全国有数の米どころの秋田県は、「美酒王国」とも呼ばれる酒造りの盛んな地域。

雪国の寒い気候をうまく利用し、低温でじっくりと時間をかけて仕込む、秋田流寒造り(低温長期醗酵)が特徴で、そうして造られる秋田の日本酒は、全体としてきめが細かくなめらかで、口あたりのやさしい淡麗な味わいです。

この記事では、SAKETIMES編集部がこれまでに取材した秋田県の酒蔵をご紹介します。

「一白水成」福禄寿酒造

福禄寿酒造の蔵外観

秋田県五城目町(ごじょうめまち)にある1688年(元禄元年)創業の福禄寿酒造(ふくろくじゅしゅぞう)。代表銘柄の「一白水成」が有名ですが、秋田県内限定で「十五代彦兵衛」というお酒も醸しています。どちらもキレがよく、きれいな飲み心地が特徴です。

福禄寿酒造が、もっとも力を入れているのは原料となる酒米の扱い。「よりよい酒米をつくろう!」と、10年前に酒米研究会が設立され、契約農家や農業の専門家、農協、自治体が一丸となって酒米づくりに取り組んでいます。

「雪の茅舎」齋彌酒造店

日本酒「雪の茅舎」や「由利政宗」を醸す齋彌酒造店

長い櫂棒を使って、タンク内の醪を力いっぱいかき混ぜる「櫂入れ」。日本酒造りにおいては、欠かせない作業のひとつです。

その櫂入れをまったく行わず、酵母の働きに任せた自然のままの酒造りを続けるのが、秋田の銘酒「雪の茅舎」や「由利正宗」などを醸す、明治35年創業の齋彌酒造店(さいやしゅぞうてん)。国の登録有形文化財にも登録されている美しい蔵屋敷を訪れました。

「北秋田」株式会社北鹿

北鹿の看板

「大吟醸 北秋田」を醸す株式会社北鹿があるのは、秋田県北部の大館市。北西に白神山地、東部に奥羽山脈や十和田八幡平を臨む、自然豊かな穀倉地帯の中心に位置し、良質の湧き水に恵まれています。冬には雪が降り積もり、酒造りにとってはまさに理想の環境。古くから続く造り酒屋も数多くあったようです。

大吟醸酒は米を50%以上も磨き、低温でゆっくりとていねいに造りあげられた、技術の粋を集めた高級なお酒ですが、「大吟醸 北秋田」はそのイメージを覆し、四合瓶で1,000円以下という驚きのコストパフォーマンスを実現。"日常の食卓で気軽に楽しめる大吟醸酒"という新しいジャンルを築いてきました。

「新政」新政酒造

「新政」のラベル

1852年に秋田県で創業した新政酒造。2007年に蔵に戻った8代目の佐藤祐輔さんは、秋田県産の米と自社酵母にこだわり、生酛造りや木桶仕込みといった伝統製法への回帰と新しい商品開発に取り組むことで、一度は深刻な経営状態に陥った酒蔵を再建しました。

昨今は、代表銘柄「No.6」におけるアーティストとのコラボレーションで他業界からも注目を集めるほか、日本酒と焼酎の蔵元がPRや販売を共同で行うプラットフォーム「J.S.P(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)」を立ち上げるなど、自社のみにとどまらない活動を行っています。

(編集:SAKETIMES)

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