジナルキャラクター「2222 Miss SAKE Earth」の名前の発表や、ナデシコプログラムについての報告がされました。
ステージにファイナリストたちが並び、受賞者の発表です。賞は全部で5つ。地域に根差した取り組みの推進を称えた地域活動貢献賞、SNSでの発信力等を称えたオーディエンス賞、審査員特別賞、そして準グランプリ、グランプリである「Miss SAKE Japan」が順に発表されていきます。
愛葉代表から「2020 Miss SAKE グランプリは、北海道代表 松井 詩(まつい しほり)さん」と発表され、新たな Miss SAKE Japanが誕生しました。
そのほかの受賞者は以下の通りです。
◆地域活動貢献賞
鳥取代表 永井里香(ながい りこ)さん
長野代表 横田真理華(よこた まりか)さん
◆オーディエンス賞
東京代表 齋藤茉夕(さいとう まゆ)さん
◆審査員特別賞
愛知代表 高田百子(たかだ ももこ)さん
◆準グランプリ
群馬代表 福田友理子(ふくだ ゆりこ)さん
神奈川代表 須山梨菜(すやま りな)さん
◆グランプリ
北海道代表 松井詩(まつい しほり)さん
グランプリに選ばれた松井さんは、受賞後のスピーチでこれからの抱負を述べました。
「自分がまさかグランプリに選んでいただけると思わず、頭の中が混乱と喜びでいっぱいです。コロナ禍でも獣医師を志す自分の将来、学生としての研究、そして、Miss SAKEという一見交わらないこの3つの活動を続けられたのも、周りで支えてくださった方々のおかげだと感謝の思いでいっぱいです。
私が思う日本酒の魅力は、他のお酒にはない温度変化を楽しめる点だと思います。日本の美しい四季に合わせて楽しめるこの日本酒の魅力を全世界へ発信すべく、精進してまいります」
しっかりとした意思が込められたスピーチに、会場からは大きな拍手が送られました。2020 Miss SAKE Japanとして活躍が期待される松井さんのこれからに注目です。
(取材・文/spool)