SAKETIMES編集部が、いま気になるお酒をテイスティングする新企画「SAKETIMES編集部 注目の一本」。
今月は、山口県・長州酒造が造る「天美 純米吟醸 生原酒」をご紹介します。
近年、特に注目されている銘柄「天美」
「天美」を醸す長州酒造は、山口県下関市で酒造りを行っていた児玉酒造の事業を受け継ぎ、2020年から新たな体制で酒造りをスタートさせた酒蔵です。「作」を醸す清水清三郎商店(三重県)や、「川鶴」を醸す川鶴酒造(香川県)にて造りを経験してきた藤岡美樹さんが杜氏を務め、「微差は大差」を合言葉に、妥協のない丁寧な酒造りを続けています。
「天美」は、そんな長州酒造が新たに立ち上げた銘柄。発売からはまだ数年と若い銘柄ですが、多くの日本酒ファンや関係者から注目されています。SAKETIMESが昨年末に実施したアンケート「2022年最高の日本酒」でも、もっとも多くの票数を集めました。
今回テイスティングする「天美 純米吟醸 生原酒」は、「天美」のラインナップの中でもスタンダードな位置付けである「天美 純米吟醸」の季節限定商品。原酒でありながらアルコール度数は15度と控えめで、原料米には"酒米の王様"として名高い山田錦を全量使用しています。
甘酸のバランスが心地よい、フレッシュな味わい
それでは、実際にテイスティングをしてみましょう。
色合い
グラスに注ぐと、ほぼ無色透明に近い色合いです。また、少量のきめ細やかな泡が立ちのぼり、発泡感のある味わいであることを伺わせます。
香り
青りんごなどを思わせる、ジューシーかつ爽やかな吟醸香を感じます。ツンとしたアルコール感はまったくなく、穏やかでありながら、シンプルで上質な香りです。
味わい
口に含むと、最初にピチピチとしたフレッシュな微発泡感が迎えてくれます。そのあとに続くのは、青りんごや白ぶどうをイメージさせる、柔らかな甘味と軽やかな酸味。甘酸っぱさを感じる味わいですが、酸味が全面に出ているわけではなく、ほどよく甘味を下支えしてくれているような、そんな感覚があります。
総じて、味わいの要素はシンプルで、とてもバランス感に優れている一本だと感じました。香りの印象と同じく、アルコール感も抑えられているため、軽やかにすいすいと飲み進めることができます。適度な酸味や微発泡感も相まって、飲み疲れすることも少なそうです。
合わせる料理としては、りんごやグレープフルーツなどの果物を使ったサラダや、淡白な白身魚、トマトとモッツァレラチーズのカプレーゼなどがおすすめ。また、食事と合わせるほかにも、お酒単体でも充分な満足感があります。
完成度の高さに驚く一本!
「天美 純米吟醸 生原酒」は、まさに「微差は大差」という意識を味わいから感じられるような、とても完成度の高い一本でした。日本酒を飲み慣れていない方にもおすすめできる味わいなので、ホームパーティーなど、複数人が集まるシーンに手土産として持っていくのも良さそうです。
多くの日本酒ファンの心を掴んで離さない「天美」。店頭や飲食店で見かけた際には、ぜひ人気の理由を確かめてみてください。
◎商品概要
- 商品名:「天美 純米吟醸 生原酒」
- 原材料:米(国産)、米麹(国産米)
- 使用米:山田錦
- 精米歩合:60%
- アルコール分:15%(原酒)
- 価格(税込):1,760円(720mL)
- 購入:「天美」取扱店舗
(執筆・編集:SAKETIMES編集部)