10月18日、株式会社メリーチョコレートカムパニーが「サロン・デュ・ショコラ パリ 2018」への出品作を先行でお披露目するイベントを、東京・丸の内にある「KITTE」のメリーズ カフェで開催しました。
世界的祭典で最高位に輝いたチョコレート
「サロン・デュ・ショコラ」とは、1995年にパリで始まった、世界最大のチョコレートの祭典です。これまで、16ヶ国33都市で開催され、のべ来場者数は1,000万人に上ります。
日本でも、2002年からは新宿伊勢丹をはじめとする全国各地で、1月末から2月にかけて開催されています。
23年目となる「サロン・デュ・ショコラ パリ 2018」は、10月30日の前夜祭から11月4日まで開催され、40ヶ国から217名のショコラティエが出展します。日本から出店したショコラティエは16名で、フランスの128名に次ぐ2番目の参加人数です。
「サロン・デュ・ショコラ」では、フランスの権威あるチョコレート愛好会「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ(Le Club des Croqueurs de Chocolat、以下「C.C.C.」 )」が厳選したチョコレートについての品評会が行なわれます。その結果発表がイベントの大きな目玉になっているのです。
海外向けのブランド 「トーキョーチョコレート」 で出展するメリーチョコレートは、2000年から18回連続での出場。これは日本最多です。また、2016年、2017年と2年連続で、最高位となる金賞を受賞しています。
日本酒原料でつくる、"新時代のチョコレート"
「C.C.C.」の行う品評会には4種類のボンボンショコラを提出するという条件があります。そこで、"和のチョコレート"の分野を開拓してきた人物こそ、メリーチョコレートのトップショコラティエ・大石茂之さんです。2016年は「野点(のだて)」をコンセプトに、みたらしと抹茶で、日本庭園の風情を表現。2017年には「東京爛漫」をテーマに、梅干し・桜・柚子・山椒を使い、咲き誇る梅や桜など、日本の美しさを表現し栄冠に輝きました。
今年の品評会には、日本酒を使ったチョコレートで挑むのだそう。コンセプトは「新TOKYOジャポニスム」。 4種類のうち2つに日本酒、1つにみりん、もう1つには日本酒からつくられた伝統調味料「煎り酒(いりざけ)」を使用します。日本の伝統を踏襲した新時代のチョコレートを、パリから全世界に発信することが狙いです。
これらのお披露目に先立って、昨年の前夜祭で好評を博した"日本酒枡タワー"に、出品作に使われている純米大吟醸酒「出羽桜 一路」が、大石さんによって注がれました。
今年の出品作を、詳しく紹介します。
No.1 薔薇
出羽桜酒造(山形県)の純米大吟醸酒「出羽桜 一路」に、生で仕入れた朝摘みの薔薇の花びらを漬けこみ、その香りと味わいを閉じ込めたものと、ドミニカ産カカオを64%した力強い味わいのビターチョコレートを、気品のあるガナッシュに仕上げた一粒。2018年の日仏友好160周年を祝して、薔薇の花束を贈る気持ちを表現しました。
No.2 青紫蘇といちご
No.1と同じ純米大吟醸酒「出羽桜 一路」とスカイベリーを、エクアドル産カカオ66%のチョコレートに合わせています。載っているのは、ブラジル産カカオ62%のチョコレートに、生の青紫蘇からつくったピューレを加えたもの。二層の間には、スカイベリーのピューレを使用したパート・ド・フリュイを挟み、三層の構造になっています。
No.3 赤酢
まろやかな味わいの三河本みりん、香ばしい麦茶、甘く華やかな桜のエキス、そして、昔から江戸前寿司のシャリに使用されていた赤酢を3年以上熟成させたものを、カカオ感が強く、赤酢のフルーティーさと同じ系統の味わいをもつペルー産カカオ75%のチョコレートに香らせた一品です。
No.4 「五味」のプラリネ
2層に重ねられたプラリネです。下段のアーモンド、上段のピスタチオはそれぞれ、山梨銘醸「七賢 純米酒」でつくる「煎り酒(いりざけ)」をキャラメリゼして風味豊かに仕立てたもの。人間が感じる5種類の味覚(酸味、甘味、旨味、塩味、苦味)をすべて集めた一粒です。
4点の他にも、日本酒に合うチョコレートをお酒とともに紹介していただきました。「サロン・デュ・ショコラ パリ」に2016年から設けられた、チョコレートを通して日本文化を紹介するブース「EXPERIENCE JAPON (エクスペリエンス ジャポン)」は、大変人気なのだとか。
日本酒を得意とする大石さんは、2016年に日本酒とチョコレートのマリアージュ、2017年に「燗酒(かんざけ)」を紹介し、フランス人ソムリエたちを驚かせました。今年は「No.1 薔薇」と、トーキョーチョコレートの代表作「MINAMO」シリーズの「いちじく」に日本酒を合わせるとのことです。
「MINAMO」は、東京都内で製造されたお酒を原料に作られたチョコレートです。
<朝霧>は「大吟醸 對鴎」、<青空>は「嘉泉 特別純米 東京和譲」と田村酒造場(福生市)の日本酒がそれぞれ使用されています。また、<朝焼け>にはシードル、<夕焼け>にはワインが使用されています。ともに、東京初のワイン醸造施設「東京ワイナリー」のお酒です。
お披露目会の最後には、エクスペリエンスジャポン限定で提供される「出羽桜 枯山水 特別純米 十年熟成」を使った抹茶のチョコレートが、特製のお猪口で供されました。鮮やかな緑と熟成酒の香りに包まれ、イベントは終了となりました。
学生時代に酒販店でアルバイトをしていた際に日本酒の魅力を感じ、それ以来、酒蔵をよく訪れるという大石さん。世界的なワインコンテスト「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」の日本酒部門や、フランスの日本酒コンクール「Kura Master」の受賞酒とのマリアージュも、今後さらに追及していくとのこと。
通常、日本ではバレンタイン時期にのみ販売される、その年の「C.C.C.」に出品したチョコレートが4つ入った 「プレミアムセレクションボックス」。今年は、2018年10月22日から「メリーズ カフェ」と、東京駅の地下1階グランスタ内にあるシーズンセレクトでの先行発売が決定しているそうです。また、パリでも毎年完売する人気商品「MINAMO」も同時に発売するとのこと。
日本酒を原料に使用したチョコレートと、日本酒とのマリアージュを体験してみてください。
(文/中大路えりか)