こんにちは、SAKETIMESライターのnorikohidaです。
秋風が心地よい朝晩になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
秋の味覚、食欲、ひやおろし...と快適なこの季節、日本酒のイベントも目白押しです。
筆者は先日、武蔵小山で開催されたWith SAKE2015という素敵なイベントに参加してまいりましたので、その様子をリポートいたします。
With SAKE2015のコンセプトは「マリアージュ」。飲食店と酒蔵のコラボレーションイベントで、呑みながら食べ、食べながら呑むという年に1回のイベントです。
今回は26社の酒蔵、8軒の飲食店、3軒の酒販店が参加しました。
三重の地酒のシェア率UPを!三重の大酒蔵市も開催!
福田屋酒店コーナーでは三重県、後藤酒造場の「颯(はやて) 純米吟醸 無濾過生原酒」をいただきながら、同酒屋の三代目、伊藤亮さんにお話を伺いました。
颯(はやて)は三重県の酒造好適米「神の穂」を使用したお酒で、柑橘系のフルーツのような穏やかな甘味があり、酸味や旨み、コクとキレのバランスが良い日本酒です。無濾過生原酒のお酒にしては重すぎず適度な酸味があり、幅の広いお酒といった印象です。伊藤さんも色々なイベントで颯をお持ちになるそうですが、非常にウケが良いそうです。筆者も初めて飲んだお酒だったのですが、1口いただいてファンになりました。
伊藤さんは「三重の地酒のシェア率をUPさせよう!」という思いのもと、県内外でさまざまな活動をされています。来年の5月に伊勢志摩サミットが開催されることもあり、三重県の地酒の注目度は高まっていますが、それでも現状は三重県内での三重の日本酒の消費率は18~19%にとどまるそうです。そこで、酒蔵、飲食店、酒販店全ての垣根を越えて「三重の地酒をみんなに知ってもらおう!」という趣旨のイベント、第一回三重の大酒蔵市が来たる10月11日に三重県の四日市で開催されます。
コンセプトは"食材の宝庫・美味し国三重の「地酒」と「肴」を存分に堪能"。当日は三重の20酒蔵、飲食店16店の特設ブースが設けられ、引換えチケットとオリジナルお猪口を片手にお好きな酒蔵ブースor飲食店ブースを巡り、利き酒が楽しめるイベントです。香りが控えめで旨みが多い三重の地酒とともに、おいしい食事や食材とのマリアージュを楽しむことができます。10月の3連休の中日、ぜひ三重に足を運んでみられてはいかがでしょうか。
まほろばの地で美酒を醸して百六十年、若戎酒造
三重県、若戎酒造(わかえびすしゅぞう)コーナーでは可愛いえびす様が出迎えてくれました。若戎酒造では同酒造の看板商品、義左衛門の「中汲み 純米吟醸 義左衛門 若戎52号酵母」をいただきました。
「醪(もろみ)を搾る際、圧力を掛けない間に自然に出てくる味と香りが調和した最もおいしいところ『中汲み』を瓶詰めした特別限定酒」で、口に含むと三重の地酒らしい穏やかな香りと米の旨みが広がります。凛とした味わいもあり、三重の地酒の良さを改めて感じることができました。
日本酒呑めば肴が食べたい。8店舗の飲食店が集結!
日本酒を吞めば肴が食べたくなる、その逆もまた然り。WithSAKE2015はこの無限ループに我々を誘ってくれました。
赤坂焼鳥 鳳の鶏スモークのリエットと鶏レバーのブリュレの最中はどちらもフワッとして鶏の旨みを残しながらもさっぱり、ついつい日本酒が進んでしまいました。
続いては学芸大学の創作和食「トクスエ」の卵黄の九州甘口醤油漬け、名前だけで当たりなのは確実です。九州独特の醤油で漬け込まれて水分が吸い出されゼリー状になった卵黄のつまみと日本酒が合わないわけがありません。日本酒欲を呼び覚ます味わいで、お酒がとまらなくなってしまいました。
他にも総勢8店舗の飲食店がそれぞれ日本酒とのマリアージュをコンセプトにした肴を提供しており、まさに飲食店と日本酒のコラボレーションイベントにふさわしい内容でした。
米にこだわった手造りの酒、髙千代酒造
日本百名山の一つ、新潟県の巻機山(まきはたやま)の麓に位置する髙千代酒造です。同酒造は水、米、磨きにこだわった酒造であり、天然の濾過機を通した巻機山の雪解け水の存在も、いい米、水の旨みを存分に引き出した日本酒を醸す役割の一端を担っています。髙千代酒造のコーナーでは「髙千代 純米大吟醸 美山錦 無調整火入れ」をいただきました。酒造好適米「美山錦」を全量使用したこちらの髙千代は、華やかな香りとともにキレのある旨みが口に広がり、爽やかなのどごしを感じます。華やかなのにほっとする、傍に置いておきたいお酒です。
豊かな甘味がある「たかちよパープル 豊醇無盡(ほうじゅんむじん) うすにごり 活性生原酒」は、燗にしてもいけました!
料理を食べるほど杯が進む酒、今西酒造
十四代蔵元の笑顔が素敵な奈良県、今西酒造のコーナーでは「みむろ杉 純米吟醸 露葉風 無濾過生原酒 中汲み 26BY」をいただきました。奈良県唯一の酒造好適米「露葉風(つゆばかぜ)」を全量使用した純米吟醸から、搾る工程の1番香味が安定した「中汲み」部分だけを瓶詰めしたお酒です。
フルーティーな味わいと適度な酸味があり、しっかりとした厚みのある味わいです。今西酒造は「力強く、輪郭のしっかりした酒で料理との相性を重視した食中酒」を目指しているそうで、まさに、呑みながら食べ、食べながら呑むがテーマのWith SAKE2015にふさわしい日本酒でした。
伝統的醸造文化の伝達、酒のあべたや
酒のあべたやも今西酒造と同じく奈良の酒販店です。同酒販店は奈良盆地のへそ、田原本町に店を構え、三代目店主の村井さんが実際に飲んで食べて「旨いなぁ、おいしいなぁ」と感じたものだけを厳選して提供しています。奈良の人気地酒はもちろん、全国の地酒も有名無名にこだわらずラインナップしています。酒のあべたやでいただいたのは奈良県、大倉本家の「大倉 山廃特別純米 あらばしり生酒 柳に蛙ラベル」。
「しぼり機のふなくち(搾りたてのお酒が出てくる場所)より無加圧の状態で自然に垂れてきた部分をそのまま直に瓶詰めしたピチピチ弾ける味わい」は、ほんのりフレッシュな香りとたっぶりのふくらみ、爽やかなガス感もあり、滑らかな印象が残りました。こちらのお酒も燗にしてもいけました。
国の登録有形文化財で醸す、若駒酒造
栃木県、若駒酒造は主家などが国の有形登録文化財に指定されている歴史ある蔵元です。最近ではドラマ、仁の撮影舞台としても知られ多くの観光客も訪れているそうです。奈良の油長酒造(代表銘柄・風の森)で修行された6代目蔵元が醸す「若駒」は日本酒に携わる方にもファンが多いお酒です。筆者がいただいたのは「若駒 雄町70 無加圧採り 無濾過生原酒」です。
「酒袋に丁寧に詰められて、槽(ふね・搾り機)に並べられ圧をかけずに搾った部分」は、バナナのようなフルーティーな香り、豊かな旨み、きめ細かで適度な酸が特徴的で優しくすがすがしい日本酒でした。
記事ではすべての蔵元、酒販店、飲食店をご紹介することはできませんでしたが、飲食店お薦めの逸品とともにいただく80種類以上の地酒は格別で、私含め会場の人たちが各々幸せそうな時間を過ごしていたのが印象に残ります。With SAKE2015は快適な広さ、空間、人数、蔵元、酒販店、飲食店すべてが心地よく融合された素晴らしいイベントでした。来年もあればぜひ伺いたいと思います!
以上ですが、いかがでしたでしょうか?今後もレポートや谷根千グルメと日本酒情報など、実際に飲み歩いたからこそお伝えできる情報を発信していきますね!
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