日本酒の原料は、米と米麹と水だけ。そのため、米の良し悪しが酒質に大きく影響します。なかでも、酒造りに適した米のことを「酒造好適米」あるいは「酒米」と呼びます。

今回は、「吟醸王国」とも呼ばれる銘醸地・山形県の代表的な酒米「出羽燦々(でわさんさん)」の味わいや歴史、その特徴をご紹介します。

山形県で初となるオリジナル酒米

「出羽燦々」は、山形県が独自の酒米として初めて開発した品種です。山形県のみで生産され、2020年時点で県内で最も多く生産されている酒米となっています。全国の酒米の中では、2019年時点で第8位の生産量を誇ります。

酒米評価の指標のひとつである心白発現率は約85%と非常に高く、大粒であることが特徴です。また、寒さに強く、倒れにくいという性質も持っています。

酒質としては、雑味が少なく、キレのある淡麗な味わいに仕上がります。純米酒から大吟醸酒に至るまで、幅広い日本酒に使用されている酒米です。

地酒ブランドを確立させるために

かつて、山形県では長野県が開発した酒米「美山錦(みやまにしき)」を奨励品種として酒造りを行っていました。しかし、県内の酒蔵からは「県産酒は県独自の酒米で造りたい」という声が挙がり、山形県としての地酒ブランドを確立させようと、県独自の酒米開発が進められました。

開発が始まったのは1985年。「美山錦」を母に、「華吹雪」を父として、山形県立農業試験場庄内支場(現:山形県農業総合研究センター 水田農業研究所)にて交配されました。

その後、選抜・育成を経て、1991年に「山形酒49号」という系統名が与えられ、1997年に「出羽燦々」として品種登録されました。その名前には、「出羽(山形県を含む地域の旧国名)が燦々と輝くように」という想いが込められています。

また、「『出羽燦々』を100%使用」「山形酵母を使用」「山形県オリジナル麹菌を使用」などの基準をクリアし、厳正な審査に合格した日本酒は「DEWA33」という称号が与えられます。ボトルには認定証を貼ることができ、すべての原料が山形県産であることを示す証として、ひとつの付加価値となっています。

(文/SAKETIMES編集部)

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