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日本唯一の醸造業界専門誌!「日本酒醸造協会誌」を読んでみよう

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酒造りの時期以外はお酒の研究をしているわたしですが、造りや研究の最中でも、日本酒には分からないことがたくさんあります。

たとえば、生酛造りの場合はどんな菌が入ってくるのかな?とか、あのお酒の匂いは何が原因なのかな?とか、他県のお米を使いたいけど、うちの酒造りに適しているのかな?とか、花酵母ってどうやって採ったのかな?とか、さまざまな疑問があります。

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このような疑問を解決してくれるかもしれないのが、益財団法人 日本醸造協会が発行する「日本酒醸造協会誌」です。あまり聞き慣れないかもしれませんが、日本で唯一の醸造に関する総合専門誌で、毎月1冊会社や研究所に届きます。これを読めば、先人たちの研究内容や最新情報がわかり、研究をする際の手助けになります。

そもそも専門誌と聞くと難しそうですが、コラムのような内容もありますし、きき酒についてや、お酒と料理のマリアージュについての研究なども載っています。また、日本酒だけではなく焼酎や泡盛、醤油や味噌、海外の醸造物 (ワインにテキーラ、白酒など)についての情報も扱っています。

日本唯一の"醸造業界専門誌"をご紹介

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2016年8月号の目次はこのようになっています。清酒や酵母、麹菌の研究もあるのですが、このほかに酒販や容器についての記事もあり、内容は多岐にわたります。

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日本酒製造者や営業担当向けのセミナー情報も。一般の方が参加できるものもあるので、興味のある方は、お酒に関する研究を行う酒類総合研究所や、この醸造協会誌を発行する日本醸造協会のホームページをたまにチェックするといいかもしれません。

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きょうかい酵母」の販売もしています。酵母は"アンプル"という人差し指くらいの大きさのガラス瓶や、酵母を培養する"スラント培地"で届くんですよ。

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誌面の広告も、ほとんどが醸造関係のものです。

「日本醸造協会誌」の報文を読んでみましょう

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醸造協会誌の中は基本的に文字がいっぱいですが、内容によっては読みやすいですし、自分が見たことある言葉が出てくると親近感で読めてしまうものです。

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たとえばこれ。パウチ容器の話がありました。最近、お店でも見かけるようになりましたね。パウチ容器は、光や空気の遮断のほかに、瓶より軽いという特徴があります。卓上醤油もパウチ式のものが出るなかで、日本酒もこのタイプが主流になっていくのでしょうか?

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かつお節についての記事もあります。意外に思いますが、実はかつお節も発酵食品なのです。

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定期的に記事になっているのが、酒造業における災害と事故の報告です。残念ながら、地震などの被害のほかに、毎年何らかの事故が起きています。米などの重い物を運ぶことも多く、寒い時期には、麹室と仕込み室など温度の低いところと高いところを1日中なんども行き来するため、ちょっとの不注意が事故につながってしまいます。だからこそ、このような記事を読んで未然に防ぎたいものです。

実はWEBでも読めるんです!

これらの研究報文はWebで見ることもできるのです。醸造関係者だけでなく、一般の方が見て勉強することもできます。

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それが、「J-STAGE」という論文を集めて公開しているサイトです。「J-STAGE」は、学術機関向けの論文検索サイトですが、一般の人も読める記事がたくさんあります。

右上の検索欄で「醸造協会誌」と誌名検索すると、簡単に出てきます。

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「日本醸造協会誌」のページが出てきたら、記事検索や巻号頁で読みたいものを探しましょう。

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ためしに「山廃」で探すと69件出てきました。面白そうな記事を見つけてクリックすると、PDFファイルが出てきますので、印刷することもできます。色々な記事を読んでみることで、知識が増えることでしょう。ぜひとも活用してみてはいかがでしょうか。

蔵人も、今や肉体だけではなく、頭も使っていかなければ現代のお酒は造れません。伝統の技と呼ばれるものにも科学が潜んでいます。古来から続いている酒造りにも、まだまだ新しい発見があるかもしれません。

(文/リンゴの魔術師)

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リンゴの魔術師

札幌生まれ、弘前大学人文学部に入学するも農学生命科学部を卒業。今は秋田で杜氏を目指し修行中。夏は技師、冬は麹室助手をやっています。造りを通して見た日本酒というものを書いてゆきたいと思います。お酒って、飲んでも考えてもおもしろいですよね。趣味はお絵かき、リンゴ彫刻、鉄道、雑魚釣り、花いじり、猫いじりなどなど。