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現役蔵人が教える”酒造りの道具” 〜何に使うのでしょう?〜

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酒造りではたくさんの道具を使います。名前が形状や機能を表しているものから、なぜそんな名前なのかまったく分からないものまで様々。今回は、そんな”酒造りの道具”をクローズアップ!

カタナ (用途:蒸米を切り分ける)

カタナは麹室に入ってきた蒸米を切り分けるのに使われます。男の子が持って遊びたくなるような形ですね。木製が多いですが、ステンレスやチタン製のカタナを使っている蔵もあるそうです。

蒸米は重いので、腹筋に力を込めて切り分けていきます。切れ味が悪くなってきたカタナはカンナで研ぐことで復活。長年使っているとだんだん小さくなってきますが、全国新酒鑑評会で金賞を獲った時や苦労した時の思い出が詰まっているので、古いカタナは思い出として飾ってあり、今も麹室の壁で新しいカタナの働きを見守っています。

以前の記事で描いたイラストにもバッチリ描いてありました。その他にも麹室には独自の道具がたくさん。

ブンジ (用途:蒸米を釜から掘り出す)

これも蒸米に関する道具で、主に釜場で使います。ブンジは蒸米を釜から掘り出したり、放冷機などに送りこんだりする時に使うヘラの形をした木製の道具。蔵では木の道具が多く使われますが、素材は樫の木が多いかもしれません。すぐに折れない丈夫なものが好まれてきたようですね。

先程紹介したカタナの代わりに、ブンジを使って麹を切り崩す蔵もあるようです。

どこの蔵でも使われているようですが、なぜブンジと言うのかは不明。ぶんぶん振り回すからなのか、どこかの”ぶんじ”さんが作ったからなのか、なぜでしょうね?

ホースバンド (用途:ホースが外れないようにする)

酒蔵で使うホースが外れないよう締結する道具。ホースをポンプや呑みに連結させる時に付けてあげると、ホースが外れなくなります。

ホースは通る液体の温度によって膨らんだり縮んだりして、内径が変わります。火入れの工程では、熱い酒が通ることも。その時に内径が広がるとホースの接続部分(蔵ではタケノコと呼んでいます)とホースに隙間ができ、酒が噴出してしまいます。ふだん、酒を移動させる作業でもポンプを使うため、ホースの内圧が高まったり低くなったりしてしまいます。

ですからきっちり締めること、確認することが肝要ですね。心配だったら2個付けてもいいでしょう。

タメシ (用途:酒や水などの液体を入れる)

「タメシオケ」「タメオケ」「タメ」などと呼ばれます。漢字で書くと”試桶”。

一斗(18リットル)ほどの水が入れられる、取手のついたバケツです。ステンレスやFRP(繊維強化プラスチック)でできていて、タメシ自体の重さは3キロ程度。酒や水を入れて肩に担いで運びます。これが重いのなんの。

その他にも水を量ったり、甘酒を仕込んだり、醪の付いた櫂棒を入れて洗い場まで運んだり、濾過作業で炭などを攪拌したりと用途は様々で「洗い場専用」「酒専用」など使い分けられています。何にでも使えるので、どこの蔵にも複数転がっているかもしれません。

取手には膨らみがあるので、握った時にすっぽ抜けにくい構造になっています。これを肩に担いでハシゴを上がり、酒や水を入れるのが日常という人もいるとか。蔵人らしい光景ではありますが、危ない作業はやめましょう。

※今回ご紹介した酒造りの道具は、蔵によって呼称が異なることもあります。

(文/リンゴの魔術師)

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リンゴの魔術師

札幌生まれ、弘前大学人文学部に入学するも農学生命科学部を卒業。今は秋田で杜氏を目指し修行中。夏は技師、冬は麹室助手をやっています。造りを通して見た日本酒というものを書いてゆきたいと思います。お酒って、飲んでも考えてもおもしろいですよね。趣味はお絵かき、リンゴ彫刻、鉄道、雑魚釣り、花いじり、猫いじりなどなど。