お金を入れてボタンを押すだけで、手軽に飲み物が買える自動販売機。同じ要領で日本酒を楽しめる夢のような機械が、相撲文化の聖地として知られる東京都の両国にあります。

自動利き酒マシンがあるのは、"粋な江戸の食文化を楽しむ。"をコンセプトに、2016年にオープンした「江戸NOREN」のなかにある角打ち所「東京商店」です。

総武線両国駅の西口から徒歩30秒と、抜群のアクセスを誇る「江戸NOREN」には、今回紹介する「東京商店」を含めた、下町情緒あふれる個性的な11軒の店が集まっています。

30種類の東京地酒を楽しめる

江戸NORENの外観

のれんをくぐって施設に入ると、中央に配置された大きな土俵が目に飛び込んできます。日本相撲協会監修のもと、両国国技館にある土俵と同じサイズで作られているそうです。法被を無料で貸し出してくれるサービスもあるので、写真撮影を自由に楽しむことができます。

江戸NOREN内にある両国国技館と同じサイズの土俵

土俵をぐるりと取り囲むように軒を連ねるのは、寿司・ちゃんこ・蕎麦・もんじゃなどのさまざまな店。そのなかで、今回紹介するのは「東京商店」です。店内はふたつのエリアに分かれていて、手前には酒類やおつまみ、おみやげなどの販売スペースがあり、奥が角打ちになっています。

東京商店の角打ちスペース

中に入ると、日本酒の樽をテーブルに模した台がいくつも並んでいました。十数人もいれば、ぎゅうぎゅうになってしまうようなこぢんまり感が、大人の秘密基地みたいでワクワクします。

両国にある東京商店の日本酒自動販売機(自動利き酒マシン)

そしてこちらが、全自動利き酒マシン。10種類の日本酒から、おちょこ1杯分(50ml)ずつ購入することができます。3台並んだマシンには、それぞれ純米酒・吟醸酒・大吟醸酒が入っており、それぞれ、200円・300円・400円という値段になっていました。

また、硬貨投入口の近くには、陳列されている日本酒の酒質に関するグラフが貼られ、辛口・甘口などのタイプがわかりやすく示されています。さらに、お酒を選択するボタンには、より詳しい解説が書かれているため、じっくりと選ぶことができますよ。

自動利き酒マシンにセットされたおちょこ

早速、試してみましょう。店内に用意されたお猪口を受け取って、注ぎ口へセットします。自分のお猪口を持ち込むのも楽しいかもしれません。一般的なサイズのお猪口であれば、ぴったりとセットすることができそうです。こんなにたくさんのお酒を、愛着のあるお猪口で飲み比べられるなんて、ワクワクしてしまいますね。

お金を入れたら、好きな日本酒のボタンを押して準備完了。透明な扉越しにお猪口が満たされていく様子を眺めていると、テンションが上がっていきます。今回は「國府鶴」(府中市/野口酒造店)の純米吟醸酒を選びました。

東京商店に用意された熱燗キット

「東京商店」には、なんと燗をつけるための酒燗器も用意されています。お燗番になったつもりで、自分の好きな温度に燗をつけられるか挑戦してみましょう。せっかくなので、国府鶴を温めてみます。

燗をつけてる写真

ちろりを受け口に置き、持ち手を酒燗器のふちに引っかけます。あとは温度計を見ながら、好きな温度になるまで待つだけ。自分で選んだお酒を、さらに自分好みにカスタマイズしていく。この自由さがたまりません。

東京商店のおつまみ表

さて、美味しいお酒とくれば、美味しい肴が欠かせませんよね。店内で販売している商品を持ち込んだり、その場で注文したり......七輪の貸出も行っているので、干物などを炙ることもできますよ。

おつまみの三種盛り

この日の「つまみ3種盛り」は、たけのこの土佐煮・おかか生姜・チーズわさび漬けでした。

まずは、國府鶴をひと口。ふわりとした口当たりで、ごまのような甘味が広がります。ぬる燗にしたので、身体が心地良く温まっていきます。じんわりとした気持ちになりながら、おつまみをいただきます。

たけのこはコリコリとした食感が小気味良いです。おかかの滋味が口中を満たしてくれるので、辛口のお酒でさっぱりと流し込みたいですね。おかか生姜はゆっくりと広がる甘味を、ピリリとした刺激が引き締めてくれます。甘くて辛いという完成された一品で、箸が止まりません。

最後は、チーズわさび漬けをいただきます。鼻から抜けるチーズとわさびの香りが最高です。独特のクセがたまりません。甘口の日本酒とよく合います。

これだけ満喫しても、1,000円未満。粋を感じる角打ちに、ごっつあんです。

観光客も大満足!充実のおみやげエリア

角打ちとは別のもうひとつのエリアでは、酒類やおつまみ、おみやげなどが販売されています。

東京商店のおつまみ

壁一面に並んだおつまみの数々。どれも美味しそうですね。おつまみやお酒はもちろんのこと、お茶や調味料、着物柄のボトルウェアまで売っています。観光客の手土産にもぴったりです。

東京商店で売ってるビール

また、冷蔵ショーケースの商品は奥の̚角打ちスペースでいただくことができます。定番のホッピーに加えて、浅草「神谷バー」発祥の電気ブランを使った商品や、珍しい東京の地ビールやワインなど、豊富なラインアップを見ているだけで楽しくなってきます。目に留まったお酒をすぐに味わえるのはうれしいですね。

相撲観戦のあとに、観光の合間に、ちょっと一杯。両国へお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

(文/阿部絵里)

◎店舗情報

  • 店名:「東京商店
  • 住所:東京都墨田区横網1-3-20 両国 江戸NOREN 1F
  • 営業時間:火~土 11:00~22:00(L.O. 21:30)/日・祝 11:00~21:00(L.O. 20:30)
  • 定休日:1/1〜1/2、毎週月曜日(大相撲開催期間を除く。また、月曜日が祝日の場合は翌火曜日が休み)
  • TEL:03-5637-8262

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