猫をモチーフにしたカワイイラベルの日本酒を厳選し、ご紹介します。日本酒を呑んで心和むひととき、猫の姿が加わればさらに癒されますよ。猫好きも、日本酒好きも必見です。

萩の鶴 純米吟醸 別仕込 生原酒 さくら猫(萩野酒造/宮城県栗原市)

  • 原料米:美山錦100%
  • 精米歩合:50%
  • アルコール分:16度

桜の花びらが顔の上に舞い降りてきて、ニャッと目をつむっている猫の様子がなんとも愛らしい「萩の鶴」。名称に「さくら猫」と書いてあるだけに、桜のような吟醸香、桜餅のようなおだやかな甘味が感じられ、うららかな春の気分に酔いしれることができそうです。酵母がまだ生きている生原酒なので、少しだけぷちぷちとした発泡感があるところも、まるで春の息吹のよう。

萩野酒造のホームページには、「単に造りのみで完結するのではなく、その先にあるコミュニケーションを思い起こさせるような酒を醸したい」との言葉。可愛い猫のラベルを囲み、「カワイイ!」と盛り上がる酒宴を、蔵元は想像していたのかもしれません。

ほかにも、夏限定の「夕涼み猫」、冬限定の「こたつ猫」など、季節限定の猫ラベルが発売されています。

壱(いち)  限定黒猫ラベル おりがらみ(三芳菊酒造/徳島県三好市)

  • 原料米:播州山田錦等外米100%
  • 精米歩合:不明
  • アルコール分:15度
  • 生原酒

王冠をかぶった黒猫が「BLACK KING CAT SAKE」と書かれたお酒を、白猫に注いでいる日本酒ラベル。カワイイだけでなく、独特な世界観が色濃く伝わってきて、まるで大人の絵本の1ページのような奥行きがあります。

奥行きを感じさせるのは、ラベルだけではありません。香りは爽やかで味わいの強い果実のようでありながら、旨味とコクはチーズのごとく。ひとくち呑むごとに、複雑にからみあった奥深い味を楽しめます。

三芳菊酒造は、小さな蔵だからこそ小仕込みで個性的な酒質を世に送り出し、日本酒ファンに注目されています。「え!これが日本酒?!」とびっくりされる味わいは、やみつきになる方も多いのだとか。パンチの効いたラベルに魅了された、三芳菊ラベルコレクターもいるそうです。

米鶴 純米カンタービレ(米鶴酒造株式会社/山形県東置賜郡)

  • 精米歩合:60%
  • アルコール度:15度

米鶴酒造がある高畠町には、高畠町文化遺産「犬の宮」「猫の宮」があるそうです。"動物とつながりのある高畠町の蔵元として"、猫にちなんだ日本酒を発売したそうです。

ラベルはチェコの人気絵本作家Gabriela Dubska(ガブリエラ・ドゥプスカー)の「たれめのねこたち」を起用。「美人猫」とは言い難い、正直に言えば「ぶさカワイイ」という表現がぴったりな猫たち総勢28匹を眺めていると、こちらまで目尻が下がってきてしまいます。

「カンタービレ」は「唄うように、なめらかに」を意味する音楽用語。なるほど、味わいもなめらかです。水あめを思わせる甘味が軽やかに喉を通り過ぎていきます。ミントのようなフレッシュな香りは、女性好みかもしれません。

近江ねこ正宗 SHIRONEKO 純米吟醸(近江酒造株式会社/滋賀県東近江市)

  • 精米歩合:60%
  • アルコール度数:15.7度

ぷっくりしたピンクの鼻から猫愛が伝わってきますね。この商品は、猫と日本酒を愛する近江酒造株式会社の社長が並々ならぬ想いで商品化したそうです。

やや熟成感を感じる香りと、しっかりとした旨味とコクから、編集部スタッフによるテイスティングでは「お燗につけたい」との声があがりましたが、それもそのはず。近江酒造のホームページには、"猫を抱っこするように、40度くらいの燗につけるのもおすすめ"とありました。おそらく社長は筋金入りの猫好きかとお見受けします。

にゃんかっぷ 純米吟醸(株式会社志太泉酒造/静岡県藤枝市)

「水の良さ、米の個性をナチュラルに引き出す酒造り」を目指している静岡県藤枝市の志太泉酒造は、デザインカップ酒の先駆けのひとつと言ってもいいかもしれません。2005年のカップ酒ブームのとき、「ワンカップ大関」の「ワン」に対し、猫の鳴き声の「にゃんかっぷ」という名前を思いつき、発売に至ったそうです。

おだやかな香りと、かすかに感じるメロンのような甘味。落ち着いたやさしい味わいは、するりと身をすり寄せて丸くなる猫の雰囲気に似ている気もします。

「カワイイ!」から始まるニャンダフルな世界

猫がモチーフになったラベルの日本酒5選をご紹介しました。ラベルに惹かれて日本酒を選ぶ”ジャケ買い”が浸透してきている今日この頃、たまには「カワイイ!」の感性を頼りにお酒を選んでみてもいいですね。新たな味を知ることで、自身の意外な好みを発見できるかもしれません。

猫ラベルの日本酒は、やわらかな肉球で新しい世界の扉をそっと押し開けてくれているのです。きっと。

(文/SAKETIMES編集部)

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