「豪華」や「優雅」というイメージを思い浮かべる船の旅。そんな非日常的な空間で日本酒がいただけたら、どんなに素敵なことでしょう。
横浜大さん橋ターミナルに停泊している豪華客船で、群馬県の地酒蔵、永井酒造の日本酒が振る舞われるイベントが開催されました。その模様をお伝えいたします。
会場は3,000人収容の豪華客船
イベントの会場は豪華客船「コーラルプリンセス」。ホテルや商業施設を思わせるような大きな船内に、ヨーロッパからの観光客と船員が約3,000人乗船しています。
この優雅な雰囲気のなかで、日本酒はどのように提供されるのでしょうか?
今回のイベントを企画した富士貿易株式会社の方にお話を伺いました。
「現在、日本を訪れる訪日外国人旅行者は年間2800万人。政府は、2020年までに4000万人に増やそうという目標を掲げています。そこで、日本の良さを知ってもらおうと、富士貿易の輸入部門でもプロジェクトを担うことになりました。
いろいろと試行錯誤するなかで、日本を代表するものとして日本酒がわかりやすいのではないかと考えたのです。永井酒造さんと一緒にやることになったのは、すでに海外輸出の実績があることと、英語のプロモーションビデオなど外国語対応ができるなどを考慮して、酒販店のすすめもあって決めました」
スパーリングから大吟醸やデザート酒まで勢揃い
会場には、永井酒造の日本酒が準備されていきます。
スパークリング日本酒、純米吟醸酒、デザート酒など種類豊富なランナップ。「甘酒の反応が一番楽しみですね」と、永井酒造の川島営業部長はお話してくれました。
300個の升に注がれ振舞われたのは「水芭蕉 純米大吟醸プレミアム」。升は持ち帰り可能ということで、参加者にとても喜ばれてました。
鏡開きでイベントがスタート。乗客6名とマネージャーやシェフなど船員スタッフ6名が参加し、「よいしょ!」の掛け声で木槌を樽に打ち付けます。「初めての体験で楽しい」と、みなさん興奮している様子でした。
スパークリング酒「水芭蕉 ピュア」を開栓する"ポンッ"という音に、会場から歓声があがります。「水芭蕉 ピュア」は、シャンパン製法で仕込まれた日本酒。ガス圧もシャンパンと同じだそうで、グラスの中できれいな泡が立ち上ります。
「アルコールの度数が低いお酒と感じました。さっぱりとしていて、とても飲みやすいですね」という感想も聞こえます。
川島さんが気にしていた甘酒は、「フルーティな香りが立つお酒」という反応。「まるで、食事に出てくるコールドスープのようだ!」とおっしゃる方もいました。
「水芭蕉 純米大吟醸VINTAGE」シリーズのボトルについてる水引きに興味を持つ方も多く、「とても美しい。これが欲しい」と、ほとんどのボトルから水引きが無くなっているほどでした。
外国人旅行者にも伝わる日本酒の魅力
あっという間に提供時間は終わり、みなさん、名残惜しい様子。
「今まで、ジャパニーズレストランでしか飲んだことがなかった。でも、こうしてここで飲めて楽しかった。特にスパークリングの日本酒は初めてで、美味しかったよ!」と満足したようでした。
「以前は、日本酒の香りを気にする方が多く、あまり手に取ってもらえませんでした。でも今日は、みなさんが何の抵抗もなくすすんで飲んでくれたように思います」と、永井酒造の川島さんも、喜んでいました。永井酒造のきれいなお酒と香り、そしてシャンパンのようなスパークリング酒が受け入れられたのでしょう。
これをきっかけに、日本を訪れる外国人旅行者が日本酒の魅力に触れ、日本各地の酒蔵を訪れたり、購入にして自宅で楽しんだりする機会が増えてくれればと願っています。
(文/まゆみ)