2017年4月、名古屋駅にホテルやレストラン街、商業施設などを集積した「JRゲートタワー」が全面開業。これを記念し、「東海三県ご当地銘酒フェスタ」が開催されました。

ゲートタワープラザ12階にあるレストラン街南広場でおこなわれた日本酒の試飲販売会では、4月20日から5月6日までの開催期間が3部に分けられ、東海三県から各部3蔵ずつ、全9蔵が出店。今回は5月3日から最終日までの第3弾へ行ってきました。

日本酒初心者にも親しみやすい、地元に根ざした酒蔵

この期間の参加蔵は、丸一酒造株式会社(愛知県知多市)、天領酒造株式会社(岐阜県下呂市)、有限会社平瀬酒造店(飛騨高山)の3蔵。丸一酒造と天領酒造は、名古屋で目にする機会が多く馴染み深い酒蔵ですが、平瀬酒造店のお酒を飲むのは今回が初めてでした。

飛騨高山にある平瀬酒造店は、JR高山本線の高山駅から徒歩15分。天神山のふもと、城下町の一角にあります。創業年代は定かではないものの、菩提寺の過去帳に元和9(1623)年には存在していたことが記録されていたそう。現在15代目で、390年余り続く老舗の酒蔵です。

造られているお酒はすべて、純米酒や吟醸酒、本醸造酒などの特定名称酒。「他の商売にはどんなことがあっても振り向かない。酒造り業一筋に生きる」という家訓が今も固く守り継がれ、品質の高い、本物志向の酒造りを目指しています。

原料は岐阜県の酒造好適米「ひだほまれ」をメインに使用。栽培に手間がかかり、収穫量も限られるのが難点とのことでしたが、それでも「地元の良質な米で、飛騨ならではの旨い酒を生み出したい」という気持ちで、ひだほまれにこだわってきました。

代表銘柄「久寿玉(くすだま)」の語源は「薬玉」に由来しています。邪気を払い避け、幸運を呼び込む縁起物「薬玉」を百薬の長「久寿玉」になぞらえたのだとか。

蔵の方が気さくで親しみやすく、商品パッケージも可愛らしいので、気軽に話しかけやすい和やかなブースでした。自然と、試飲中の会話も弾みますね。

おすすめの梅酒「清酒仕込み 久寿玉の梅酒」は目を引くパッケージデザイン。砂糖ではなく果糖を使用しているため、ベタつかないスッキリとした甘さがありました。オンザロックにすれば、何杯でも飲めてしまいそう!

アベリアから抽出した花酵母を使った「純米吟醸 キュート」は、爽やかな香りやスッキリとした飲みやすさに加え、180mlの飲みきりサイズなので、女性へのプレゼントにもおすすめ。蓋がガラスのお猪口になっていたり、空き瓶を一輪挿しとしても使えるように可愛らしくデザインされていたり、飲むこと以外でも楽しめる、粋な仕掛けもありました。

もちろん、初心者向け・女性向けのお酒だけではなく、お酒好きの期待に応える商品もあります。"これぞ日本酒"というお酒のなかに、可愛らしい商品が並んでいることで、だれでも気軽に立ち寄りやすくなっていました。

平瀬酒造店のお酒は地元消費がほとんどなので、名古屋で飲むことができる機会はかなり貴重だそう。

その土地の近くに住んでいても、意外と知らない酒蔵があるものだなと改めて感じました。実際に現地へ行かなければ出会えないような日本酒に、地元にいながら出会えるのが試飲会。また足を運びたいですね。

(文・イラスト/やいち)

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