9月16日(土)、フランスのパリ・オペラ地区の日本酒・食材専門店Workshop ISSEにて、土佐の日本酒を試飲するイベントが開催されました。
土佐酒を世界にPR!
この試飲会は高知県が主催する欧州プロモーションの一環です。当日は土佐酒造、高木酒造、土佐鶴酒造、無手無冠の4蔵が参加者にそれぞれのお酒を紹介。さらに、有光酒造と濵川商店のお酒も振る舞われました。
今回のプロジェクトを主催した高知県産業振興推進部 地産地消・外商課の山本千香子さんは「取り組み前に比べて販売数量は着実に伸びてきています。新しい商流も少しずつ生まれてきました。欧州への進出は私たちにとって大きな挑戦ですが、県内18蔵の団結力を高め、一丸となって"土佐酒"をPRしています」と熱意を滲ませていました。
想像以上の反応!日本酒に造詣の深い参加者たち
試飲会の参加者は14人で、そのほとんどがフランス人。参加者のひとり・シリルさんに参加した理由を尋ねると、「いろいろな種類のお酒に関心があって、ここの試飲会にも何度か参加したことがあります。日本にはまだ行ったことがありませんが、ワインとは比べられない日本酒の魅力をもっと知りたいです」とのこと。
他にも日本に滞在していたことがある方、現在も住んでいる方、旅行で何度か行ったことがある方など、日本に関心を持つ方々が集まっていたようです。
会が始まるとアペリティフ(食前酒)から順番に、お酒と蔵の特徴が説明されていきます。参加者は、それぞれの日本酒が持つストーリーとともに、それぞれの味、香りの違いを楽しみます。
土佐酒造の松本さんは、3年ほど前に酒蔵を継いだばかり。その翌年にはヨーロッパへの輸出をはじめたのだそう。
「0だったものが1になり、10になり......マーケットは確実に大きくなっていますね。パリへは、今回のように県全体でまとまって行く他にも、蔵単体で訪れることもありますよ」とヨーロッパへの進出に力を入れている様子でした。
さらに「こんな風にフランスの方々に土佐の料理とお酒を楽しんでもらえるとは想像以上です。みなさん日本酒に造詣が深く驚きました。日本食レストランを営業でまわることが多く、フランス人の方と接することが少なかっただけにうれしい反応ですね」と、今回の試飲会について振り返っていました。
土佐料理と土佐酒のペアリングはフランス人にも大人気
土佐の日本酒に合わせる料理は、もちろん土佐料理。2種の塩辛と鮎の肝の突き出しから始まり、鰹のたたき、小エビの唐揚げなど、日本酒を引き立てる肴が用意されました。
土佐特有の宴の形式"おきゃく"についても説明。おきゃくとは、ふだん料理の準備などで忙しい女性もゆっくりとお酒を楽しめるように、大皿に料理を盛って老若男女がいっしょにお酒を楽しむ宴会のこと。フランス人の女性も「このスタイルは取り入れたいわね」と関心していました。
ご夫婦で参加したジベールさんは、日本で働いていたことがあって、家でもよく飲んでいるそう。
「日本酒は日本料理だけではなく、いろいろな料理に合わせられるのが魅力ですね」とイベントを振り返ります。
「『John』は、アペリティフにいいですね。肴はなくてもいいかもしれない。いちばん好みだったのは『土佐鶴 辛口純米大吟醸』。ドライで何にでも合わせやすいと思いました。ゆずのお酒はアペリティフか、もしくはデザート酒としても美味しいと思いますよ。おもしろかったのは『無手無冠』。単体で飲むと少しクセが強いですが、香りの強い椎茸と合わせると絶品でした。ワインもフォアグラなど、強い料理に合わせるワインがありますが、それに似ていると思いました」と、食との相性を意識した感想を話してくれました。
印象的だったのは、会の終盤になると、みなさんが楽しそうに日本酒の話をしながら親睦を深めていたこと。これは日本の宴の雰囲気にそっくりでした。参加する前は、高知のことを知らない方もいらっしゃいましたが、お酒が進むにつれて、「今度日本に行く時は高知に行くよ!」という方がたくさんいらっしゃいました。
こうした地道な活動を通じて、土佐の日本酒、そして高知県そのものがパリに知れ渡るといいですね。
今回の試飲会で提供された日本酒はこちらです。
- 「土佐鶴 辛口純米大吟醸」土佐鶴酒造株式会社
- 「John」土佐酒造株式会社
- 「豊能梅 龍奏 純米大吟醸」高木酒造株式会社
- 「豊能梅 純米吟醸」高木酒造株式会社
- 「美丈夫 特別純米」有限会社濵川商店
- 「安芸虎」有限会社有光酒造場
- 「無手無冠」株式会社無手無冠
- 「土佐鶴 純米大吟醸」土佐鶴酒造株式会社
- 「YUZU SAKE」土佐酒造株式会社
(文:TK/編集:SAKETIMES)