SAKETIMES編集部が、いま気になるお酒をテイスティングする連載企画「SAKETIMES編集部 注目の一本」。

今回は、新潟県・阿部酒造が醸す「あべ」シリーズから、「あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ」をご紹介します。

「あべ」シリーズの人気商品

酒蔵の名前を冠する銘柄「あべ」シリーズは、阿部酒造の6代目・阿部裕太さんによって2015年に立ち上げられました。阿部酒造のラインナップの中では、最も生産量が多く、阿部酒造を全国区の酒蔵へと押し上げた銘柄です。

阿部酒造は、2023年に初めて開催された、全国の酒販店員が審査する日本酒アワード「酒屋大賞」にもノミネート。3種類の出品酒のうち、1種類を「あべ」シリーズから出品し、阿部酒造は「BRONZE(3位)」を受賞しました。

そんな「あべ」シリーズは、米の旨味と酸味がバランスよく感じられる味わいが特徴です。米本来の味わいを大事にしていることから、すべてのお酒は加水を行わない「原酒」で造られ、純米酒から純米大吟醸酒まで、幅広いラインナップを展開しています。

あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ

あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ

そのラインナップの中でも、高い人気を誇る一本が、今回ご紹介する「あべ 純米吟醸」です。

原料米は製造年や仕込みロットによって変わりますが、地元・新潟県産の米を100%使用。今回試飲した「あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ」では、どちらも新潟県生まれの酒米「五百万石」と「越淡麗」を使用しています。また、溶け残った米などが混ざり、うっすらと濁っている「おりがらみ」のお酒です。

それでは、実際に味わってみましょう。

グレープフルーツを思わせる、爽やかな味わい!

あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ

グラスに注ぐと、はじめに感じるのは、まるでグレープフルーツのような爽やかな香り。

瑞々しい酸味と甘味の印象が強いですが、柑橘系の皮を思わせる苦味のニュアンスがあるため、まさにグレープフルーツ。また、「おりがらみ」ならではの米粉のような香りも感じました。

あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ

口に含むと、爽やかな酸味と苦味、そしてほどよい甘味がじゅわっと広がっていきます。

甘味と酸味はどちらも感じられますが、最近増えてきている、甘酸っぱい風味の日本酒とはまた違った印象です。爽やかな苦味が甘味と酸味をキリッと引き締めているため、香りの印象と同じく、全体として"グレープフルーツ感"のある味わいに仕上がっています。

このお酒は原酒ですが、アルコール度数は14度とやや控えめなので、重たい印象はありません。むしろ、純米吟醸酒らしいクリアなニュアンスが感じられ、すいすいと飲み進められるほどの軽やかさがあります。

あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ

日本酒の初心者には、フルーティーで甘口の日本酒をおすすめすることが多いかもしれません。ただ、この「あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ」のような、爽やかな苦味があるタイプの日本酒もおすすめです。

お酒そのものを楽しむだけでなく、食中酒として食事に合わせやすく、飲み疲れしない味わいだと感じました。

「あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ」に合わせる料理としては、爽やかな酸味に注目して、パイナップルが入った酢豚や、グレープフルーツのサラダなどがおすすめ。そのほか、酸味が脂っこさを中和してくれるため、肉料理全般との相性も良さそうです。

甘味・酸味・苦味が調和した一本

あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ

「あべ」シリーズの人気商品「あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ」は、まさに「グレープフルーツ」という表現がしっくりくる、甘味と酸味、そして苦味がバランスよくまとまっている爽やかな印象の日本酒でした。

まだ日本酒に馴染みがない人にもおすすめできる一本です。居酒屋や酒販店で見かけた際には、ぜひ「あべ 純米吟醸 Vol.6 おりがらみ」を選んでみてください。

◎商品概要

(執筆・編集:SAKETIMES編集部)

編集部のおすすめ記事