日本で唯一の「ユネスコ食文化創造都市」に認定されている山形県鶴岡市。"食文化の発信拠点"として期待される鶴岡市に、 食の複合商業施設「つるおか食文化市場FOODEVER」がオープンします。

7月1日(土)のオープンに先立ち、東京・銀座の「ヤマガタ サンダンデロ」にてプレス発表会が行われました。そこで発表されたコンセプトや、施設内容を一足先にご紹介します!

ロゴマークは「食」の漢字をもとに、山と海、畑と作物、そして蕎麦と魚をイメージしてデザインされたとか。それだけでも、食の関する楽しそうな場所だと想像がふくらみます。

それでは、オープンに先駆けて「FOODEVER」の魅力をお伝えしていきましょう。

ユネスコ食文化創造都市に認定された鶴岡市

2014年12月、日本で唯一「ユネスコ食文化創造都市」に鶴岡市が認定されました。そして翌年の2015年、ミラノ国際博覧会に出展。出羽三山の精進料理ステージ、地酒の試飲、文化の紹介をして高評価を得たことで、鶴岡という名が広く知れ渡るようになったのです。

この出来事と、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟したことも重なって、鶴岡の料理人をスペインへ派遣したり、イタリア食科学大学との連携を行ったりと、食文化の交流が鶴岡と外国の間で深まっていきました。

鶴岡市企画部長・髙坂さん

「この交流を新たな"まちづくり"へ展開したいと思っています。鶴岡をフィールドとし、食文化を学び、価値を共有するためのプログラムも構築、実践していきたいと考えています」と鶴岡市企画部長・髙坂信司さんは語ります。

では、FOODEVERの特徴はどんなところにあるのでしょう?
鶴岡市と共にFOODEVERの整備を行ってきた株式会社FO-DO 代表・丸山典由喜さんに伺いました。

株式会社FO-DO 代表・丸山さん

「まず、国内外の第一線で活躍する料理人、奥田シェフと土岐シェフがプロデュースした料理を味わえます。『鶴岡バル』と名付けたスペースでは、地元の日本酒とワインが楽しめます。それから、新鮮な魚・野菜などを販売するマルシェが隣接します。レストランでも使用する高品質な食材がそのまま購入できますよ」

庄内地方の食材が豊富に並ぶ!

FOODEVERの名付け親は、"世界の料理人1000"にも選出されたイタリアンの第一人者・奥田政行シェフ。食べることを庄内の方言で「フー」と言います。そして、フードの"フー"。そこから着想を得たと言います。

奥田政行シェフ(写真左) / 土岐正富シェフ(写真左)

彼らはFOODEVERの特徴を「イメージは巨大回転寿司。懐具合に合わせて、少しだけ食べるかフルコースを堪能するか、自分で選べるのです」と語ります。

例えば奥田シェフのお店では、前菜とパスタしか提供しません。ここでフルコースを食べたい人は、魚バルへ行って魚料理を、次に肉バルへ行って肉料理を、最後にカフェでデザートと珈琲、といったように料理の内容や量を「お店を変える」ことで自由に選択できるそうです。

日本国内で最も四季がはっきりしていると言われるの山形県。特に庄内地方には、海も山もあります。近い距離で様々な食材が手に入るという強みがあるかもしれません。

その庄内の食材をふんだんに使った、FOODEVERで提供される料理の一部を紹介します。

地元の食材を使ったメニュー

まずは、"奥田理論"でつくる山形食材のパスタ専門店「Farinamore(ファリナモーレ)」から「庄内浜のヤリイカとズッキーニ、ミニトマトのパスタ」。

そして「月山筍アルフレッド風クリームフェットチーネ」。

奥田シェフらしい、塩梅の完璧な、素材を十分に活かした素晴らしい仕上がりでした。

次は多彩な魚介が様々な塩で味わえる魚バル「il fri sio(イル・フリージオ)」からアレンジされたお寿司。

奥田シェフのネーミングは、実はほとんどがダジャレです。イル・フリージオも"振り塩"にかけてます。しかし、塩の知識に関して特化している奥田シェフならではのアイデア。塩とオイルを使って、お寿司をアレンジ。日本酒だけでなくワインを意識した味付けです。

続いてこだわりの山形県産肉を扱う肉屋直営の肉バル「Yaku 禄」から、「山伏豚を使った奥田流カツレツ」。

ボイルしたお肉に、オリーブオイルを吸わせたであろうグリッシーニ(クラッカーのような食感の棒状のパン)を砕いて上に乗せてアクセントに。お肉の美味しさを引き出しつつ、食感と風味の良さでいくらでも食べられそうな1品。

和食の「彩鶴」は、奥田シェフと同じく「食の都庄内 親善大使」である土岐正富さんがプロデュース。
「庄内には在来作物があり、とても美味しい。だだちゃ豆、温海かぶ、民田なす、月山筍など、庄内の野菜を多く使い、そして四季折々の料理を提供していきたいと思っています」と意気込みを語ってくださいました。

こちらは「もくず蟹の味噌汁」。庄内は野菜の他にも名産品が多く、最上川が流れるこの地域では川蟹のもくず蟹をよく食べます。もくず蟹は出汁がとてもよく出るので、味噌汁にすると絶品。

つづいて「むき蕎麦」。殻をむいた実を茹で、だし汁をかける郷土料理です。山形は蕎麦も有名ですが、庄内地方は蕎麦の実をそのまま食べます。この粒々食感は癖になる美味しさです。

味噌汁やむき蕎麦、その他、土岐さんが監修したお菓子類などは、お土産品として並ぶかもしれません。ぜひ、探してみてください。

また彩鶴には、カウンターの「酒バー 彩鶴」が設置されるそうです。
庄内18蔵の日本酒が1ショットから注文でき、お手頃な価格で提供する予定だとか。庄内の日本酒は東京でも人気が高く手に入りにくいお酒もあります。しかし、彩鶴では季節ものも年間通して並べていくということでしたので、地元でしか呑めない酒もあるかもしれません。これは楽しみですね!

「日本酒といえば山形」を目指して

昨年末、山形県は国税庁から酒類の地理的表示指定を受けました。
清酒では、都道府県単位での指定は初。他の酒類の例でいうと「山梨=ワイン」「沖縄=泡盛」のように、地域の名前を聞いただけで、その地域の酒が思い浮かべられます。

今回の指定により、「山形県=日本酒」というイメージがますます認知されていくでしょう。そうなれば、国内に限らず海外からの観光客も「山形のお酒を呑みたい」「山形に来たら、まずお酒を飲まないと」という方が今以上に増えてくると考えられます。今後、山形の日本酒への注目度は高まっていきそうですね。

現在の構想に加えて、「博物館の展示のごとく鶴岡を巡り歩いて体験してもらう取り組み、鶴岡ガストロノミー・フィールド・ミュージアム構想を計画中」ということだったので、今後の動向にも期待です!

FOODEVERグランドオープン日の7月1日は、鶴岡酒まつりも同時開催。庄内18蔵が勢揃いするとのことで、賑やかな日となること間違いないですね。

(文/まゆみ)

この記事を読んだ人はこちらの記事も読んでいます