明治25年創業の酒販店「横浜 君嶋屋」が、4月15日(金)に銀座店に続いて3店舗目となる恵比寿店を新規オープン!
入り口には、ソムリエ界の巨匠、田崎真也氏からのお祝い花も。
新店舗の場所は、同日にグランドオープンしたアトレ恵比寿西館の4階。JR恵比寿駅直結とアクセスがよいのも魅力のひとつだ。
ところで、「角打ち」という業態はご存知だろうか?
ありていに言えば酒販店での有料試飲のことなのだが、ちょっとした立ち飲みバー感覚で楽しめる空間でもある。
一人でもふらりと立ち寄れる気軽さと、いろいろなお酒を少しずつ楽しめるところがよい。1杯300円~とコスパもよく、運命のお酒に出会えたらもちろん購入もできる。
日本酒ビギナーにもオススメ!君嶋屋の魅力とは?
都内に角打ちのできる酒販店は数あれど、若い人には特に君嶋屋がオススメだ。
まずは、その理由を4点紹介させていただきたい。
1. 清潔感のある店内
掃除の行き届いた明るい店内は清潔感があり、床にはゴミひとつ見当たらない。
きれいに整列されたお酒たちがめくるめく世界へと導いてくれる。
2. スタイリッシュな角打ちスペース
色合いに統一感があり、暖色系の照明が温かさを醸し出す店内。
初日ということもあり店内はたいへん賑わっていたが、それを喧騒と感じさせない洗練された空間だ。
20~50代まで幅広い年代のお客さんが見受けられ、半分は女性客という印象を受けた。
3. おつまみは恵比寿の名店とのコラボレーション
おつまみのクオリティが高いことが、恵比寿店の大きな特徴のひとつ。恵比寿の名店との夢のコラボレーションが楽しめる。
いわゆる「酒の肴」というよりは、洋のテイストも盛り込まれた、お洒落なおつまみばかりだ。
4. 客層がよい
中にはガヤガヤした雰囲気が魅力の角打ちもあるが、君嶋屋の客層は極めて上品。
決して酔っ払うための試飲ではなく、あくまでお酒の味を知るための角打ちスペースであるという認識が、店側も客側も一致しているのであろう。
お酒好きな友達はできるが、ナンパに遭うことはないという、絶妙な塩梅だ。
恵比寿店の狙いとは? 君嶋社長にインタビュー!
―恵比寿は若い方が多い。若い層に本物の日本酒の味を知ってもらいたい―
扱っているお酒はすべて君嶋社長自ら蔵に赴き、厳選してきたもので、蔵元との親交も深い。
「安すぎず高すぎず、飲み飽きしない。自然な造りをされた、食事と合うお酒をお届けしたい」これが君嶋屋ワールドだと社長は言う。
半分はワインを扱っている君嶋屋だが、日本酒に関しては、特に若い層を取り込んでいきたいとのこと。なるほど、洗練されたデザインと清潔感のある店内は、若い方や女性にウケそうだ。
―音楽とお酒で世界平和―
本業はロックミュージシャンである君嶋社長。「"音楽とお酒で世界平和"がテーマ」という言葉が印象的だ。
伝説のロックスターの写真が飾られ、実はロックな要素満載の店内
最近はロックと日本酒を掛け合わせたイベントも主宰されており、蔵元直々にお酒を注いでもらい、日本酒を飲みながらライブを楽しめる人気イベントとなっている。
―恵比寿店はパリへの入口―
目指すはパリでの新店オープン。恵比寿店は、パリにお店を開くことを想定してプロデュースされたのだそう。
銀座店では、The Beatlesはじめ伝統的なロンドンミュージックを流しているが、恵比寿店はロンドン+パリとのことで、フランスのバンドの音楽も流している。パリ店オープンにも期待を寄せたい。
スタッフには森喜酒造の娘さんも!
君嶋屋 恵比寿店では、実家が「妙の華」「るみ子の酒」の醸造元・森喜酒造という森喜希さんが働いている。
森喜酒造は、漫画「夏子の酒」の作者・尾瀬あきら氏がラベルのイラストを手がけたことで有名な三重県の酒蔵だ。
「ダラダラいくらでも飲むことのできる、食事と合うお酒」と、森喜さんは実家のお酒について語る。
森喜酒造のお酒は燗上がりする酒質も大きな特徴であり、実際に森喜さん自身、大の燗酒好き。
趣味と実益を兼ねて、自宅でも日々お燗を実践しているのだとか・・・。
ちなみに、君嶋屋ではお燗もいただくことができる(森喜さんのつけるお燗は絶品!)
東京農業大学醸造科学科出身の森喜さんが君嶋屋に就職したのは「お酒の世界を勉強するため」なのだそう。
元々実家の蔵の取引先で、食事に寄り添ったお酒のセレクトに魅力を感じていた君嶋屋。実際に働いてみると、お酒をテイスティングする機会が多く、少しずつ日本酒のことがわかってきたそうだ。
「これまでの人生、ずっとお酒がそばにあったので、今後は多角的な視野を持てるよう、いろいろな世界を経験したい」
まだまだ若い森喜さんの今後の活躍に期待したい。
実際に「角打ち」体験してみた!
毎日変わるテイスティングメニューは、スッキリ軽快なお酒から飲みごたえ抜群な古酒まで、バランス良く全国の日本酒が取り揃えてある。
恵比寿店限定の「満寿泉」(900円)も気になったが、今回は「澤屋まつもと 守破離」(300円)を注文。
ワイングラスでいただけるのも魅力のひとつ。
香りが広がり、薄い飲み口はお酒の持っている本当の味わいをしっかりと感じることができる。
澤屋まつもと特有の微発泡が心地よく、きれいな甘味がすーっと喉を通り抜けた。
合わせたのは豚と鴨肉のリエット(500円)。白金の「ラシェット・ブランシュ」とのコラボレーションだ。
しっとりとコクがあり、隠し味のフォアグラやラードが絶妙な深みを醸す。
きれいでありながら、独特の味わい深さを持った守破離とうまくマッチした。
君嶋屋の看板メニュー、飲み比べセット3種(500円)は、採算度外視としか思えぬコストパフォーマンスだ。
下に敷いてあるプレートには、お酒の特徴や楽しみ方のワンポイントなどが書いてある。
初日のメニューはコクのある「隆」(神奈川)、スッキリとした「綿屋」(宮城)、そして濃醇な「妙の華」(三重)と、バランスのよい3種だった。
恵比寿の隠れ家イタリアン「ikra」の「生ウニといくらの冷製フラン」(800円)もいただいた。
たっぷりのウニとイクラに、濃厚なフランが絡みつく。
濃醇な「妙の華」とのマリアージュが楽しめた。
いまだかつて、これほどのクオリティのおつまみを出す角打ちがあっただろうか・・・。
お酒と食事は切っても切り離せない関係であると、改めて噛み締める。
お客様の笑顔であふれる店内!
「好き酒師」の村田さんは、予定の合間を縫ってやってきた。
ワイングラスとイケメン、まるで日本酒を飲んでいるとは思えない光景だ。
自他共に認める立ち飲みマスターで銀座店の常連である山崎さんは、スタッフの爽やかではつらつとした接客に心地よさを感じるそう。
君嶋屋は若いスタッフが多く、女性も広く活躍されているのだが、若いからとなめてはいけない。
お酒に対する強い情熱と豊富な知識を持ち、ていねいにお酒の説明をしてくれる。
ご近所に住むこちらのご夫婦は、行きつけのお店で君嶋屋オープンの話を聞いて、駆けつけたという。
角打ちも君嶋屋も初めてとのことだったが、満足感の伺える笑顔が輝かしい。
月並みではあるが、今回の取材を通して印象的だったのは、やはりお客さんの笑顔。
それも、美味しいお酒と出会えた喜びを物語る笑顔だ。
本物のお酒を気楽に誰でも体験することができるのは、日本酒ファンの裾野を広げるには重要な場であると思い、角打ちできる拠点が増えて心から嬉しく感じた。
恵比寿 君嶋屋
東京都渋谷区恵比寿南1-6-1 アトレ恵比寿西館4F
営業時間 : 10:00〜21:30 (LO 21:00)
定休日 : 無休(アトレの営業による)
(文/平井 遥)
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