2020年9月に発売された、沢の鶴の純米生原酒「100人の唎酒師(ききざけし)」。一般発売の前に行われたクラウドファンディングでは、全国の日本酒ファンから熱い支持を受け、最終的に目標額の235%を達成するという大きな反響がありました。

この記事では「100人の唎酒師」を、より深く、より自由に味わうために、ふたりの唎酒師にさまざまな飲み方を試してもらいました。

8日間をかけて研究した結果、それぞれが提案するベストな楽しみ方とは何だったのでしょうか。ベストな飲み方を決めるまでの試行錯誤の様子とともに紹介します。

沢の鶴の技術が詰まった、常温流通ができる生酒

沢の鶴「100人の唎酒師」

「100人の唎酒師」は、兵庫県播州産の山田錦と、灘の酒造りに欠かせない「灘の宮水(みやみず)」を使った生酛造りの日本酒です。

しぼりたてのフレッシュな味わいと香りが特徴で、その品質を守るために「限外濾過(げんがいろか)」という技術が用いられています。非常に微細な粒子を使って日本酒を濾過することで、生酒に存在する酵素(たんぱく質)を除去。火入れを行わなくても、生酒を常温流通させることができる技術で、できたての味わいや香りを損なうことなく楽しめます。

沢の鶴「100人の唎酒師」の包装紙

沢の鶴「100人の唎酒師」の包装紙

パッケージに描かれているのは、お酒を手にした100人の唎酒師。実際に沢の鶴で働く社員をモチーフにしたイラストで、髪型や表情がひとりひとり異なるこだわりのデザインです。

沢の鶴の持つ高い技術と、それを支える人々の思いが詰まった1本。果たしてどんな楽しみ方ができるのでしょうか。

どんな温度帯でも楽しめる「100人の唎酒師」

1人目の唎酒師は、唎酒師の上位資格であるテイスティングの専門資格「酒匠」を持ち、SAKETIMESでのライター経験もある橋村望さんです。

「『100人の唎酒師』は飲んだことがありましたが、どんなお酒だったかを思い出すために、まずは温度帯を変えて飲み比べてみました」と、早速、唎酒師らしい方法から試行錯誤がスタートしました。

【1日目】さまざまな温度帯で

飲み方:さまざまな温度帯(5~55度)で変化を楽しむ

初日、まずは本来の味わいやポテンシャルを確かめるために、温度帯だけで味わいを比較したという橋村さん。5度(雪冷え)から55度(飛び切り燗)まで、ベストな温度を探りました。

「一番良いと思ったのは、37度ぐらいの人肌燗。なじみが良くて好みでしたね。冷たい温度帯だと旨味が消えてしまうかと思ったのですが、爽やかですっきりとした酸味があるので、雪冷えでもアリだと思いました。これを軸に、いろいろな食べ物と合わせていこうと思います」

【2日目】おでんと燗酒

飲み方:追い水燗
ペアリング:おでん

2日目は、日本酒との相性が間違いなしのおでんをペアリング。水を少量足して燗をつける「追い水燗」という飲み方を試してみたそうです。

「日本酒1合に対し、平杯1杯分ぐらいの水を加えて人肌燗に。『追い水燗』という飲み方で、以前アルバイトをしていた飲食店で教わった飲み方です。アルコール感が少し緩くなり、いつまでも飲んでいられるようなやわらかい口当たりになりました。

温めたことで酸味が上がってきたからか、水を加えても薄まった感じにはなりませんでしたね。ほど良い飲み口で、品があるというか、ずっしりしすぎないお酒だとあらためて感じました。おでんは鰹と昆布でしっかり出汁をとったのですが、風味が強い料理とも合いますね」

【3日目】冷凍フルーツを入れて

飲み方:冷凍フルーツを氷代わりに入れて

3日目は、コンビニで買った冷凍フルーツを氷代わりに使用。見た目も華やかな一杯が完成しました。果たして、フルーツとの相性はどうだったのでしょうか。

「写真映えを意識して、フルーツをちょっと多めに入れすぎてしまいました(笑)。ブルーベリーは2~3個入れるだけでおいしいと思います。冷やしすぎると味がわからなくなってしまうので、お酒は常温で、冷凍フルーツを入れてほどよく冷やすぐらいが良いですね。

キウイやリンゴなど、酸味のあるフルーツのほうが相性が良いと思います。柿は甘みが強く出てしまったのと、グレープフルーツもちょっと苦味が立ってしまいました」

【4日目】トマトとの相性が抜群

飲み方:燗冷ましで
ペアリング:トマトパスタ、ポテトサラダ

4日目は、洋食とのペアリングにチャレンジ。橋村さんの大好物だというトマトは、生酒との相性も抜群です。

「トマトの酸味が生酒と合うので、おすすめの意味を込めて選びました。フレッシュトマトを使うとより酸味が出ます。パスタと温度帯を合わせるために、60度ぐらいまで上げて少し冷ました燗冷ましで。予想外だったのが、マヨネーズの入ったポテサラと『100人の唎酒師』との相性がとても良かったこと。ヨーグルトっぽい酸味のあるお酒とマヨネーズの酸味がぴったりでした」

【5日目】おやつのおともに

飲み方:氷を入れてロックで
ペアリング:レーズンバターサンド

以前、乳酸系の味の日本酒とレーズンバターサンドが合うと聞いたことがあり、「ぜひ試してみよう!」と思ったという橋村さん。ワインのおともとしてのイメージが強いですが、生酒との相性はどうでしょうか。

「この組み合わせ、おいしかったです。甘いものとは合わないかもしれないと思っていましたが、レーズンバターサンドは乳酸系の酸味がある日本酒と相性が良いですね。レーズンの酸味と甘みが効いていました。日本酒に氷を入れて、おやつといっしょに飲む感覚で楽しみました」

【6日目】ピリッと辛い中華料理と

飲み方:花冷えで(10度前後に冷やして)
ペアリング:麻婆豆腐

6日目は中華料理。一見すると、ピリッと辛い麻婆豆腐と生酒は合わないのでは?とつい疑ってしまう組み合わせですが、その想像を超えるのが「100人の唎酒師」でした。

「中華の味に負けてしまうかも......と思いましたが、この日はどうしても中華が食べたい気分だったので(笑)。うちの麻婆豆腐は、花椒(ホアジャオ)を入れてピリッとしびれる味なのですが、しっかりと冷やした『100人の唎酒師』がうまく合って、おいしかったですね。刺激の強い料理と合わせたことで、お酒が甘く感じました」

【7日目】ソーダ割りでさっぱりと

飲み方:ソーダ割りで
ペアリング:馬肉のしぐれ煮

この日は昼飲みということで、さわやかなソーダ割りをチョイス。今まで日本酒のソーダ割りはあまり飲んだことがなかったという橋村さんですが、楽しみ方のひとつとして研究してくれました。

「調べたら、ハイボールみたいに『日本酒:炭酸水=1:5』ぐらいの割合が良いとのことだったので、割ってみました。日本酒をソーダで割るのは少しもったいない気がしていたのですが、すごくおいしくてびっくり!『これはいくらでも飲めるぞ』と(笑)。ミントの葉をのせたので、より爽やかになりました」

【8日目(最終日)】イタリアンにも好相性

飲み方:追い水燗で
ペアリング:カプレーゼ、カルパッチョ、ミートボール、チーズ

いよいよ最終日。2日目の追い水燗がふたたび登場し、イタリアン料理とのペアリングを楽しみました。

「最後だから間違いなく合うものにしたいと思って、酸味と油を意識して料理を揃えました。トマトはもちろん、オリーブオイルとチーズも絶対合うと思っていましたが、文句なく合いましたね。トマトソースのミートボールと合わせるのもおいしかったです。個人的に一番好きな飲み方だった、追い水燗で締めくくりました」

【研究を終えて】

8日間、さまざまな温度帯を試しながら研究を続けてくれた橋村さん。最後に「100人の唎酒師」のベストな飲み方を教えてもらいました。

「ベストな飲み方は、追い水燗です。水を入れなくてもおいしいんですが、入れるとより自分の好みの味になりました。ベストなペアリングはやっぱりトマトですね。トマトは酸味と旨味があるので、生酒との相性は間違いない。生のトマトに塩やオリーブオイル、粉チーズをかけるだけでもおいしいですよ。

『100人の唎酒師』を研究してみて、食べ物との相性が柔軟なお酒だと思いました。洋食でも中華でも、『これは合わないだろう』というものでも意外と合う。特にスパイスとは絶対に相性が良いので、エスニック料理とも合わせてみたいですね。生春巻きにチリソースとか、絶対に合うと思う!

フレッシュ感があって、そのまま飲むとスッキリしていますが、温めるとメロンのような香りや甘みが立って印象が変わりましたし、ソーダ割りにしてもおいしい。柔軟だけど芯のある、そういうところがこのお酒の魅力だと思います」

どんな料理にも合わせられる「100人の唎酒師」

2人目の唎酒師は、お笑いコンビ「にほんしゅ」のボケ担当・あさやんさん。相方の北井一彰さんとともに、コンビ揃って唎酒師の資格を持つ世界唯一のお笑い芸人です。

「100人の唎酒師」を飲むのは今回が初めてで、「小難しくなくて、みんなができる飲み方」というテーマを決めて研究を進めてくれました。芸人さんならではの多彩なワードセンスにも注目です。

【1日目】タルタルソースとの意外な好相性

飲み方:よく冷やして
ペアリング:おでん、サラダ

初日で「100人の唎酒師」を初めて飲み、「すぐに飲み終わってしまうのでは?」と思うほど気に入ったというあさやんさん。和洋折衷の献立との相性はいかがでしょうか。

「おでんはもちろん合いましたね。関西では鰹と昆布でとった出汁を『関東煮』と呼びますが、間違いない組み合わせです。驚いたのが、サラダにかけたタルタルソース。マヨネーズの油分と酸味、あとオニオンスライスとの相性がめちゃくちゃ良かったんです。アルコール度数の高さによるシャープなキレと、生酛のキレの相性が良くて、おでんよりもこっちの組み合わせに興奮しましたね」

【2日目】出汁割りでゆっくり晩酌

飲み方:出汁割りで

2日目は、シンプルに出汁割りで晩酌。かわいらしい猫の徳利は、相方の北井さんからのプレゼントだそうです。

「1日目の延長で、おでんの出汁割りで飲みました。僕の好みは『日本酒:出汁=9.5:0.5』の割合。酒質が強いので9:1でも良かったんですが、お酒メインで味わいたいと思ったので。9:1だと、1杯飲んですぐにまたお酒が欲しくなるんです。出汁割りにするならこの割合がベストだと思いました」

【3日目】"100唎(ひゃくきき)"という愛称が誕生

飲み方:よく冷やして
ペアリング:パクチーとミントの豚しゃぶサラダ、鶏肉のクミン焼き

「大好物のパクチー&ミント、"パクミン"のペアリングはぜひ試してみたかった」というあさやんさん。間違いない組み合わせを絶賛しつつ、"100唎(ひゃくきき)"という、「100人の唎酒師」の親しみやすい愛称を生み出してくれました。

「この豚しゃぶサラダは、すべてのお酒に合わせるぐらい大好きなレシピなんです。パクチーの香り、ミントのさわやかさ、豚しゃぶの油分、すべてが揃っている。特に"100唎"はさわやかさ、フレッシュさ、若々しさみたいなものが引き立った印象でしたね。

クミン焼きともめちゃくちゃ合いました。今回は鶏肉を使いましたが、繊維が荒くて歯ごたえのしっかりあるラム肉でも良かったかも。食感がしっかりあって、旨味が口の中に広がっているところに"100唎"を流し込みたいですね。"100唎"は細マッチョなお酒。力強いけどさわやかな、細マッチョタイプです」

【4日目】甘酢とサバの脂で高みに上る

飲み方:よく冷やして
ペアリング:サバの南蛮漬け

たまたまデパートで安いサバを見つけて、甘酢ダレで食べようと思い立ったあさやんさん。"100唎"に合わせてみたところ予想以上においしく、「早くもベストアンサーでは!?」と心動かされたという4日目の様子です。

「塩気が効いた甘酢とサバの脂が、"100唎"のおいしい酸味と相まって高みに上る。とんでもない景色を見せてくれました。六甲山の山頂からものすごくきれいな夕焼けを見たような気分。甘酢だけだと、アルバイト初日の子のような力みを感じるんですが、サバを絡めると適度に肩の力が抜けるんです。『めっちゃええ子入ってきたで!』って思いました(笑)。脂がありながらも酸味がある食事との相性が良いと思います」

【5日目】ハンバーガーにも負けない酒質

飲み方:よく冷やして
ペアリング:ハンバーガー

前日にベストアンサーの暫定1位にめぐりあい、さらなる高みを目指してハンバーガーに挑戦したあさやんさん。「ちょっと狙いすぎたかな……」と振り返りましたが、こうした浮き沈みも研究を続けるおもしろさです。

「肉の食感と脂、照り焼きの酸味が合うのではと考えて、テリヤキバーガーと比較のため直火焼きのハンバーガーも購入。どちらの組み合わせも悪くはないんですが、やはりサバの南蛮漬けのインパクトが大きくて。昨日の良い景色からもっと良い景色を見たいと思って、欲が出てしまいましたね。

ただ、このときはソーダ割りを試さなかったので、ソーダ割りにしてレモンを絞ったら合っていたかもしれません。"100唎"は味わいがしっかりしているので、お酒自体はハンバーガーに力負けしていませんでしたよ」

【6日目】駄菓子とのペアリング

飲み方:よく冷やして
ペアリング:駄菓子

この日のペアリングはなんと懐かしの駄菓子。「ハンバーガーを食べたら、思考が子どもになってしまって(笑)」という、あさやん流「駄菓子×100唎」の楽しみ方を教えてくれました。

「駄菓子ペアリングのベストは、ずばり『うまい棒 たこ焼き味』。この組み合わせは最高でしたね。他にもソース味のスナックはありましたが、濃いソースの味と青のりの散らばり具合が絶妙なんです。たこ焼き味は、"100唎"とセットで売ってもええんちゃうか?って思いますよ。他の駄菓子と合わせた感想は、その後、noteにもまとめて投稿したので、合わせてご覧ください」

【7日目】生酛とカルピスは好相性

飲み方:カルピス&ソーダ割りで

「生酛系のお酒とカルピスを合わせるのが好き」というあさやんさん。"100唎"にカルピスとソーダを合わせると、長年肩を並べている相棒のような相性の良さを感じたといいます。

「生酛のお酒とカルピスは、はずれなしの組み合わせです。僕はカルピス濃いめが好きなので、『日本酒:カルピス原液=6:4』ぐらい。それをソーダで割りました。"100唎"との組み合わせは、なじみの良さが印象的。仲良く銭湯に来たふたりみたいに、裸になって何でも話せるような良い関係!」

【8日目(最終日)】どっさりのパクミンで

飲み方:モヒート風(パクチー&ミントを入れたソーダ割り)で

最終日は、好物のパクチー&ミントをどっさり入れたモヒート風のアレンジで、8日間を締めくくりました。

「最後はやはり大好きな"パクミン"で。どっさり入れたけど、これでも足りないくらいですね。ソーダはしっかり炭酸がきいたものの方が良いと思ったので、強炭酸を選びました。強めのソーダ割りにさわやかな"パクミン"を投入して、みんなで肩を組んで僕に挑んでくる感じ。互いに懐深く受け入れてくれて、がっちりとスクラムが組めました!」

【研究を終えて】

個性的な組み合わせにも果敢にチャレンジした、あさやんさんの8日間。「ベストな飲み方」と「ベストなペアリング」は決まったのでしょうか。

「カクテル的に飲むなら"パクミン"のソーダ割りかな。"パクミン"との相性は、今まで試したお酒のなかでベストかもしれません。カルピスのソーダ割りに関しては、合うことはわかりきっていたので、これはもう殿堂入りという感じですね。ペアリングとしては、4日目に合わせたサバの南蛮漬け。これを超えたいと思っていろいろ試しましたが、結局これが一番でした。

"100唎"を8日間飲んでみて、このお酒を紹介するときに一番伝えたいのは『安心感』。酒質も強いしアルコール度数も高いので、あまり飲み慣れてない方にしたらちょっと強すぎるような印象があるかもしれません。でも、食事と合わせるとなれば大概のものと合う、むしろ合わないものを探す方が難しいかもしれないです。

それは他の日本酒にも言えることではあるんですが、"100唎"はいろいろな表情があるので、特にそれを感じましたね。自分が普段好んで飲んでいるお酒と近い酒質だったので、今後も"100唎"を楽しみたいと思います」

どんな飲み方でも受け入れてくれる懐の深さ

橋村さんとあさやんさん、ふたりそれぞれの楽しみ方で「100人の唎酒師」をたっぷり研究してもらいました。

それぞれアプローチは異なるものの、「酸味と合う」「強い味の料理にも負けない」など、相性が良いと思うポイントが一致していたのが印象的。その奥深さにすっかり魅了され、「次はこんな組み合わせも試してみたい」と、ふたりの探求心はますます高まっているようでした。

温度帯によって違う表情を見せ、いろいろな料理を受け止めてくれる日本酒「100人の唎酒師」。あなただけのベストな楽しみ方を見つけてみてください。

(取材・文:芳賀直美/編集:SAKETIMES)

◎商品概要

  • 商品名:沢の鶴「100人の唎酒師
  • 原材料:米(日本産)、米麹(日本産米)
  • アルコール度数:18.5%
  • 精米歩合:70%
  • 容量:720ml
  • 販売価格:1,375円(税込)

◎キャンペーン情報

沢の鶴「100人の唎酒師」プレゼントキャンペーン

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  • キャンペーン名:「100人の唎酒師」プレゼントキャンペーン
  • キャンペーン期間:11/29(月) 12:00~12/9(木) 11:59
  • 参加方法:
    • 沢の鶴のTwitter公式アカウント(@sawanotsuru1717)をフォロー&キャンペーンツイートをリツイートしていただいた方の中から抽選で5名様に、「100人の唎酒師(720ml)」をプレゼントします。期間中は毎日応募できます。
    • ハッシュタグ「#101人目の唎酒師」をつけて、自分流の楽しみ方を投稿していただいた方の中から抽選で10名様に、おちょこ付の「100人の唎酒師(720ml)」をプレゼントします。

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