飲み過ぎや過度な二日酔いを防ぐために、「お酒を飲む前に牛乳を飲んで胃をコーティングすると、アルコールの吸収が遅くなる」「ウコンを摂取すれば、アルコールの分解が早くなる」「休肝日を設ければ、健康への問題はない」など、お酒が大好きな先人たちによって語り継がれてきた知恵はたくさんあります。

しかし、本当に効果があるのかわからないのも事実。そこで今回は『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社刊)を監修した、日本酒好きの医師・浅部伸一先生に真相を伺いました。

浅部伸一先生(自治医科大学付属さいたま医療センター)

アルコールはすぐに吸収される

アルコールは胃でも吸収されますが、その9割は小腸から吸収され血液を通って、脳に作用します。

「胃は食べ物を留め、溶かしてから小腸へ送る臓器です。ところが、胃の出口にある幽門は、固形物が入ってきたときはキュッと締まるものの、液体のみの場合はそのまま流してしまいます。胃の中に食べ物がない状態では、あっという間に小腸までアルコールが流れてしまうので、酔いが早くなるのです」と、浅部先生。

「今日はほどほどにしておこう」と思っていたのに、いざ飲み始めると「もうちょっといけるかな?」と、飲み続けてしまう経験はありませんか。アルコールには脳への麻酔作用があるため、理性の働きを弱めてしまうのです。

どのくらいの量を飲んだかによっても変わりますが、序盤で酔ってしまうと、摂取するアルコールの総量が増えてしまう傾向にあります。酔いを遅くしたほうがアルコールの総量を絞りやすいため、空きっ腹にお酒を入れるのは極力避けるほうが良いでしょう。

アルコールの吸収を遅くする食べ物は?

浅部先生によると「お酒を飲む前に少し食べることで、胃の幽門が閉まります。特に、繊維質や脂肪分が入ると、消化があまり良くないからなのか、長い時間、胃の中に留まるんですよ」とのこと。

チーズやオリーブオイルを使ったサラダ、唐揚げなどがおすすめなのだとか。満腹感も得られるので、食べ過ぎを抑えるのにもうってつけです。

「牛乳などの乳製品を事前に飲むことで、胃をコーティングするという話を聞いたことがありますが......」と伺ったところ、「コーティングという発想にそもそも意味がない」という答えが返ってきました。

「胃は粘膜で充分にコーティングされているので、アルコール度数が極端に強いお酒を飲んだりしなければ、粘膜がボロボロになることはありません。日本酒のアルコール度数であれば、粘膜に影響することはないでしょう」

牛乳を飲むことで胃をコーティングするというのは、迷信だったのかもしれませんね。

◎参考文献

  • 『酒好き医師が教える最高の飲み方』(著者:葉石かおり、監修:浅部伸一/日経BP社)
  • 最新医学のエビデンスをもとに、お酒の正しい飲み方を指南した一冊。お酒の楽しみ方はもちろん、健康や美容との関係など、お酒を飲む人が抱く素朴な疑問に回答を示し、多くの読者から高い評価を得ている。

(取材協力/葉石かおり)
(文/乃木章)

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