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根津の「ひみつくじら」で日本酒とツチクジラを堪能!

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ある晴れた日の午後、筆者のライフワーク、「谷根千徘徊」をしていたときのことでした。(谷根千とは台東区から文京区にかけての谷中・根津・千駄木エリアの総称)
目の前に怪しくも可愛い看板が現れたのです。

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“おいしい鯨”という文字に誘われるがまま、ふらふらと近づいてみると

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ひ、ひみつ・・・!!

「ひみつ」って甘美な響きだと思いませんか?
「ひみつ」って言われると知りたくなる。「ひみつ」って隠されたら覗きたくなる。しかも、くじらだって!!
こうしちゃいられない、早速ひみつなくじらの正体を暴きに行ってまいりました!

いざ、くじらの秘密基地に潜入!

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根津と千駄木の中間、不忍通り沿いの小道を入れば、そこはくじらの秘密基地。

ゆらめく白提灯に目いっぱいあどけなくかがやく「ひみつくじら」の文字。外観だけでもうわかる「当たり」の雰囲気です。

中に入ると、店を切り盛りしている石川さんご夫婦が明るく迎えてくれます。木の温もりがあるさっぱりとした爽やかな店内もいいです。

店のコンセプトを分かりやすく表現すると、「本当においしいくじら料理を食べられる秘密基地」。もちろん、くじら料理以外も「食べものやお酒のひみつ=秘められたり、埋もれて忘れられてしまったりするルーツやプロセスを楽しく知っていただく」という想いが込められているそうです。
店主の石川元さんは東京水産大学(現東京海洋大学)を卒業後、くじら食品メーカー勤務を経て現在のお店をオープンした生粋のくじらマニア。食道楽である父親の影響で5歳からくじらを食べていたそうです。お話をしていてもくじらのことなら何でもござれのくじら博士、純粋なくじら愛を感じます。「ひみつくじら」が供するのは房総のツチクジラ。くじら食品メーカー時代の石川さんが、おいしいくじらをひたすら追及しているとき、房総の伝統捕鯨とそこで獲れる「ツチクジラ」に出会い、そのあまりのおいしさに惚れこんだそうです。房総のツチクジラの捕鯨は、調査捕鯨とは別に「食べるための商業捕鯨」として民間の企業が行っており、法律の認可に基づき、しっかりと資源を管理しながら行われています。

また、房総独自の処理方法で、捕獲後あえて海中で一晩熟成させることで、柔らかく旨みが豊かになります。また、ひみつくじらのツチクジラは添加物は一切不使用です。(くじらは品質管理が難しく、流通の過程でさまざまな添加物が用いられる場合がある)

石川さんのツチクジラ愛に触れ、こちらもツチクジラ欲が高まったところで、さっそく、もちろん日本酒とともに!いただきます!

バラエティ豊かなくじら料理にベストマッチな日本酒の数々に脱帽!

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最初に喉を潤したのは宮城県、金の井酒造の「綿屋 特別純米 美山錦 火入」×ツチクジラの刺身です。

この綿屋は香り穏やか、キリッとしているがしっかりした旨みもあり、ますます食欲が高まります。
供される刺身はツチクジラの背中の肉。「背中の肉は筋繊維が細かいので刺身に向いている」と石川さん。
ああ、体にしっくり馴染むな。これが私がひみつくじらのツチクジラを最初に食べたときの感想です。驚いたことにくさみが全くない。
何もつけずに食べるとさっぱりしているけど程よいジューシーさもあり、ツチクジラ以外のどの肉とも違うといった感じ。添えられたにんにくをつけるとそのジューシーさと融合して旨みに相乗効果が出る、からしをつけると甘味が増すといった具合に色々な表情を見せてくれます。しかも日本酒に合う合う、素晴らしい!ツチクジラ。
食中酒を意識した綿屋とナイスコンビネーションです!

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お次は千葉県房総、寺田本家の「自然のまんま 無添加無濾過昔造り」×名物のツチクジラ竜田揚げです。

寺田本家は自然との調和を目指して、無農薬米のみを原料として昔ながらの生酛造りでお酒を醸している蔵です。
日本酒のセレクトについて質問すると、「飲み疲れなくて滋養につながり、食事と合うだけではなく食材を高める〜引き出すような性質を持っているかを重視しています。飲み疲れてしまったり食事がおいしくないと話が弾みませんので。(独りでゆっくりとお酒を楽しみながら、食材や季節を話し相手とするのであればなおのこと)」とのこと。

なるほど、ひみつくじらの日本酒は単にツチクジラに合うというわけではなく、それとセットで完成するような相乗効果があります。

竜田揚げ(こちらも背中の肉を使用)は決して脂っこくないのに肉の本質的なジューシーさを感じます。生姜ベースの特製ダレの味付けも絶妙。素直にうまいです!3口目を「自然のまんま」で流し込んだとき、筆者のツチクジラ愛が目覚めました。

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お野菜もしっかりと!先出の「自然のまんま」×房総の秋ナス揚げ焼きです。

ナスは柔らか、本来の甘みと鰹節と葱、生姜のコラボでほっとする上品な味わいです。
ひみつくじらの野菜はほぼ全てが房総の野菜。房総の日本酒と房総のツチクジラ、日本の食文化の伝承を感じながら、杯を傾けます。

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長野県、玉村本店の「縁喜(えんぎ) 金紋錦 純米酒」×スモークの薫るタレ(平飼い有精卵のマヨネーズ添)。

志賀高原の麓、沓野で200年にわたって造られている「縁喜」。
玉村本店は「小さくても、いい酒を造る酒屋でありたい」という思いから全製品を「縁喜」の名前で提供し、「食事と日本酒の魅力をお互い高めあう最良の食中酒」を目標に酒造りを行っています。
ひみつくじらの店主、石川さんはこの日本酒が好きだそうで、口に含むと旨みがありながらキレがよく、飲み飽きない潔い味わいです。

くじらの「タレ」とは江戸時代より南房総に伝わる食べ物で、鯨のジャーキーみたいなもの。1枚1枚手干しで、房総の潮風と太陽で熟成させた塩漬肉を燻しながら炙焼きにした逸品です。

しっかりと厚みがあり、鯨の無骨な繊維を舌で感じることができます。鯨の旨みが凝縮されて滋味に富む肴です。もちろん日本酒が進みます。

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続いては奈良県、千代酒造の「櫛羅(くじら) 純米吟醸 生詰瓶燗酒」×ツチクジラのユッケ。

日本酒さえもクジラ・・・完全にジャケ買いかと思いきや、酸味とコクと旨みのバランスが非常に良い食中酒でした。清涼感のあるとてもいい香り。

ユッケは特製ダレで和えられ、季節の餌を食べた元気な平飼い有精卵が乗った、柔らかく滋味あふれる料理。
「櫛羅」の余分なものを削って研ぎ澄まされたシャープな味わいは、食事と響きあえるシナジー効果があります。

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まず、見た目に興奮。この美しさ!安心してください!くじらのカルパッチョですよ!うっとりするほど美しくて、しばらく眺めていたくなります。

合わせるのは高知県、酔鯨酒造の「酔鯨 純米吟醸 吟麗秋あがり」。「料理との相性をもっとも大事に」して造られたこの日本酒は、まさに食事とともに楽しめる食中酒です。
カルパッチョは、柔らかい薄造りの刺身にオリーブオイルと熟成チーズと天草の塩の味つけ。チーズと塩の加減が絶妙で、もう、とにかくうまい!
じっくりと熟成された深みのある味わいを持つ「酔鯨」に酔わされ、鯨も筆者もいい気分♪

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奈良県、油長酒造の「風の森 秋津穂65% 純米しぼり華 無濾過無加水 生酒」×くじらの一口カツ。

「風の森」はすべて生酒。軽快で美しい酸味、爽やかで上品。クリーミーでありながらキレが良い。
カツは特上の手造りパン粉の中に旨みがギュッと閉じ込められ、くじらっぽい独特の食感。しつこくなく食べ飽きしません。
優しく甘酸っぱい「風の森」が優しくくじらを包んでくれます。日本酒が「食事と合うではなく食材を高める」というのはこういうことだと実感できます。

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来ました、本丸の鉄板くじらステーキ(ハーフサイズ)。合わせるのは先出の千代酒造の「櫛羅」。

ひみつくじらは、ほぼすべてのメニューを「お一人様向け晩酌サイズ(少なめ盛)」で提供してくれるのも魅力のひとつです。こちらはハーフサイズ。
極厚の肉を鉄板皿で豪快にミディアムレアで供します。ニンニクたっぷりのスタミナステーキは滋養たっぷり、シャープで優しい櫛羅とのコンビネーションがステーキです。

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締めは、薬味たっぷりのくじら出汁茶漬け。これも絶品です。

熱々の竜田揚げにお出汁をかけると赤身の旨味がジワーッと染み出します。大葉も生姜も房総の三芳産、出汁も房総勝浦のかつお、その上に四万十海苔。
幸せのため息がこぼれます。味わい深く、体の中から元気になる優しい出汁茶漬けです。

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最後に、女将の亜希さんが腕をふるった先付を一部ご紹介。左上から右回りに、くじらのシチュー(少しスパイシーでこっくりとした酒飲みが好きな味)、房総のゴーヤのピリ辛和え(食材の風味を生かしたピリッと苦辛い味つけ、こちらも酒が飲みたくなる)、塩茹でしたさえずり(くじらの舌)、レアのさえずり(噛むとどんどん旨みが出てくる)。

これら軽めのくじら料理を日本酒で流し込みながら、徐々に竜田揚げ、ステーキへとせまっていく。幸せな時間です。

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となりで食事をされていた方からのおすそ分け。茨城県、月の井酒造の「彦市 純米 無濾過生原酒」です。地元大洗町の契約栽培米チヨニシキを100%使用した純茨城産のこちらの日本酒は旨味とコクたっぷり。くじらとの相性もとても良かったです。こういった交流があるのも下町ならでは。ちなみにこの隣の方、飲食関係の方でしたが「ずっと鯨はクセがあるほうが良いと思っていたけど、これはありだと思った」とのこと。筆者も全く同じ感想を持ちました。

くせがなく透明感があり食べ飽きしないけど、他のどの肉ともちがうツチクジラ。「飲み飽きしない食中酒」があるなら、ひみつくじらのツチクジラは「食べ飽きしない鯨」でした。

実は筆者は初めてお店に行ってからすっかりツチクジラにハマってしまい、週に3,4回と伺ってしまいました。
仕事中もツチクジラのことばかり考えてしまい、寝ても覚めてもツチクジラ。唯一無二でクセになる、ある意味危険なお店です。
滋味に富む料理ばかりで本当においしのでぜひツチクジラを体験してみてください。

このウマサ、もはや秘密にできない・・・!!

◎ひみつくじら

アクセス:地下鉄千代田線根津駅1番出口から徒歩5分 地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩6分
東大前駅から490m
所在地:東京都文京区根津フジホーマンション1F
TEL:03-5834-7157
営業時間:
[月・水・木・金]
18:00~23:00
[土]
17:00~23:00
[日・祝]
11:30~14:00
16:00~21:00
※材料がなくなり次第終了
ランチ営業、夜10時以降入店可、日曜営業
定休日:火曜日

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norikohida

学生の頃より谷中の言問通り、通称"日本酒通り"沿いに住み始めて今年で在住歴12年になりました。昼は会社員をしており、趣味は旅行と谷根千エリアでの飲酒です。日本酒をはじめとしたお酒と美味しい食事と谷根千を愛しています。