「SAKE COMPETITION 2017」で2位入賞

千葉県富津市の海岸

「SAKE COMPETITION 2017」の純米大吟醸酒部門で、千葉県の清酒蔵としては初の金賞(2位)を受賞し、一躍その名が知られた「東魁盛(とうかいざかり)」の小泉酒造。

寛政5年(1793年)、名字帯刀を許可された小泉平蔵氏が、鹿野山の麓に酒造業を興したのが始まりです。明治初期の家督を継いだ源蔵氏が、より家業を発展させ、造り酒屋としての地位を不動にしました。昭和初期には温度管理を徹底するための冷蔵庫をいち早く蔵内に設置し、吟醸造りにも取り組んでいます。

澤野明氏が十三代目・小泉平蔵を襲名し蔵元杜氏となり、現在は十四代目を継ぐ予定の小泉文章専務を中心に酒造りを行っています。今年度も全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど、酒造りには定評があります。

自社田で五百万石を栽培

東魁盛 五百万石 純米吟醸のボトルを左横から

千葉県房総半島の内房にある富津市は「銘水滝の不動尊」や「志駒不動様の霊水」などの名水に恵まれた地。同蔵も、軟水ながらミネラル分が豊富な鹿野山水系の岩清水を仕込み水として使用しています。

「酒造りは米作りから」の意気で、1.6ヘクタールもの自社田を地元に確保。酒造好適米の五百万石を栽培しています。使用米は兵庫県産の山田錦をのぞき、ほとんどが千葉県産米を使用しています。

また、"消費者に喜ばれるお酒"を目指して、蔵内に「ソムリエハウス酒匠の館」を平成8年(1996年)に設けました。同蔵が造った20種類以上の清酒やリキュール類を試飲できるなど、消費者に開かれた酒蔵を目指しています。

旨口ながらも、上品でスタイリッシュな食中酒

東魁盛 五百万石 純米吟醸の裏ラベル

銘柄名の「東魁盛」は「我、東の国の魁として盛んになる」という意味を込めて付けられました。今回の純米吟醸酒は自社田で栽培した酒造好適米「五百万石」を55%まで磨いています。印象的なのは、甘味の強い吟醸香。口に含むと、米由来の旨味と甘味があり、酸はあまり感じられません。

東魁盛 五百万石 純米吟醸をグラスで

甘口ですが、ふくらみ過ぎたりダレたりすることなく、適度な締まりと透明感、そして控えめな酸がサラッと口中に広がっていきます。後口はやや辛口で、適度な余韻とともにスーッと上品に消えていきました。最初は甘口に感じますが、飲み進めることでバランスの良さに気付きます。

東魁盛 五百万石 純米吟醸のボトルを肩張りから

飲み飽きしない食中酒として非常に優秀で、和食から洋食、魚類から肉類まで、幅広く合わせられる奥深さがあります。燗にすると切れ味が増し、塩系の焼き鳥やしゃぶしゃぶ、富津名産・飯蛸の煮物などと合わせると抜群ですね。

富津名産なら飯蛸の煮物

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